札幌へ進出した道外の人気店3選|札幌ラーメン最新事情2023 第9回

「札幌に旅行に行く人の目的」に「食」が多いのはご存じの通り。そして「何を食べたい?」の質問に対して「寿司・ジンギスカン・スープカレー」などと並んで必ず上位に来るのが「ラーメン」です。

札幌=ラーメンの美味しい街、と思われているのは嬉しいですね。そして実際「美味しいお店が多い」のも事実だと個人的には思っています。

■店舗数ランキング(単位:店)
1位 東京都 1,993
2位 北海道 1,035
3位 埼玉県 983

確かに店舗数は東京に次いで2番目と非常に多いのがわかります。

では、これを人口比で見てみるとどうでしょう。10万人当たりの店舗数が多ければ多いほど「ラーメン好きな人が多いエリア」と言えると思います。

■人口10万人当たりの店舗数(単位:店/人口10万人)
1位 山形県 36.0
2位 栃木県 27.6
3位 秋田県 27.2

12位 北海道 19.3

ということで、ダントツは山形県。山形県のラーメン好きなのは有名ですが、こうしてみると「ダントツ」な印象ですね。

対する北海道は12位という位置ですが、それでも全国的に見ると「ラーメン好きが多い街」と言えるのではないでしょうか?

大石さん
個人的な肌感覚ではもっと上位の印象なんですけどね(笑)

北海道外の人気店がじわじわと札幌へ上陸

さて、前振りが長くなってしまいましたが、ここ最近道外で人気のラーメン店の上陸が目立つような気がしています。

過去にも道外で成功しているチェーン店の札幌上陸は何度かありました。しかし、残念ながら撤退するケースも多く、根付いた事例は少ないのも事実です。

道外から札幌に進出する際に、前述の店舗数や10万人当たりの店舗数などは目安にはなることでしょう。ですが、ビジネスとしてのラーメン店進出が成功するかどうかはまた別な話。

いくらラーメン好きの多い都道府県でも、どんなお店でも成功できるとは限りません。その地元の方の味の好みや、競合店のレベルなど様々な要素が絡んでくると思います。

まぁ、専門的なマーケティング分析はプロに任せるとして、それでも……
・札幌の人が色々な味のラーメンを受け入れるようになってきた
・観光でラーメンを目的に訪れる人が多い土地である

は事実ですし、昔よりも魅力的な土地になっているのかもしれません。

いずれにしても、道外で実績を積んでいるお店やそのDNAを受け継ぐ方が札幌でオープンしてくれるここ最近の傾向は、ラーメン好きとしては実にありがたいことです!

ということで、道外から進出しているブランドや、縁のある方の注目店にスポットを当てて紹介したいと思います。

※データの参考元
総務省統計局「経済センサス」による事業所数:平成28年(2016年)
ラーメン店数の都道府県ランキング

丿貫札幌

「丿貫」って読めますか?「丿」はカタカナの「ノ」じゃなくて「へち・へつ」と読む漢字です。なので読み方は「丿貫(へちかん)」と読みます。

看板

▲スタイリッシュな看板

そう、横浜で創業した煮干しラーメンの人気店「丿貫」。千利休と同様に戦国時代に名を馳せた茶人「丿貫」からその名をつけたのでしょうね。

外観

▲どことなく茶室や茶屋を思わせる外観

オープンは2023年4月。その超人気店が札幌に上陸するということでオープン前からかなり話題になっていました。

店名 丿貫札幌(ヘチカン)
所在地 札幌市中央区南2条西4-10-4 mkビル 2F
アクセス 地下鉄南北線・東西線「大通」駅より徒歩約3分
駐車場 なし
営業時間 [平日]11:00~15:00、17:00~21:00
[土・日・祝日]12:00〜15:00、18:00〜23:00 日曜営業
定休日 月曜日
席数 11席(カウンターのみ)

(店舗情報の引用元:食べログ

エグミがほとんどないセメント系「純煮干蕎麦」

「純煮干蕎麦」

▲スープの色に注目!

初訪問でいただいたのは丿貫を代表するメニュー「純煮干蕎麦」。この色の煮干系スープをセメント系なんて呼んだりします。

煮干し好きにならこの色だけでテンションが上がるよね。だけど、お店によっては「エグミが強すぎて苦い」というところもあり好みの別れるものなのですが……

「純煮干蕎麦」のスープ

▲煮干の旨味だけ濃ゆーく出しました!という感じのスープ

スープを一口いただいてびっくり!確かに濃度はしっかり出ていて煮干の濃厚な旨味にあふれているんだけど、イヤなエグミや苦みはほとんど感じない。

大石さん
もちろんゼロではないけど、この色から想像される味わいとは違ってよい意味で期待を裏切られた!
ストレート麺

▲やや加水率低めのストレート麺

麺は歯切れの良い食感も味わいも美味しい。この細麺はスープを良く拾い、啜る時はスープの煮干しの香りが再び口に広がるのもイイ感じ。

タマネギ

▲アクセントのタマネギ

タマネギと煮干しスープって「前世から夫婦だった?」ってぐらいホントに相性抜群だと思う。

煮干ダンナさん独特の苦さを甘みに変えてくれるような、タマネギ奥様の働きっぷりったらないよね!

大石さん
なんのこっちゃですね。ぜひご自身で食べてその相性を確認してください(笑)
低温調理のチャーシュー

▲この見た目だけでも柔らかさが伝わってくる

ほんのりピンク色をした低温調理チャーシューも柔らかくて美味しい!

完食した器

▲あっという間に完食

あー美味しかった!……では終わらないのです!

まだまだ!「和え玉」を食べないと終われない!

ここから第2ステージの開幕!

和え玉の食べ方紹介

▲案内によれば「和え玉」は汁無しの味付き替え玉のこと

丿貫には「和え玉」というお楽しみがあるのです。

お品書き

▲お品書きでも存在感を放つ「和え玉」の文字

和え玉は日によって提供されるメニューも違うらしい。ある日は牡蠣バターとニボバター。

別の日のお品書き

▲別の日のお品書き

ある時はTKG(卵かけご飯)ならぬTKM(卵かけ麺)。

牡蠣バターの和え玉

▲牡蠣バターの和え玉は茹でたての麺に牡蠣バターソースとタマネギトッピング

博多ラーメンの「替え玉」と違い、この和え玉は麺とソースで楽しんで、その後つけ麺風にしたり、スープにドボンしたりして色んな味わい方ができる贅沢なもの。

持ち上げた麺

▲濃厚なバターソースによってパスタに見えないこともない

牡蠣バターソース美味っ!危うくこのまま全部食べちゃうところだった。

第二ステージはまだ始まったばかり!

残ったスープで楽しむ和え玉

▲残ったスープに和え玉をつけてみる

こうしてつけ麺風にしていただくと、これまた煮干しと牡蠣のコラボレーションで旨味が爆発!

残りの麺をスープに全部入れる

▲フィニッシュは残りの麺をスープにドボン

牡蠣とバターのコクの海で煮干が溺れている~!(笑)

完食の器

▲最後の一滴まで味わい尽くして完食

大盛り上がりの第二ステージ!アンコールしたいところですが、既に麺もスープも残っていないので、余韻を楽しみながらお店を後にすることにします。

煮干スープの美味しさはもちろん、和え玉を頼むことで一度に何度も楽しさと感動を味わえる。お腹に余裕を持って食べに行ってほしいところ!

実はラーメンも和え玉も日替わり

シンプルなお品書き

▲これだけを見たら非常にシンプルな品揃えに感じるかもしれない

ちなみにメニュー数が少ないと勘違いしている方もいるようですが、日替わりでラーメンも和え玉もお品書きが変わるので実は色んな味が楽しめるんですよ。

「冷やし淡麗塩煮干蕎麦」

▲「純煮干蕎麦」とは違い涼し気な見た目の一品

こちらも食べてみてほしい「冷やし淡麗塩煮干蕎麦」。

「冷やし淡麗塩煮干蕎麦」のスープ

▲「純煮干蕎麦」と対象的に透き通ったスープ

冷やされた煮干スープは「淡麗」の文字通り優しくて、上品な味わいながらしっかり煮干感。

「冷やし淡麗塩煮干蕎麦」の麺

▲麺の締め具合も絶妙

優しい味わいの麺との相性も抜群だった。

「海老薫る和出汁蕎麦」

▲煮干しベースに海老の香ばしさが加わっている

「海老薫る和出汁蕎麦」は食欲を刺激する一杯。

「海老薫る和出汁蕎麦」のスープ

▲主張しすぎない海老の使い方に感心

海老の風味は感じつつも、ちゃんと「煮干」が主役でこの店のスープの美味しさをしっかり感じられた。

全粒粉入りの麺

▲全粒粉入りの麺もほのかな香ばしさをまとい、箸が止まらない

実は色んな味が楽しめるこちらのお店。一度じゃなく何度か訪問しても新しい味に出会えると思いますよ!

本日のお品書き

▲本日のお品書きはこちらに張り出されているので要チェック

私はこの辺を通る時は入り口横のお品書きをチェックしてから本来の目的地へ向かうのですが、時々その日のメニューにつられて予定外の入店をしちゃったりしてね!

「海老で鯛を釣る」ならぬ「煮干しに釣られちゃった」ってところかな。

丸源ラーメン

ラーメン好きな友達が結婚してお子さんが生まれると「子供が小さいからラーメンは食べに行けない」なんて話をよく耳にします。

仕事をしている旦那さんは昼のランチにこっそりラーメンを食べに行ったりしていることもあるようですが、それでも「休日に家族みんなでラーメンって選択肢にはならないよね」なんて声も聞こえてくる。

外観

▲丸源ラーメン 札幌菊水元町店の外観

悲しいかな、お子様連れに優しいラーメン店は意外と少ないのです。

でも、そんな風に「小さい子供がいるからラーメンは諦めている」とお嘆きのお母さま・お父さま!朗報です!

全国展開している「丸源ラーメン」が札幌に上陸しました。

店名 丸源ラーメン 札幌菊水元町店
所在地 札幌市白石区菊水元町五条1-8-1
アクセス JR「白石」駅から1,962m
駐車場 あり(42台)
営業時間 月〜日曜日 10:30〜24:00 日曜営業
定休日 なし
席数 121席

(店舗情報の引用元:食べログ

麺切り用のハサミや離乳食も用意した乳児・お子様連れを歓迎の店

丸源ラーメンは「乳児・お子様連れも安心!」と公式サイトのトップページにも書かれている通り、お子様連れを歓迎してくれているお店です。

タッチパネル

▲スタッフさんがサービス面で考慮しやすいように、という思いもあるのかも?

タッチパネル式のメニューは、最初にお子様の人数を入力するところから始まる。

メニュー一覧

▲お子さまメニューももちろんあるが、それだけじゃない

「お子様連れ歓迎とか言うても、お子様ラーメンがあるだけやろ?」そう思ったそこのアナタ!違います!

大石さん
もうね、豊富なメニューラインナップを見るだけでも大人がワクワクしちゃいますからね(笑)

「お子様連れ歓迎=お子様向けのお店」じゃない。大人も子供も美味しい時間を過ごせるように配慮されているのが、このお店の良いところじゃないかなと思うのです。

看板商品!一番人気の熟成醤油「肉そば」

熟成醤油「肉そば」

▲熟成醤油「肉そば」

まずは一番人気メニューのご紹介。熟成醤油「肉そば」です!

「肉そば」のスープ

▲鶏や豚などの動物素材にほんのり魚介の風味

やや甘みを感じる醤油の旨味で特徴がありながら万人受けする美味しさだと思う。

店オリジナルの「柚子こしょうおろし」

▲特製おろしを溶きながらいただくと、ほんのり柚子の香りがして楽しい

オレンジ色のこれは、完熟柚子と大根おろしを使ったこの店オリジナルの「柚子こしょうおろし」。

店内の看板

▲「肉そば」のこだわりが書かれた看板

熟成醤油は壁に掲げられた看板の説明によると

  • 小豆島産醤油
  • 岡山産濃口醤油
  • 千葉産濃口醤油

が使われているらしい。

「肉そば」の麺

▲細いストレート麺がこのスープとよく合う

食べていくうちに気が付いたけど、麺が伸びにくくて後半も食感がそれほど変わらないのもイイ感じ。

で、チャーシューの代わりに使われているこの豚肉の薄切りがまたイイ!!

大石さん
柚子こしょうおろしを絡めて食べたりなんかすると「おーい!ライスを今すぐ持ってこい!」ってタッチパネルに向かって叫びそうになる。タッチパネルに叫んでも意味ないけど(笑)

4回の味変が楽しめる!店おすすめの食べ方を実践

「肉そば」のパンフレット

▲肉そばのうんちくが書かれたパンフレット

このパンフレット、ちょっと小さいけど重要なことが書かれているので必ずチェックしてください。

肉そばの楽しみ方

▲「肉そば」考案者からのオススメ

『4回試してね!!』

これは、契約書によくある「重要事項の記載」よりも「重要」なんじゃね?

卓上の調味料

▲調味料入れもトレーも清潔

卓上調味料は要チェックです!

壺に入ったどろだれラー油

▲レジで購入もできる

これは「どろだれラー油」!ネーミングからしてそそられるよね!

どろだれラー油

▲細かい具材はスープによく馴染む

食べるラー油よろしく、油の層の下にある各種の具材が大事なんだろうね。

どろだれラー油をスープに入れる

▲クセになる辛味を追加

辛味が加わるのはもちろん深くて複雑な旨味のあるラー油。
これで「万人受け」から「辛いモノ好きな自分好みにチューニング」できるってのもポイントの一つですね。

揚げにんにく

▲スプーン1杯でガラリと風味が変わる

そしてこれは「揚げにんにく」!この香ばしさもクセになるなぁ……。

野沢菜醤

▲無料というのがなんとも嬉しい心遣いだ

さらには無料でオーダーできる「野沢菜醤」なんてものまである。

野沢菜

▲キムチ風のピリ辛な野沢菜

これまた侮れない美味しさ!ラーメンの味変にもいいし、チャーハンのお供にしてもいい嬉しいサービス。

ちょっとずつシェアできるセットやサイドメニューも豊富

セットメニューの案内

▲豊富なセットメニューの案内

チャーハンはもちろん餃子やから揚げなんてサイドメニューが充実しているのも嬉しいね。

サイドメニューをはじめ、メニューが豊富なのはファミリーで楽しめる重要なポイントのような気がします。

鉄板玉子チャーハン

▲鉄板玉子チャーハン

中でも是非食べてもらいたいのがこのチャーハン!熱々の鉄板にご飯と具材だけが盛られた状態で登場するのだが……

チャーハンのテーブル調理

▲卵をじゅわ~~~!

ここに溶き卵を投入して、自分で混ぜながら仕上げるという楽しさ!これはイベント感満載。

お子様に混ぜ混ぜしてもらって仕上げてもらうのも楽しいかもね。くれぐれも熱い鉄板には注意が必要ですが、テーブル調理は盛り上がりそう。

チャーハンの完成

▲炒めた玉子の香ばしさがプラス

やや控えめな味だけど、先ほどの揚げニンニクや野沢菜醤と合わせるとパンチも加わって美味しい。

大石さん
こちらも自分好みにチューニングされるのもよろしいかと思います^^

これだけは押さえてほしいおすすめメニュー

その他にもメニューが豊富だから全部はとても紹介しきれないけど、さらっとだけいくつか紹介。

おすすめ①醤油とんこつ黒

▲「熟成醤油とんこつ」に焦がしねぎマー油を加えた一品

マー油の乗った「醤油とんこつ黒」。マー油の香ばしさと豚骨の旨味が良くマッチしている。

おすすめ②熟成醤油ラーメン

熟成醤油ラーメン

▲あっさりだけど、醤油と鶏ガラの旨味がしっかり感じられる

あっさり派には「熟成醤油ラーメン」もオススメ。ご高齢の方とご一緒の時などの選択肢としてどうぞ。

おすすめ③肉そばつけ麺

▲「熟成醤油ラーメン肉そば」のつけ麺バージョン

「肉そばつけ麺」なら、また違う雰囲気でスープの美味しさが感じられる。麺もさらに伸びにくいからお子様にもいいかもね。

おすすめ④麻辣担々麺

麻辣担々麺

▲四川花山椒と辛さが異なる三種の唐辛子で作り出すしびれる辛さ

しっかり辛くてしっかり痺れる!辛い物好きな方でも満足できる、ちゃんと辛めのチューニング。

穴あきレンゲ

▲スープを吸った肉味噌は残すわけにいかないよね

底に沈む肉みそを掬いやすいように穴あきレンゲがついてくるもの嬉しい。

おすすめ⑤期間限定メニュー

ゆずと三つ葉の「炙り鶏そば」

▲鶏の旨味を楽しめる淡麗スープ

こちらは訪問時に期間限定で提供されていた、ゆずと三つ葉の「炙り鶏そば」。

つくね

▲強火で炙られたチャーシューとつくねの香ばしい焼き目が食欲をそそる

香ばしく炙られた肉団子がめちゃめちゃ美味しかったなぁ。

おすすめ⑥餃子

餃子

▲皮はパリッとクリスピーな食感の餃子

ラーメンのサイドメニューの定番餃子もやっぱり万人受けする美味しさ。卓上調味料で自分好みにチューニングするのも良いと思う。

おすすめ⑦ソフトクリーム

ソフトクリーム

▲バニラのほかにいちごソースとチョコレートソースの味もあるが値段は同じ

そして食後のデザートにソフトクリームはいかが?なんと財布に優しい98円(税別)というからびっくり!!

家族が笑顔になれるラーメン店

注文した品が揃ったテーブル

▲4人家族で来たらテーブルはこんな感じかな

お子様連れで楽しめるお店と書いたけど、それは「お子様メニューがある」だけじゃダメなんだと思う。

家族みんなが楽しめる「豊富なメニュー構成」、チャーハンを卓上で仕上げて楽しめる「イベント性」、大人も自分好みにチューニングできる「豊富な卓上調味料」などなど。

家族みんなが笑顔になれるような配慮が随所に感じられるのが素晴らしいと思う。

店外の看板

▲店外にも一番人気の肉そばの看板

今まで北海道にいくつかの大手ラーメン店の進出もあったけど、ここまで「ファミリーで楽しめる」ということを意識したお店は無かったように思う。

伸びにくい麺

▲子どもに食べさせている間に自分のラーメンは伸び伸び、というのはありがち

伸びにくい麺を使っているのも「ゆっくり家族で食事を楽しめるように」という配慮のような気がする。

こういうちゃんと配慮がされたお店の札幌進出は大歓迎です!

のぼり

▲期間限定商品ののぼり

なんせ私の野望は「ラーメン好きな子供で札幌の街を溢れさせる」ですから。

大石さん
ちょっとウソだけど、ちょっと本気(笑)

大人も子供も楽しめるお店が札幌に増えるのはありがたいですね!

麺 鍾馗

前述2軒のお店は道外で人気のブランドが北海道に上陸した形だが、道外からの進出は何も「ブランド」だけではない。

「麺 鍾馗」の外観

▲のれんにはしっかり「背脂」の文字

2022年1月にオープンした「麺 鍾馗」。実はこちらの店主さんは、京都の人気ブランド「セアブラノ神」というお店を立ち上げた方です。

その方が全く新しいお店として「麺鍾馗」をオープンさせた。そう、北海道に上陸したのは「ブランド」ではなく、ラーメン職人の「経験と技術」!

行列

▲道が道でなくなるほど雪が積もる北海道の冬にこの行列

「札幌に神が降臨する!」とオープン前から評判に。

いざお店がオープンするとその前評判通り、いやそれ以上にあちこちで高評価の声があがり、あっという間に行列店となった。

店名 麺 鍾馗(めん しょうき)
所在地 札幌市東区北26条東1-2-25 ノース26 1F
アクセス 地下鉄南北線「北24条」駅より徒歩約5分
駐車場 あり(2台)
営業時間 11:00~20:30 日曜営業
定休日 火曜日・他臨時休業あり
席数 10席(カウンター4席)

(店舗情報の引用元:食べログ

一番人気は「背脂煮干しラーメン」

「背脂煮干しラーメン」

▲背脂系が苦手な人も一度挑戦してみてほしい

一番人気のラーメンは、新潟は燕三条のご当地ラーメン「背脂煮干しラーメン」!

大石さん
京都出身の店主が、新潟の味にほれ込んで京都でお店を出し、札幌に移住してお店をオープン……文字にするとちょっと情報が多いね^^;
「背脂煮干しラーメン」のスープ

▲見た目は、いかにもというこってり感が漂う

さて、その背脂煮干しラーメン。本来は煮干しも背脂もどちらかと言えば「パンチの強い」食材。

そのパンチ力のある2つの素材が合わさると、喧嘩しても不思議はないのであるが……スープを一口飲んでぶっ飛んだね!いや俺が!(笑)

まさにそれぞれの強い素材が力を合わせて旨味の相乗効果を生んでいるって感じ。

スープ

▲想像していたよりスッキリとした上品さがある美味しいスープ

煮干は濃厚な旨味と香りを持ちながらエグミが無く、背脂は甘くて旨味たっぷりなのにしつこくない。

どちらも良く知っている食材なのに「こういう味の引き出し方もあるんだ」と感じた!

麺

▲もっちもちのちぢれ太麺

麺は「さがみ屋製麺」の麺と、京都の老舗製麺所の「麺屋棣鄂(めんやていがく)」の麺を使い分けている。

「背脂煮干ウイングつけ麺」

▲2023年7月限定の「背脂煮干ウイングつけ麺」

ちなみに7月の限定メニュー「背脂煮干ウイングつけ麺」はその麺にも話題が集まった。文字通り両翼に羽根がはえたような「麺屋棣鄂」の唯一無二の麺。

独特な形状の麺

▲羽の生えたような形状の麺の食感が楽しい

独特の形状がすする時に初めての感覚を感じさせてくれる。北海道産小麦を使用しているそうで、食感も味も抜群にイイのである!

大石さん
京都出身の店主が京都老舗製麺所を選び、北海道産小麦を使った麺で北海道で提供……うん、だから文字にすると情報多いわっ!

具材にも注目

チャーシュー

▲丼を覆い尽くすくらい大きくて厚みのあるチャーシュー

肉の美味しさがぐぐぐ~っと閉じ込められたチャーシューも抜群に美味しい。

卵

▲とろとろではなくねっとりとした半熟がたまらない

完璧な火入れの卵。黄身の濃厚でねっとりした旨味にもビックリ!

タマネギと海苔

▲スープをさらに美味しくしてくれる名脇役!

生のタマネギや岩海苔のトッピングだってただの飾りじゃない。スープや麺が美味しいだけじゃなく、一つ一つのトッピングにも配慮が行き届いていて全方位で死角なし!

限定から定番へ。三大昆布水つけ麺

「三大昆布水つけ麺」

▲限定提供からスタートした商品が評判となり定番化したメニュー

もう一つの人気商品の「三大昆布水つけ麺」をご紹介。

スープに浸かる麺

▲昆布の旨味たっぷりのスープに浸かる麺

使っている昆布は「利尻・羅臼・真昆布」の北海道を代表する三大昆布!

スープ

▲ややトロミのある昆布出汁の冷たいスープ

昆布出汁をまとった麺はそれだけでも十分に美味しい!

大石さん
うっかりするとつけダレに麺をつけるのを忘れて全部食べてしまいそう^^;
麺

▲ツルッとした喉越しの麺は全粒粉入りかな?

北海道が昆布の産地なのはご存じの通り。それが「北前船」で日本全国に運ばれたのは歴史上良く知られていること。

江戸時代になると大型化した「北前船」が登場し、下関を経由して直接大阪までの航路が開かれたことから、大阪・堺が昆布の集積地となり関西での消費が拡大したと聞く。

大石さん
あくまで個人的な感想だけど、関西に出張した際に、某デパートの社員食堂や200円そこそこの立ち食いうどんでもびっくりするぐらい昆布の旨味の効いたうどんが食べられて驚いた

「昆布の美味しさをわかっているのは産地の北海道より関西人なのかも」と関西に行くたびに思ったりする。

昆布の産地の北海道人としては、ちょっとコンプレックスだったりして(笑)

スープ

▲旨塩なスープに絡める

その昆布の旨味をまとった麺が、つけダレの動物系の旨味と出会った時の極上の美味しさ!思わずため息が出てしまう。

豚バラ肉

▲豚バラ肉が3枚

スープに浸った麦豚もたまらなく美味しい。トッピングも「箸休め」どころか「箸が加速する」からまいっちゃうよね。

トッピングのレモン

▲塩レモンのようなさっぱりとした味わいに変化

途中で麺にレモンを絞るとこれまたキュッと味が締まり、新たな美味しさが登場する。

味変

卓上の調味料

▲卓上の調味料。木製の容れ物がいい

卓上の黒七味や、

りんご酢

▲さっぱりな味わいが好きな人はこれ

リンゴ酢を使って味変を楽しむのも良いと思う。味変する暇もなく食べ進んじゃうかもしれないけどね(笑)

出汁の効いたスープ割で締め

スープ割り

▲昆布出汁がさらにまろやかになって完飲必至

出汁の効いたスープ割でフィニッシュ!

最初から最後まで満足度の高いつけ麺なのであるが、「お腹いっぱいなのにもっと食べ続けたい」という気持ちになるという点では「満たされないつけ麺」と言えるかもしれない!(笑)

完食の器

▲ごちそうさまでした

冒頭に書いた通り、上陸したのは「ブランド」ではなく「職人の経験と技術」。

背脂と煮干しにしても、昆布にしても、決して「知らない食材」ではない。どちらかと言えば身近で、一度はラーメンで口にしたことのある食材だと思う。

「知識・経験・技術etc.でこんなに美味しくなるんだよ」と改めて教えてくれたような気がする。京都から来てくれてありがとう!と言いたくなるお店です。

さいごに

ということで、道外のDNAを持つお店をご紹介しました。

前回のつけ麺の回でご紹介した「つけめんしんちゃん」も実は、東京は蒲田の超人気店「煮干しつけ麺 宮元」で修業された方がオープンされたお店です。

「つけめんしんちゃん」を紹介している記事はこちら

サムネイル

麺がうまい!つけ麺が美味しい4店|札幌ラーメン最新事情2023 第8回

2023年8月31日

2020年1月に上陸した「一蘭 札幌すすきの店」や2022年12月にオープンした「サバ6製麺所 美香保店」といった、やはり道外の人気のブランドも進出してきました。

また、横浜発祥の「家系(いえけい)ラーメン」のお店も増えていますし、ある意味色んな土地のご当地ラーメンが札幌で食べられるようになってきています。

プロローグで過去にチェーン店が進出してきて撤退したことに少し触れましたが、チェーン店の場合、北海道の物流コストの高さもネックになるのかもしれません。

大石さん
店舗は1店舗だけじゃなく、複数店舗をオープンし、セントラルキッチンを北海道に作るなどして、物流コストも下げられるぐらいにならないと採算が合わないのかも

経営面では北海道という地は難しいところもあるのかも知れませんが、それでも一ラーメンファンとしては「道外の人気店が札幌に来てくれる」のは嬉しく思っています。

今回ご紹介したお店で新しい味や新しいサービスにぜひ出会ってみてください!

WRITER/大石 敬(札幌ラーメンコンシェルジュ)

スポンサーリンク
スポンサーリンク