朝ラーメンの注目店をピックアップ【後編】|札幌ラーメン最新事情2023 第5回③

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前回の【第5回前編】で朝ラーメンの注目店をピックアップしたが、あまりにご紹介したいお店が多すぎて収まりませんでした。

なので、前回に引き続き今回も注目のお店をご紹介していきます。

前回の記事はこちら

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朝ラーメンの注目店をピックアップ【前編】|札幌ラーメン最新事情2023 第5回②

2023年4月19日

※サービス内容、営業時間、定休日等は変更となる場合がございますので、来店前に店舗にご確認ください。

■目次

いせのじょう

「ああ、やっぱりこの味だ」。そんな風に言えるラーメンはありますか?

心の奥底にぼんやりイメージしていた味。一口すするとそれが「求めていた味」だとくっきり浮かび上がる。

もしかするとそれこそがあなたにとっての最高の一杯なのかも知れません。でも、なかなかそういうラーメンには出合えませんよね。

「いせのじょう」のキャラクター「じわり部長」

▲店の扉やのぼりにいる、いせのじょうのキャラクター

さて、上の写真のおじさん。札幌のラーメン好きさんならこのイラストでピンとくる方も多いのではないでしょうか?

そう!「いせのじょう」のキャラクターです。

では、このキャラクターの名前を知っている方はいますか?実は「じわり部長」というお名前がついています。

大石さん
正解した方はもう少しラーメン以外に記憶領域を使った方が……なんてね(笑)

この何とも言えない表情……その名の通り、じわりと来ますよね。

店名 いせのじょう
所在地 札幌市白石区菊水1条1-3-2 菊水会館 1F
アクセス 地下鉄東西線「菊水」駅から徒歩約8分
駐車場 あり(4台)
営業時間 8:00~15:30 日曜営業
定休日 水曜日・木曜日
席数 8席(カウンター8席)

(店舗情報の引用元:食べログ

人気上昇中の「辛口白菜ラーメン」

看板

▲ほのぼのとしたイラストが書かれた店の看板

さて、じわり部長のことは置いておき、本題です。最初にご紹介するのは「餃子と麺 いせのじょう」です。

「餃子と麺 いせのじょう」の外観

▲「餃子と麺 いせのじょう」の外観

文字通り「ラーメン」だけじゃなく「餃子」も美味しいのでファンの多いお店。

以前は夜営業もやっていたので、餃子とビールで楽しんだ方も多いかも知れません。が、朝ラーメンもオススメのお店なのです!

のれん

▲のれんの横には「辛口白菜ラーメン」にも使われている唐辛子

入店は横の入り口からで、そこにかけられたのれんには「須藤製麺」の文字。

お品書き

▲味があるお品書き

以前は「しょうがラーメン」と「しょうゆラーメン」が人気を二分するメニューでした。

しかし現在はメニュー筆頭に「辛口白菜ラーメン」が来ているところを見ると、こちらが一番人気になっているのかも知れません。

私も圧倒的に「辛口白菜ラーメン」をいただく比率が上がっているお店です。

唐辛子と白菜が「じわり」と美味しい

辛口白菜ラーメンと焼き餃子

▲辛そうな見た目ではないが、白菜の上にぽん、とたしかに乗っている唐辛子

ということで、辛口白菜ラーメンと焼き餃子を注文。

辛口白菜ラーメンのスープ

▲油で炒められた白菜の甘みと唐辛子の辛いアクセント!

鶏ガラベースと思われるスープに入念に炒められた唐辛子と白菜。これが実に「じわり」と美味しい。

決して出しゃばりすぎない出汁感でありながら、後を引く美味しさ。

「じわり部長」

▲2度目の登場「じわり部長」

じわり部長じゃなくてもこう言いたくなるでしょう。

「ああ、やっぱりこの味だ。」と。

須藤製麺の元社員だった店主が惚れた麺

須藤製麺の麺

▲麺は創業当初から使われている須藤製麺の麺

実は、元は須藤製麺の社員さんだった石水店主。

麺を売る側だった店主さんが、須藤製麺が造る麺の美味しさに惚れてラーメン店を開くきっかけの一つになったと聞いている。

白菜

▲炒め煮にされてスープが染み込んだ白菜

白菜の甘みと、

唐辛子

▲こんなに小さな唐辛子ですが侮るなかれ。スープは結構辛め

唐辛子のアクセント。それらが油を通してスープに溶け込んで一体化して完成しているこのラーメン。

基本の味のしょうゆラーメンとベースのスープやタレは同じらしいが、素材の違いと調理方法の違いでかなり印象は違ってくる。

共通するのは「どちらもホッとする味わい」ということかな。

ファンの多い餃子も必食

手作り餃子

▲小ぶりな薄皮の中には餡がギュッと詰まっている

そして、千歳産の「う米豚(うまいとん)」100%使用の手作り餃子。噛んだ瞬間に肉の旨味がじゅわっと口に広がります!

自家製ラー油

▲辛口白菜ラーメンに入れても合う自家製ラー油

卓上の自家製ラー油をちょいと垂らしていただくのがオススメ!

大石さん
実は、お店で使っている唐辛子は自家農園産

季節限定メニューから看板メニューになった「辛口白菜ラーメン」

唐辛子の販売ポスター

▲唐辛子は購入することもできる

その昔「自家農園で唐辛子を作っている」という話を聞いた時には「面白い趣味だなぁ」ぐらいにしか思っていなかった。

だが、その年の秋口に季節限定で「辛口白菜ラーメン」を提供。

その後、通年で同メニューを出すようになり、気が付くといせのじょうを代表する看板メニューになっている。

完食の器

▲唐辛子まで完食

餃子もラーメンも相変わらずの美味しさ。昭和レトロな店内の雰囲気も最高。

ただ、ひとつだけ満たされない気持ちがあるとするなら……「餃子でビールが飲みたい!」という気持ち。

ここの餃子はラーメンのお供だけでなくお酒にも最適なんだな、これが。

大石さん
でもこれから仕事なのに朝からビールというわけにはいかないし、何より車だし……
餃子と一緒に飲みたいビール

▲あれ?

あれれ?

いせのじょう桑園高架下店

実は、先程のビールは別の日に行ったいせのじょう「桑園高架下店」の写真です。

桑園イーストプラザ

▲JR桑園駅の高架下にある桑園イーストプラザ

JR桑園駅にあるので、私の家からは乗り換えなくJR一本で行けちゃうのです。

店名 餃子と麺 いせのじょう 桑園高架下店
所在地 札幌市中央区北10条西14-1-2 JR桑園イーストプラザ 1F
アクセス JR「桑園」駅から130m
駐車場 なし
営業時間 9:00~15:30
定休日 水曜日・日曜日
席数 8席(カウンター8席)

(店舗情報の引用元:食べログ

いせのじょう桑園高架下店の看板

▲いせのじょう桑園高架下店の看板

とある土曜日の朝。テンション上がるよね~!

桑園高架下店の餃子

▲餃子にビールで一杯やるために前夜は遅くまで仕事をしたんだから!

だって、ビールに餃子だよ?朝っぱらだろうと関係ない!

これで大満足!と言いたいところだけど……

水餃子

▲水餃子に添えられているのはおろしショウガ

やっぱり頼んじゃうよね~!焼餃子に続いて水餃子!

実は香ばしい焼餃子が美味しいのはもちろんだが、めらかな皮に包まれたこの水餃子も逸品なのである!

レモンチューハイ

▲おろしショウガ+水餃子をレモンチューハイで追いかける!

そして水餃子といえばチューハイなのである(どういうこと?)

さすがにビールだけじゃなくチューハイまで頼むと背徳感もパンパないけど、「これが正しい休日の朝の過ごし方なのだ!」と自分に言い聞かせる。

定番のしょうゆラーメンと焼めしおにぎりで締め!

しょうゆラーメンと焼めしおにぎり

▲麩が乗った懐かしいビジュアルの「しょうゆラーメン」

そして〆は当然ラーメン。シンプルにしょうゆラーメンをいただく。

焼めしおにぎり

▲高架下店で焼めしおにぎりの写真を撮り忘れたので本店の写真です

残っていたらラッキーと言われる限定の「焼めしおにぎり」も一緒にいただきます。

しょうゆラーメンのスープ

▲角がない優しい味わいのしょうゆラーメンは朝ラーメンにもおすすめ

シンプルなのになぜかハマるこのしょうゆラーメン。毎日食べたいラーメンってこういうものかも知れない。

麺

▲もちっとした食感のストレート麺

ビールとチューハイが回ってちょっとぼんやりした頭で思ったのはこのフレーズ。

「じわり部長」

▲三度登場、「じわり部長」

「ああ、やっぱりこの味だ。」と。

そう思えるお店があること、そしてそのラーメンが朝から食べられることに幸せを感じずにはいられないのである。

NOUILLES JAPONAISE とくいち

「ラーメンには無限の可能性がある」なんて言われて久しい。

色々と新しいチャレンジをする店主さんのもと、新しい味もたくさん生まれてきた。味だけじゃなく、マーケットも日本だけじゃなく海外にもどんどん進出している。

確かに無限の可能性は秘めていると思う。でも、随分前から言われているのなら、そろそろ「限界」を迎えるんじゃない?

なんて思ったそこのあなた!またまた新しい可能性を感じさせてくれるお店が登場しましたよ。

これから紹介するのは、今年の2月にオープンした「NOUILLES JAPONAISE(ヌイユ ジャポネーズ) とくいち」というお店。

店名 NOUILLES JAPONAISE とくいち(ヌイユ ジャポネーズ トクイチ)
所在地 札幌市中央区北11条西22-1-26 卸売センター 万歳市場 1F
アクセス 地下鉄東西線「二十四軒」駅より徒歩約6分
駐車場 あり(場外市場の駐車場 約100台)
営業時間 8:00~15:00 日曜営業
定休日 水曜日
席数 16席(8人掛けセンターテーブル1、4人掛けテーブル2)

(店舗情報の引用元:食べログ

お店があるのは札幌市中央卸売市場の場外市場エリア

札幌市中央卸売市場の場外市場エリア

▼食べ歩きが楽しい札幌市中央卸売市場の場外市場エリア

お店を目指して札幌市中央卸売市場を歩く。それにしても場外市場はテンション上がるわぁ。

毛ガニ

▼この毛ガニの身の詰まりよう!

観光客向けなんて言われることもありますが、地元民が行っても楽しめるしパワーをもらえると思う。

大石さん
「エビで鯛を釣る」なんて言葉がありますが、カニの試食にすっかり釣られてしまいました^^;
購入したズワイガニと毛ガニ

▼お買い得品のズワイガニと身がびっしりの毛ガニをお買い上げ。めちゃウマでした

いや、市場の話はそれこそ「無限」に続いてしまいそうなので本題にいきましょう。

イタリアン出身の店主が作るラーメン

NOUILLES JAPONAISE とくいちの看板

▲高級料理店のような印象を受けるデザインの看板

店主さんはイタリアン出身らしい。

店の看板

▲イタリアンでお店を持たずに、あえてのラーメンでの挑戦

また、札幌、いや北海道を代表するフレンチの名店「Le Musée(ル・ミュゼ)」が関わっているお店とのこと。

イタリアン出身の店主さんと、一つ星レストラン「ル・ミュゼ」の料理人であり芸術家でもある石井誠シェフがタッグを組んでラーメンを作ったとなると……気になるよねぇ。

券売機

▲券売機。訪れた時は「2023春 仔羊山菜」なる限定メニューがあった

らぁ麺は「塩」と「鶏醤」。それにいくつかの限定メニューを出しているようだ。

限定の仔羊山菜も大いに気になったが、まずは基本メニューの2種類をいただいてみた。

まるでコース料理のように楽しませてくれる一杯

らぁ麺は「塩」

▲まるで洋食コースのメイン料理のような佇まい

まずは「塩」らぁ麺。ほらね!見た目からしてもう美しい!

スープ

▲見て!このクリアなスープ!

スープは素材の旨味をしっかり抽出した白湯風に濁らせた後、挽肉などを使いにごりを取り除いたものらしい。

所謂「コンソメスープ」の技法を使っているというあたりがフレンチ&イタリアンシェフのタッグならでは。

見た目の通りクリアな味わいだが、想像以上に旨味にあふれている。

麺

▲ふすまを練り込んでいる麺

ほんのり香ばしさを感じる麺は、どこか生パスタにも通じるモッチリとした食感。

長さのある麺

▲麺が長っ!(笑)

この麺の長さも意図的なんでしょうね。必然的に長くすすることになり、その分香りと旨味が口の中に広がる。

昆布の旨味が凝縮されたエスプーマの泡

▲自分で泡とスープのバランスを調整しながら楽しめる

上に乗っているのはエスプーマでつくった昆布の泡。昆布の旨味が閉じ込められている。

鶏チャーシュー

▲炙られた鶏チャーシューは食べた瞬間に華やかな香ばしさが広がる

しっとりした鶏チャーシューといい、

穂先メンマ

▲深い味わい穂先メンマ

柔らかい穂先メンマといい、麺・スープ・具材・昆布の旨味の泡、一つ一つにものすごいこだわりを感じる。

コース料理というと大袈裟かもしれないが、それぞれに新しい発見と楽しみが感じられる。

ちなみに塩ラーメンの塩は「八雲町の塩」を使用しているらしい。しっかりした塩味は感じるものの尖った感じが一切ないまろやかさが最後まで楽しめる。

三笠の「鶏醤」を使用した醤油ラーメン

「鶏醤」らぁ麺

▲「鶏醤」らぁ麺

こちらは「鶏醤」らぁ麺。名前の通り三笠の「鶏醤」を使用しているらしい。

ちなみに鶏醤はアミノ酸が豊富に含まれるため、ベースの地鶏コンソメのスープの旨味をさらに膨らませてくれる。

豚チャーシュー

▲レアな仕上がりの豚チャーシューはスープで火が通ってしまう前にいただく

「鶏醤」らぁ麺に使われているチャーシューは低温調理された豚チャーシュー。

旨味がギュッと閉じ込められたチャーシューはそれだけで完成された肉料理だ。

麺

▲塩と同じくふすまが練りこまれた麺。スープとの相性抜群!

麺は同じようだけど、「塩」の麺より少しだけ太目かな?こちらも新しい食感と味わいでありながらラーメンとしての違和感はない。

大石さん
そして長い(笑)
エスプーマの泡

▲塩と鶏醤で異なる旨味が凝縮されているエスプーマの泡

こちらの泡には、醤油と昆布の旨味が閉じ込められているとのこと。スープと一緒に味わうとこれまたワンランク上の味わいに変化する。

鶏醤のメンマ

▲「鶏醤」らぁ麺のメンマは太めだが柔らかい

随所に感じられる新しい味わい。見た目にも味にもどこかイタリアンテイストやフレンチテイストが感じられる。

だが、しっかり「ラーメン」なのである。

ラーメンに「無限」を感じさせてくれるお店

ネギ

▲具材はシンプルに鶏チャーシュー、ネギ、メンマのみ。それで十分なのだ

一言でいえばラーメンは「麺」「スープ」「具」で構成されている料理。その意味では「制約がある」と言えるかも知れない。

だけど、それぞれをさらに拘り、磨き上げることでもっと輝いていくんだろうね。

まだまだラーメンは可能性を秘めた料理ということも感じさせてくれるラーメンでした。

金と銀のレンゲ

▲2杯いただいたので2種類のレンゲをコンプリート

味だけじゃなく見た目やお店の雰囲気にも行き届いた配慮。金と銀のレンゲを使っているのもユニーク!

『あなたが落としたのは金のレンゲ?銀のレンゲ?』湖から女神さまが登場してそう問いかけてきそうである。

ここはイソップ童話にならって「正直に」答えなくてはならない。

「私が落としたのは”レンゲ”ではなく、両方のほっぺです」と。

らーめん ほっぺ家

『朝いっちばんはやいのは~♪パン屋~のおじさん♪』

……知っている人いるかなぁ?
朝から仕事をする人を歌った歌で1番はパン屋さん、その後豆腐屋さん牛乳配達さん、新聞配達さんと続き、朝いちばん遅いのは「ぼくんちの兄さん」というオチで終わる歌詞。

らーめん ほっぺ家の外観

▲らーめん ほっぺ家の外観

NHKのみんなの歌で最初に放送されたのは1964年とのことで、今から50年も前の歌。それだけに今のお仕事とはずいぶん違っているかも知れない。

現代ならオチは「朝いちばん遅いのはフレックスタイムのプログラマー♪」とかね。

そして冒頭部分は「朝いちばん早いのはほっぺ家のご主人~♪」となるかも知れない。

このあとを読んでもらえれば、思わずそう言いたくなります。

店名 らーめん ほっぺ家
所在地 札幌市東区北十一条東6-1-40 館ビル 1F
アクセス 地下鉄東豊線「東区役所前」駅から徒歩約3分
駐車場 あり(4台/店舗裏の右側マンション通路奥)
営業時間 [月・火]6:00~8:30、11:00~15:00(L.O.14:45)
[木~日]11:00~15:00(L.O.14:45)、17:30~20:30 日曜営業
定休日 水曜日
席数 9席(カウンター5席)

(店舗情報の引用元:食べログ

月・火曜日限定で朝6時から朝らーめん

朝らーめんの予告案内

▲ワクワクさせてくれる朝らーめんの予告

2023年3月6日から月曜日と火曜日限定でスタートした朝らーめん!なんと朝ラーメンを提供する日は朝3時ぐらいから仕込みをしているらしい。

この事実を知ったら、冒頭の歌にあったパン屋のおじさんも「早起キング」の王座を譲るかもしれない。

「しょうゆ」らーめん

▲平子煮干そばの「しょうゆ」。朝らーめんは「しょうゆ」と「しお」の二種類

平子煮干と昆布だけで取ったスープ。クリアな色のスープは気品すら感じるね。

スープ

▲動物系素材を一切使っていないスープ

上品な煮干しの美味しさが前面に出ながらエグミは一切ない。

麺

▲平打ちの麺と煮干しスープの相性が抜群

2021年7月に創業者の夏堀氏(現「斗香庵」オーナー)から引き継いだお弟子さんの遠藤氏が現在の店主さん。

遠藤店主は福島県の郡山市出身とのこと。福島県と言えば喜多方の朝ラーメンが有名だが、喜多方ラーメンは基本豚の清湯スープ。

なので、スープの印象は全く違うものの、麺にはなんとなく福島エリアのDNAを感じるような気もする。

チャーシュー

▲脂身のとろけ加減がいい感じ

麺もスープも美味しいのはもちろんだが、しっとりして柔らかいチャーシューや、

メンマ

▲食感がクセになるメンマ

創業当初からほっぺ家の代名詞とも言える太メンマなど、具材ひとつひとつの配慮もさすが!

注目のサイドメニュー「土佐漬け卵のそぼろ飯」

土佐漬け卵のそぼろ飯とラーメン

▲鶏そぼろは甘めの味付けでご飯がすすむ

実は冒頭の写真、ラーメンだけ食べているように見せかけているけど、本当は「土佐漬け卵のそぼろ飯」というサイドメニューも注文していた。

土佐醤油に漬けられた卵

▲卵の黄身をつぶすときに罪悪感とワクワク感を感じるのは私だけ?

この土佐醤油に漬けられた卵がまた絶品!上品な出汁の風味に黄身のコクと醤油の旨味。

それに鶏そぼろが乗っているんだもの、一気にかき込みたくなるよね~!

マヨネーズトッピング

▲甘い鶏そぼろとマヨネーズの相性は言うまでもない

全部食べたい衝動を抑えて卓上マヨネーズを使って味変。

マヨネーズをかけた鶏そぼろ飯

▲折角上品に仕上げられた鶏そぼろ飯が一気にジャンクな見た目に変貌

これまた罪悪感を感じるけど、これがまた最高。

完食後の器

▲極上の和出汁……残すのはもったいない!

スープも飲み干しちゃうよね~!

丁寧な出汁にため息がこぼれる平子煮干そばの「塩」

平子煮干そばの「塩」

▲平子煮干そばの「塩」

こちらは平子煮干そばの「塩」。

スープ

▲「あっさり」の一言で片付けられない、朝にぴったりのクリアな味わい

決して煮立たせることなく温度に最新の注意を払いながら取られた出汁。恐らくは付きっきりで温度管理をしながらスープを取っていると思われる。

その苦労がそのままクリアな色と味に出ていてため息がでるぐらい美味しい。

麺

▲麺は醤油と同じく平打ちの麺

クリアで上品な味わいは優しさであふれている。「朝から食べるならこういうラーメンでしょっ!」という店主さんの強い意志もどこかに感じるね。

注目のサイドメニュー「TKG(卵かけご飯)」

卵かけご飯

▲メニュー名は「TKG(卵かけご飯)」

はい!実はこちらも塩ラーメンだけじゃなく、サイドメニューを頼んじゃっています。TKGです!

土佐醤油

▲TKGは卵に醤油を入れてからご飯にかける派

炊きたてのご飯に、土佐醤油をかけた卵を溶いて食べるってんだから、美味しいに決まっている!

卵かけご飯

▲抜群に美味しい!朝に食べる卵かけご飯は格別だね

土佐醤油をかけた卵かけごはんの美味しいこと。

大石さん
朝はやっぱりラーメンじゃなくて卵かけごはんだよね~、なんて発言してしまうとこの「朝ラーメン」企画自体が根本から揺らぐのでやめておく(笑)
完食の器

▲今日も一日元気に仕事をしよう!って気になるね

最初は「月・火曜日だけじゃなく毎日やってほしいなぁ」と思っていた。

だけど、なんせパン屋のおじさんより早起きして仕込みをしているんだから、これ以上の無理は言えない。

大石さん
「朝いちばん遅いのはぼくんちの兄さん♪」らしいが、その疲れているお兄さんに言いたい!せめて月・火曜日は早起きしてほっぺ家のラーメンを食べに行こうぜ!一日、いや一週間を有意義に過ごせるかもよ!

斗香庵 SHINKOTONI

さて、散々「朝ラーメン特集」をやってきておいて今更ですが、「何時から営業しているのが朝ラーメン?」という疑問が湧いてきます。

11時~は昼営業なのは間違いないとして、10時~は「ちょっと早めの昼営業」とするか「朝ラーメン」とするのかが悩ましいところ。

10時オープンはグレーゾーンということになりましょうか。

「斗香庵(とこうあん) SHINKOTONI」の外観

▲「斗香庵(とこうあん) SHINKOTONI」の外観

さて、そんな悩みを吹き飛ばしてくれるこちらのお店!2021年10月オープンの「斗香庵(とこうあん) SHINKOTONI」です。

営業時間の案内

▲営業開始時間に注目!

開店時間が10時ではなく9時50分!!これは文句なく「朝ラーメン」で良いのではないでしょうか。

まるで私の悩みを見透かしたかのような「救いの10分」。堂々と「朝ラーメンのお店」とご紹介させていただきます!

店名 斗香庵 SHINKOTONI
所在地 札幌市北区新琴似8条14-3-1 ヤマキヨビル 1F
アクセス JR「新琴似」駅から2051m
駐車場 あり(店裏横)
営業時間 9:50~15:00(L.O.14:30) 日曜営業
定休日 木曜日、第3水曜日
席数 9席(カウンター9席)

(店舗情報の引用元:食べログ

ラーメン好きの間で密かに話題となった「味わい鶏のつけそば」

新型コロナウィルスが猛威をふるっていた第5波のピークの終盤。私自身はまだ食べ歩きをあまり再開できずにいた頃のこと。

ラーメン友達の間で「斗香庵 SHINKOTONIの味わい鶏のつけそば食べた?」ってのが合言葉になった時期がありました。

味わい鶏のつけそば

▲噂の「味わい鶏のつけそば」

店主の夏堀氏は先にご紹介した「ほっぺ家」の創業者であり、調理の腕は定評がある方。

特に「出汁」や「素材」へのこだわりはハンパなく、その実力は皆が知るところ。

で、ラーメン友達からの情報によると「夏堀さんが本気を出したつけそばが登場した!」という個人的な評価に加えて、「“斗香庵SHINKOTONIに行った?”が合言葉のようになっている」って言うんだもの。

そりゃ食べに行くよね~!

大石さん
「味わい鶏のつけそば」は9:50~11:30までの提供なので注意

岩手県産「味わい鶏」の旨さを120%引き出したつけそば

麺

▲ドンブリや皿ではなく升に入れられた麺 ※現在は升ではなく和食器風の器で提供

このビジュアルだけで期待感があがるよね。そして、まずこの道産小麦100%の平打ち麺がスゴイ。滑らかな食感とほのかな甘みを感じる小麦の風味。

スープ

▲スープは鶏の旨味に和出汁の美味しさ

このスープの美味しさったらないね!本当に素材の旨味の引き出し方やバランスのとり方の上手さが絶妙。

平打ち麺

▲ツルツルもちもち食感の平打ち麺

醤油のキリリとした風味が麺の美味しさをさらに引き立てる。これ、かなり美味しい!!

鶏肉

▲皮目を香ばしく焼き上げた鶏

麺とスープだけじゃない。この鶏の香りと旨味。

岩手県の「味わい鶏」を使用しているらしいが、いい素材というだけじゃなくそれを引き出す調理技術もあるんだと思う。

鶏ツミレ

▲ほんのりと生姜が効いた鶏ツミレ

旨味が閉じ込められたツミレ、

ネギ

▲この写真だけ見ると鶏南蛮っぽい

そしてネギの甘さ。

ビジュアルや味の構成要素などを考えると、どこかで「鴨南蛮」や「鶏南蛮」などの日本蕎麦の良いところを参考にしているのかもしれない。

だが、間違いなくオンリーワンの斗香庵オリジナルつけそばに仕上がっている。

とろ玉子天ぷら

▲魅惑の半熟具合

追加トッピングで注文した「とろ玉子天ぷら」なるもの。この黄身のトロトロ加減を見て!

この辺からも調理へのこだわりが伝わってくるね。

道内2店舗を含めた3店舗で営業中

斗香庵は現在札幌市内には直営店が2店舗。そのほか群馬県太田市には暖簾分け店として「斗香庵OJIMA」という店舗もある。

店内の店舗展開を説明する看板

▲暖簾分け店を含めると3店舗ある

今回ご紹介した「味わい鶏のつけそば」は「斗香庵 SHINKOTONI」限定のメニューである。

「斗香庵 HIGASHI」の外観

▲「斗香庵 HIGASHI」の外観

「斗香庵 HIGASHIでは食べられないの?」と残念がっているそこのあなた!もう一つ朗報をお伝えしておきましょう。

「斗香庵 HIGASHI」ののぼり

▲「斗香庵 HIGASHI」ののぼり

たしかに「斗香庵 HIGASHI」で「味わい鶏のつけそば」は食べられませんが、逆にこちらの店舗でしか食べられないメニューもあるのです。

店名 斗香庵 HIGASHI
所在地 札幌市東区北10条東4-2-51
アクセス 地下鉄東豊線「東区役所前」「北13条東」駅より徒歩約5分
駐車場 なし
営業時間 9:50〜15:00(L.O.14:30)[月曜日]17:30~20:00 日曜営業
定休日 水曜日(祝日の場合は翌日休業)
席数 8席(カウンター席8席)

(店舗情報の引用元:食べログ

「斗香庵 HIGASHI」限定メニューの「鶏中華そば」

鶏中華そば

▲「斗香庵 HIGASHI」だけで食べられる「鶏中華そば」

それがこちらの「鶏中華そば」

「斗香庵 SHINKOTONI店」の「味わい鶏のつけそば」と同じく9:50~11:30までと提供時間が決まっているので要注意。

スープ

▲和出汁オンリーの中華そばも美味しかったが、こちらも秀逸!

鶏の旨味が最初に広がり、余韻に和出汁の美味しさが口の中に広がる。

西山製麺製を示す看板

▲店内に飾られている看板

麺は西山製麺の斗香庵専用の特注麺らしい。

麺

▲麺の食感はもちもち

やや細めに切られた麺はすすり心地も香りも抜群。

チャーシュー

▲小ぶりながら食べごたえがある厚みのチャーシュー

トロトロの豚バラチャーシューに、

鶏天

▲揚げたてサクサクの衣はそのまま食べてもスープにひたしてもGOOD

鶏天という組み合わせがまた泣かせる!

純和出汁の中華そばとは、こうやってトッピングにも差別化を図っているところにもこだわりを感じるよね。

とろ玉子の天ぷら

▲割る前からわくわくが止まらない

そして追加でオーダーした「とろ玉子の天ぷら」。レンゲに乗せて慎重に箸で割ってみると……

割った後の「とろ玉子の天ぷら」

▲黄身を一滴たりともこぼさないようレンゲの上で割るのがおすすめ

黄身よりも心がトロトロになるわ!天ぷら衣以上に気分があがりまくるわっ!

忘れちゃいけない「ドンブリ」の4文字

そろそろ長くなってきたのでこの辺にしたいところであるが、なんせこちらのお店、サブタイトル(?)は「中華そば“と”ドンブリ」斗香庵、だからね!

「と」の部分も紹介しないわけにはいかない。

丼メニュー

▲丁寧に蓋をして提供してくれるのが嬉しい

こちらのお店、トンカツを使ったメニューだけでも「タレカツ丼」「味噌カツ丼」「カツ丼」「カツカレー丼」と充実している。

そして、そのどれもが低価格で提供されているから驚き。2023年4月現在、丼メニューは一律390円!

蓋を開ける瞬間におのずとテンションが上がる。何が出るっかな!何が出るっかな!

大石さん
って、何が出て来るのは注文しているからわかっているんだけどね。これで蓋を開けて意外なものが出てきたりしたらそれは注文ミスか提供ミス(笑)

人気のタレカツ丼

タレカツ丼

▲ドンブリメニューの一番人気

揚げたてのヒレカツが3枚も乗ったタレカツ丼。醤油ベースのタレが染みていて、ラーメン店で提供するレベルを超えている美味しさ。

蓋で熱と一緒に香りを閉じ込めることでご飯にも適度に香りが移る、これも和の技法で和のおもてなし。

2023年4月25日からの新メニュー「牛すき丼」

牛すき丼

▲牛すき丼(画像は斗香庵公式twitterより)

最新情報として「2023年4月25日より「牛すき丼」提供開始」という情報も飛び込んで来た。

これだけ人気店でありながら、まだまだ意欲的に新メニューを投じるというのもすごいよね。

目指すは誰しもが健康的に笑顔で楽しめるラーメン

完食した器

▲塩分や油が控えめだからスープまで飲んでも…大丈夫…???(笑)

化学調味料を使用せず塩分や油も最小限に控えているというこちらの両店。

それ自体が大きなこだわりで、相当の調理技術を必要とするのはもちろんであるが、丼の蓋やトロトロの卵、鶏の皮目の焼きなどなど。

細部にまでこだわりがあるところも忘れてはならないと思う。

店のコンセプト案内

▲店主のこだわりや思いが伝わってくる

そのこだわりのお店があえて10時ではなく9時50分を開店時間にした。その「10分」もきっと細部のこだわりの意思表示なのかもね。

大石さん
その10分のこだわりを解き明かしたい気持ちもあるけれど、「10分」ではなく「十分(じゅうぶん)」に幸せを感じてもらいたいから!との意思表示と勝手に解釈しておきましょう

さいごに

さて、プロローグを含めて3回に渡りご紹介してきた札幌の朝ラーメン情報、いかがでしたでしょうか?

実はご紹介したいお店は他にもありました。

ちょっとだけ紹介【町中華屋台 飯田】

町中華屋台 飯田

▲町中華屋台 飯田

人気店「Mari iida」の系列店として2023年1月16日にオープンしたお店。

大石さん
現在は朝営業はお休みしているのでメインのご紹介には載せられず、残念!

ただ、夜は居酒屋+ラーメン屋として営業しており、もちろん美味しいラーメンが食べられます!

魚介の旨味にあふれたこのスープに「Mari iida」オリジナル自家製麺で作られるラーメンは、ノスタルジックな見た目からは想像できないぐらいにハイクオリティ!

食事だけでもOKとのことですが、もちろんここで飲んだ後の〆ラーメンとしても最高だと思います。

店名 町中華屋台 飯田(いいだ)
所在地 札幌市東区北十五条東1-2-19
アクセス 地下鉄東豊線「北13条東」駅から徒歩4分
駐車場 あり
営業時間 16:00〜24:00 ※現在朝の部はお休みしています。
定休日 日曜日
席数 22席

(店舗情報の引用元:食べログ

ちょっとだけ紹介【ラーメン山岡家 朝ラーメン】

ラーメン山岡家

▲知らない人の方が少ないと思われる人気チェーン店

今のように札幌での朝ラーメンの選択肢が多くない頃から24時間営業の強みを活かして朝ラーメンを提供していました。

大石さん
個人的には「朝ラーメン」というカテゴリーでは間違いなく一番多く食べているお店^^;

朝ラーメンの麺は通常より細く、どちらかと言えば博多ラーメンに近い細ストレート麺。

510円(税込/2023年4月現在)というコスパの高さもありがたいですが、何よりすっきりした豚骨スープは朝からするすると食べられる美味しさ。

替え玉100円に加えて半替え玉50円というのもありがたい。

山岡家は店舗毎にスープを炊いているので、微妙に店舗毎に味が違うと言われていますがそれも楽しみのひとつ。

※複数の店舗があるため、朝ラーメンの提供やお店の基本情報についてはお店へご確認ください。

札幌の朝ラーメン文化が根付いてくれることを期待!

プロローグでも書かせていただきましたが、

  • 札幌のラーメンの味がバラエティ豊かになり、あっさり系の味も受け入れられるようになった
  • コロナ禍でライフスタイルの変化により朝からラーメンが受け入れられやすい背景ができた

このような変化を考えると一過性のブームではなく、札幌の新しいラーメン文化として長く根付いてくれるのではないかと思っています。

大石さん
「今日の朝ごはんはラーメンだったんだ」と言っても今までのようにドン引きされるのではなく「うらやましい」と言われたい、個人的な願望も強くあるのかも知れないけどね!

次回はまた別な切り口で札幌ラーメンをご紹介していきたいと思います。お楽しみに!

WRITER/大石 敬(札幌ラーメンコンシェルジュ)

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