夏こそ!札幌近郊ラーメンドライブ|札幌ラーメン最新事情2023 第6回

北海道に旅行にいらっしゃる方の中には「自然が豊かだから」といった、景色を楽しみたいという理由で訪れる方も少なくないと思います。

「大自然=緑豊かな風景」をイメージされる方が多いかもしれません。

雨竜町の田んぼ

▲【のどかな風景その1】雨竜町の田んぼ

人の手が入っていない原生林などの「大自然の風景」の美しさは言わずもがなですが、人が努力して手を加え整備している「里山の景色」や「田園風景」もいいものです。

なにが言いたいかというと、北海道には人の努力で作られている沢山の農作物があり、その風景も美しいんですよってことです!

※サービス内容、営業時間、定休日等は変更となる場合がございますので、来店前に店舗にご確認ください。

■目次

のどかな田園風景をドライブしながらラーメン店巡り

春から秋にかけて様々な農作物が育ち、季節ごとにその姿を変えていく。これはなかなか見事で、北海道の魅力の一つではないかと勝手に思っております。

トウキビ畑

▲【のどかな風景その2】長沼町にある三木田農園さんのトウキビ畑

昨年はたまたま仕事の関係でいくつかの農家さんの取材で伺う機会がありました。

どの方もこだわりや思いがあり、文字通り「丹精込めて育てている」ということを感じました。

大石さん
ちなみに北海道ではトウモロコシをトウキビと呼ぶ人が多いよ!
虻田郡洞爺湖町のジャガイモ畑

▲【のどかな風景その3】虻田郡洞爺湖町のジャガイモ畑

そして何より楽しかったのはその道中に広がる田園風景の美しさ。

大石さん
札幌から1時間もかからずにこんな風景が見られるなんて、やっぱり札幌っていいなぁと改めて思ったりしたのでした^^;
札幌から一時間圏内のエリア

▲札幌から一時間で行けるのはこのあたりのエリア

ということで、今回は車で1時間程度のドライブを楽しみながらラーメンはいかがでしょう?ってテーマで考えてみました。

長沼~栗山~岩見沢付近にある個人的に注目しているラーメン店をピックアップしたいと思います。

道の駅「マオイの丘公園」の直売所

▲道の駅「マオイの丘公園」の直売所

このエリアには野菜の直売所や道の駅なんかも点在しています。

大石さん
「ドライブで風景を楽しみ」「美味しいラーメンを食べて」「新鮮な野菜をお土産に買う」なんて充実した一日を過ごせるかもしれません

自家製麺 おお田<南幌町>

「自家製麺 おお田」ののぼり

▲朝ラーメンの提供を知らせるのぼり

南幌町にも朝ラーメンがあるんです!朝6時から営業しているありがたいお店「自家製麺 おお田」です。

前回の朝ラーメン特集はこちら

サムネイル

朝ラーメンの注目店をピックアップ【前編】|札幌ラーメン最新事情2023 第5回②

2023年4月19日
「自家製麺おお田」の外観

▲「自家製麺おお田」の外観

それもそのはず。札幌の朝ラーメンで人気店だった「おお田ラーメン店」が南幌に移転して来たお店ですから!

大石さん
朝ラーメンの先駆け的存在でありエキスパート!今度は南幌でも朝ラーメンを広げちゃおうって事かも知れないですね
店名 自家製麺 おお田
所在地 空知郡南幌町西町3-5-8
アクセス JR函館本線「豊幌」駅から8.3km
駐車場 あり(店前7台)
営業時間 6:00〜14:30(無くなり次第終了) 日曜営業
定休日 月曜日、火曜日
席数 11(カウンター7席)

(店舗情報の引用元:食べログ

なんぽろ らーめん街道

「なんぽろ らーめん街道」のリーフレット

▲「なんぽろ らーめん街道」のリーフレット

実は南幌町は今ラーメンがアツい!町を挙げて「なんぽろ らーめん街道」という取り組みを行っている。

参加店は以下の5店舗

  • 南幌で高橋
  • らーめん風樹
  • 自家製麺 おお田
  • なんぽろ温泉 レストラン味心
  • 南幌らーめん きらら
「なんぽろ らーめん街道」のリーフレット裏面

▲「きらら街道」という道沿いにあるラーメン店が参加しているよう

全店はご紹介できないが、このきらら街道を中心とした南幌エリアだけでも楽しい食べ歩きができると思います。

自家製麺になって札幌から南幌へ移転

さて、話を戻しましょう。札幌では「おお田ラーメン店」という名称でしたが、ここ南幌では「自家製麺 おお田」に変更して移転。

そう!自家製麺になったんですね~!

入口のスタンドには「当店は醤油ラーメン専門です。」の文字

▲入口のスタンド

店の前には「当店は醤油ラーメン専門です。」の文字。なんの予備知識もない人なら「醤油一種類しかないのか」と思うかもしれません。

違うのです!「醤油」だけで3種類もあるんです!

見た目も味わいもまったく異なる3種類の醤油ラーメン

たまり醤油ラーメン

▲たまり醤油ラーメン

漆黒とも言える濃い醤油色が特徴の「たまり醤油ラーメン」。

淡口醤油ラーメン

▲淡口醤油ラーメン

透明感のある「淡口醤油ラーメン」。淡口と書いて「うすくち」と読みます。

白たまり醤油ラーメン

▲白たまり醤油ラーメン

そして、塩ラーメンと見紛うほどにクリアな「白たまり醤油ラーメン」。

同じ「醤油」とうい名前がついているものの、味わいは全く違うんです。

3種類の醤油スープを比較してみた

「醤油ラーメンだけしかないんだ」と思ったそこのアナタ!

是非この店で食べて「醤油ってこんなにバリエーション豊かなの!?」と驚いてください。

醤油ラーメンその①たまり醤油ラーメン

たまり醤油ラーメンのスープ

▲濃ゆい見た目からワイルドでパンチが強そうな印象だが、口当たりは驚くほどまろやか

まずは「たまり醤油ラーメン」。ベースのスープは昆布と煮干し。

なじみのある醤油の風味ながら、角のない塩味や深いコクは普段口にしている醤油とはちと違う!風味が特にいいなぁ。

さて、3種類の醤油ラーメン。2023年連載はアカデミックをテーマにしている札幌ラーメン最新事情。ということで、スープの違いを「図解」にしてみようかなと。

たまり醤油のイメージはこんな感じ。

たまり醤油のイメージ
大石さん
……果たしてこれを「図解」というのであろうか?(-_-)

醤油ラーメンその②淡口(うすくち)醤油ラーメン

続いてこちらは「淡口醤油ラーメン」。

淡口醤油ラーメンのスープ

▲煮干の出汁感がしっかり感じられて一番バランスがイイかも知れない!

淡口醤油ラーメンは、こんな透明感のある見た目なのにキチンと醤油の風味がしっかりしていてびっくり!

淡口醤油のイメージはこんな感じ。

淡口醤油のイメージ
大石さん
醤油っぽく見えないのに、実は一番醤油らしい味わいってことでこんなイメージ。伝わるかな?^^;

醤油ラーメンその③白たまり醤油

そして最後の「白たまり醤油」。まるで塩ラーメンのような透明感。

白たまり醤油のスープ

▲ほのかに感じる甘さが出汁の美味しさを引き立ててくれる

ちゃんと味するのかな?ってぐらい心配になる色なのですが、これがしっかり旨味を感じるのです!

白たまり醤油のイメージはこんな感じ。

白たまり醤油のイメージ

弱弱しく見えるけど、実は芯が強い。そんなイメージが浮かびました!

大石さん
図解(?)にしたけど、伝わりにくいね(笑)

2種類の自家製麺を味わう

さて、ここからは麺の話。前述の通り、ここ南幌に移転して来て「自家製麺」へと変更となっている。

標準はストレート麺

麺

▲麺は3種の醤油ラーメン共通

標準の麺はストレートのやや細めの麺。これが実に美味しくそれぞれのスープとも合っている。

やや加水率の低めの麺

▲やや加水率の低めの麺は歯ごたえもいい

徐々にスープを吸ってくるとまた別の表情を覗かせてくれる麺で、最後まで楽しく美味しくいただける。

50円増しで手もみ麺に変更可能!

店内の張り紙

▲麺が変わるとスープの印象も変わるので、ぜひ試してほしい

さらに、プラス50円で道産小麦(春よ恋)の手もみ麺に変更できる。

道産小麦(春よ恋)の手もみ麺

▲道産小麦(春よ恋)の手もみ麺

これがまた美味しいんだよね~!もっちりした食感に手もみの縮れで、すする時の食感が楽しい。

チャーシュー

▲厚めなのに中までしっかり味が染みている

柔らかく仕込まれたチャーシューも絶品で、手間のかかった仕込みが感じられる。

ラーメンのお供に!朝限定で食べられるミニカレー

チャーシュー以外の具材もご紹介したいところではあるが、それよりもこちらのメニューを紹介したい!

朝限定のミニカレー

▲300円という頼みやすい価格設定

朝限定のミニカレー!これがラーメンのお供に最高。

白米にはパセリが乗っている

▲どこかホッとする味わい

優しいカレーで、ラーメンの美味しさを邪魔しない。

辛みスパイス

▲辛いカレーが好きな人はこちらをどうぞ

付属の辛みスパイスで辛さをアップすることもできます。

午前中にスープが終了する人気店

入り口の張り紙

▲金曜日は製麺と具材の仕込みで10時までの営業

南幌に移転しても変わらぬ人気店……いや、札幌時代以上に人気を博しているような気がする。

春になるとバイクツーリングのお客さんも多いようだし、午前中でスープ切れと言うことも少なくないようだ。

自家製麺

▲自家製麺にしてかなり仕込みも大変になったのだと思う

中々ハードルの高い店になってしまったが、近郊ドライブで「まずはこちらのお店で朝食を!」というのもアリなんじゃないでしょうか?

大石さん
というか、こっち方面のドライブにはまず最初に組み込むべきお店だね!

南幌で高橋<南幌町>

札幌の超人気店「麺屋高橋」。つけ麺が特に有名で「札幌No.1」と評価する人も少なくないお店。

その名店のセカンドブランドが2020年8月、南幌にオープンした。

「麺屋高橋」の過去の撮影記録

▲「麺屋高橋」の過去の撮影記録

まぁ正しい日本語で言えば

  • 南幌「の」高橋
  • 南幌「に」高橋

って事になるのでしょうが、名付けられた店名は「南幌高橋」。

大石さん
なんかちょっと斬新ですね!
店名 南幌で高橋(なんぽろでたかはし)
所在地 空知郡南幌町南11線西14
アクセス JR函館本線「江別」から7.7km
駐車場 あり(店横約10台)
営業時間 11:00~14:00 日曜営業
定休日 水曜日
席数 12席(カウンター6席)

(店舗情報の引用元:食べログ

のどかなトウキビ畑沿いに佇む「南幌で高橋」

「きらら街道」

▲街道の由来は、空知南部広域農道に広がる稲作畑で育つ米の品種「きらら397」から

「きらら街道」は農業振興の目的で整備された江別市、南幌町、長沼町、栗沢町を結ぶ道路。そこから少し横に入ったところにお店はある。

「南幌で高橋」ののぼり

▲「南幌で高橋」の前には稲ではなくトウキビ畑が広がっている

こんなところにお店があるのか?と不安になるかもしれないが道路沿いに立てられているのぼりが目印になる。

「南幌で高橋」の看板

▲入口に立てられた、かわいらしい看板

トウキビ畑を横に見ながら店へと曲がると、10台ほど停められる駐車場がある。

濃厚な極上豚骨スープの正油ラーメン

オープン当初は「正油ラーメン」のみの提供だったが、現在は「塩ラーメン」や「辛いラーメン」などもあり、どれも人気メニューとなっている。

正油ラーメン

▲正油ラーメン

麺屋高橋が「豚骨+魚介」なのに対してこちらのお店は「豚骨オンリー」という感じかな。

豚骨スープ

▲高橋らしい濃厚な豚骨スープ

流石高橋!とうなりたくなるような極上豚骨スープの美味しさ。

スープがよく絡んだ麺

▲スープとよく絡み、めちゃめちゃ美味しい麺

やや細めで色白の麺はその強い縮れで食感も楽しい。

スープに浮いたネギ油

▲ネギ油も香りが豊かで秀逸!

「豚骨オンリー」と書いたが、「豚骨スープ+タマネギ」と言ってもいいんじゃないかな。

タマネギの甘さと香りがこのスープを引き立ててくれる。

メンマ

▲コリコリと食感のいい、甘めのメンマ

高橋らしい極太メンマも美味いね~。

チャーシュー

▲藁焼きで仕上げられたらしいチャーシュー

もう一つ秀逸なトッピングがこのチャーシュー。ほんのりスモーキーでこれまたオンリーワンの美味しさ。

タマネギがいい仕事をしている塩ラーメン

塩ラーメン

▲塩ラーメン

さて、こちらは「塩ラーメン」。もしかするとこちらの塩ラーメンの方がスープのすごさを感じることが出来るかもしれない。

塩スープ

▲豚骨ベースのため少し白濁している塩スープ

最初この地にセカンドブランド店をオープンすると聞いた時には「なんで南幌?」と思ったのであるが、南幌町はタマネギはもちろん様々な野菜の名産地。

この地元の美味しい野菜を活かしたラーメンを作りたいという思いがあったのかも知れない。

タマネギ

▲ゴロゴロと大きめに切られたタマネギ

タマネギがイイ~仕事をしてくれています!豚骨スープそのものはかなり濃厚なのにこのタマネギのおかげでスッキリ飲める。

大石さん
豚骨+タマネギ、美味いね~!

辛党も満足できるカラサの辛いラーメン

「辛いラーメン」

▲「辛いラーメン」は略しているのではなく、れっきとした正式名称

そして、この「辛いラーメン」もこれまた秀逸なんです。

スープ

▲チャーシューにかかっているのはラー油

最初の一口目は濃厚なスープにピリ辛のアクセントで「優しい辛さ」という印象だったが……徐々に辛さが増してくる。

チャーシューと唐辛子

▲食べ進むうちに奥から発掘された唐辛子

焼き目の入ったこの唐辛子が激辛なのである。鷹の爪でしょうかね?

大石さん
見た目は小さいけど辛さはハンパないので要注意^^;
唐辛子

▲箸もレンゲも止まらなくなる!

ほんのちょっぴりかじって麺をすすり、またちょっとかじってスープをゴクリ。

食べ終えるころには汗も止まらなくなっていた(笑)

南幌に行ったらぜひ立ち寄ってほしい店の一つ

最初に「南幌に2号店をオープン予定」と聞いたのは2018年の秋だったと思う。

その後、オープン予定は「2019年6月頃」との情報があったものの、最終的にオープンしたのは2020年8月。満を持してのオープンというところだろうか。

かわいいポスト

▲間違いなくドライブがてら行く価値のあるお店!

麺屋高橋で培った濃厚豚骨スープの美味しさに地元産のタマネギをはじめとした美味しい野菜。

高橋店主がここ南幌にこのお店をオープンした意味がわかると思う。

大石さん
「南幌行くなら高橋」であり「南幌では高橋」なのである!あ、店名はあくまで「南幌で高橋」なのでお間違えのないように

大鵬<栗山町>

WBCで日本中を沸かせてくれた侍JAPAN。
その指揮をとった栗山監督と栗山町に深いつながりがあることは北海道の人なら知っている人も多いと思う。

でも、栗山監督が「名前が同じだからここに家を建てた」のではなく、逆に栗山町からオファーをしたこと、しかもそれが、日ハムの監督に就任するずっと以前の事という事実を知る人は意外と少ない。

栗山町観光パンフレット

▲出典:栗山町観光パンフレットより

栗山町と栗山監督のつながりは、1999年栗山監督がヤクルトスワローズ時代に栗山町の観光大使に任命されたことから交流が始まる。

現在は自宅敷地に「栗の樹ファーム」という野球場やミュージアムがあり一般開放されている。

その野球場はまるで映画「フィールドオブドリームス」のような素敵なロケーションで、オフには監督自ら手入れをしているとのこと。

大石さん
うーん!素敵!ますます栗山監督が好きになるわ

さて、栗山監督やWBCの話題になると止まらなくなるので本題!栗山町が誇る、名店ラーメン「大鵬」のお話。

店名 大鵬(たいほう)
所在地 夕張郡栗山町桜丘1丁目28-34
アクセス JR室蘭本線「栗山」駅から839m
駐車場 あり
営業時間 [火~金]11:00~15:00、[土・日・祝]11:00~15:00 日曜営業
定休日 月、第3火曜日
席数 24席(カウンター12席)

(店舗情報の引用元:食べログ

行列必至の超人気店

「大鵬」ののれん

▲色褪せから歴史を感じるのれん

昭和57年(1982年)創業の栗山町が誇る老舗ラーメン店「大鵬」。

個人的には「栗山町と言えば?」で真っ先に思い浮かぶのは栗山監督でも小林酒造でも豊富な野菜の産地である事でもなくこのラーメン店。

行列

▲休日にはこの行列っぷり

行くなら行列覚悟ですが、回転は思いのほか早いのでご安心ください。

そう、このお店はラーメンの提供がめちゃめちゃ早いことでも有名!

大石さん
手際の良い調理とスタッフさんの連携であっという間にラーメンが提供されるのも見ものです^^

イチオシはネギ味噌ラーメン

ネギ味噌ラーメン

▲ネギ味噌ラーメン。ちゃっかりライスも

さて、大鵬でぜひ食べてほしいのが「ネギ味噌ラーメン」。

使用しているのは地元産の軟白ネギ。このネギが甘くておいしいし、味噌スープにイイ旨味とコクを加えてくれる。

なんとネギの供給がない端境期(大体4月~5月)はメニューから外すこだわりよう。

味噌スープ

▲味噌スープそのものはノスタルジック札幌ラーメンの味わい

ラーメン自体は昔ながらの味噌ラーメンなのであるが、これが実に美味しい。

札幌市内では少しずつ減ってしまっている「普通」の味噌ラーメンが、栗山町で食べられるとは。

大石さん
「普通」と書くと誤解を招きそうだね

札幌ラーメンについてはこちら

サムネイル

朝ラーメンの注目店をピックアップ【前編】|札幌ラーメン最新事情2023 第5回②

2023年4月19日
もやし

▲札幌ラーメンらしい、もやし

長く続く老舗店では当たり前に食べることができた、札幌っ子が大好きな味噌ラーメン。

その老舗店が札幌では後継者問題などで少しずつ減っているのは寂ししい限りである。

麺

▲札幌ラーメンらしい、西山製麺の黄色い縮れ麺

西山製麺のこの麺も札幌っ子のDNAを震わせてくれる。

日常食として「安心できる美味しさ」がこのお店では健在である。「極上の普通」…はちょっと伝わりにくいかな?

ネギを時間で変化する食感と味変で楽しむ

ネギ

▲提供直後のネギはシャキシャキの食感

ネギは注文が入ると手際よく辛味ダレと合わせてラーメンにトッピングしてくれる。

最初はそのままいただき、タレとネギそのものの辛味を楽しむのもいい。

だが、真価を発揮するのはこのネギをスープに沈めた後。熱が加わったネギはしんなりと柔らかくなり、甘みがグッと引き立つのである。

ニンニク

▲おろしニンニク

卓上にあるニンニクや、

オリジナル辛味ペースト

▲オリジナル辛味ペースト

オリジナル辛味ペーストを加えるのもオススメ。

オリジナル辛味ペーストを入れたスープ

▲一気にパンチが加わり、テンションも上がる!

「極上の普通」と書いたが、ニンニクや辛味ペーストを加えると、「極上の普通の極上版」になるのである!

……うん、表現がめちゃめちゃヘタクソ(苦笑)

札幌っ子がノスタルジーを感じる味噌ラーメン

チャーシュー

▲脂が少なめのしっかり系チャーシュー

スープはもちろん、麺やこのチャーシューに至るまで、昔から変わらぬ札幌ラーメンの美味しいエッセンスが詰まっている。

昔から札幌っ子に元気を与えてくれた日常食の札幌味噌ラーメン。所謂「ノスタルジック札幌味噌ラーメン」がここにはある。

メンマ

▲味の主張が控えめで食感がいいメンマ

そのラーメンが札幌市内ではなく栗山町でそれが提供されているというのが、少しだけもどかしい気もする……。

大石さん
いわゆる「ノスラー」好きな自分としては、「やっぱり札幌っ子はこれだよなぁ」と嬉しくなってしまう。
ワカメ

▲個人的にはラーメンにワカメはいらない派なのだが、ここの味噌ラーメンには良く合うのだ

奇をてらった斬新な味では決してないけれど、安心できて元気のもらえる美味しさがここにはある。

もし提供されている時期であれば、ネギ味噌ラーメンでこの店のオリジナリティも感じて欲しいところ。

きっと「極上の普通」という意味が分かってもらえると思う。

麺屋 美しい日<安平町>

「〇〇だからカロリーはゼロ」なんてフレーズがありますよね?

最近では「つけ麺は麺が冷たいからカロリーゼロ」なんて言葉も飛び出しているようで……。

いや、お笑いとしてはいいんだけどね。

今年の「札幌ラーメン最新事情」はアカデミックなアプローチもテーマである。これはちょっと見過ごすわけにはいかない。

つけ麺は麺が冷たいからカロリーゼロだと?

馬鹿言ってんじゃないよ!全然科学をわかっていない!!カロリーがゼロになるわけじゃないないか!!!

「麺屋 美しい日」を例にして、ここは科学的にバッサリ切らせていただきたいと思います!

店名 麺屋 美しい日
所在地 勇払郡安平町早来栄町19-1
アクセス JR室蘭温泉「早来」駅より徒歩約4分
駐車場 あり(4台/斜め向かいの町営駐車場使用可。土日のみ隣の早来ファミリー歯科さんの駐車場利用可)
営業時間 11:00~14:30、17:00~19:30
定休日 月曜日、第2日曜日
席数 22席(カウンター 6席)

(店舗情報の引用元:食べログ

1玉~2玉から選べる極太の平打ち麺

外観

▲「麺屋 美しい日」の外観

「麺屋 美しい日」は安平町に今年の4月にオープンしたお店です。

のれん

▲オレンジ色が鮮やかなのれん

話は冒頭の「カロリーゼロ問題」に戻りますが、いいですか?つけ麺は「冷たい麺に温かいスープ」が基本なのです!

そう、麺が冷たくてもスープは温かいのです!!科学的に言えば……「半分だけしか冷たくない=カロリーは50%しかオフにならない」のです!

大石さん
どう?アカデミックでしょ?
券売機

▲券売機。つけ麺以外に普通のラーメンも注文できる

正解は「つけ麺は麺が冷たいからカロリーは半分になる」なのです!

科学的なアプローチってのはこういうことを言うんです。

「辛つけ麺・大(2玉)」のボタン

▲麺の量は1玉、1.5玉、2玉の三種類

カロリーが半分ってことはだよ?麺を2玉食べても1人前のカロリーしかないってことだよね?

躊躇することなく「辛つけ麺・大(2玉)」のボタンをポチッ!

大石さん
余談ですが、ダイエットに気を遣う私はマヨネーズもカロリーハーフを使います!……そして倍の量を使うのです^^;

高橋イズムが生きた濃厚スープの辛つけ麺

辛つけ麺・大(2玉)

▲辛つけ麺・大(2玉)

初訪問ですが注文したのは「辛つけ麺・大(2玉)」です。勘の鋭い方ならこのビジュアルだけでピンと来るかもしれませんね。

そう!「南幌で高橋」のところでも少し触れた名店「麺屋高橋」ご出身の方がオープンさせたお店なんです。

麺

▲しっかりと冷水で締められた喉越しがいいモチモチ麺

極太の平打ち麺に、

スープ

▲濃厚なスープは高橋イズムそのまんま!

濃厚な豚骨魚介スープがトレードマーク!

大石さん
私は麺屋高橋の普通のつけ麺も好きだけど、辛つけ麺が特に大好き!

やや塩分濃度が抑えられている印象で、濃厚ながら食べやすいスープ。

スープが絡んだ麺

▲麺にスープがしっかり絡んでくる

これがこのモッチモチの極太麺と組み合わさると、本当に幸せな気分になります。

大石さん
「麺屋幸せな日」と言いたくなるけど、「麺屋美しい日」なのでお間違えの無いように

高橋イズムとオリジナリティが交差する具材

メンマ

▲高橋を思い出すでっかい幅広メンマ

メンマのこの食感と味わいが最高なんだよね。

チャーシュー

▲脂身控えめのしっとりチャーシュー

随所に高橋イズムを感じ、しっかり味と志を受け継いでいる印象。

そして、このお店ならではのチューニングも加えられ個性も取り入れられているという感じでしょうか。

粒山椒

▲スープに浮かぶ粒山椒

高橋ではあまり感じない、ちょっとピリッとした痺れる「麻(マー)」な味わいは粒山椒によるものと思う。

このピリッとしたアクセントの強さはこの店の個性かもしれません。

箸で持ち上げた麺

▲食べ応えのある大盛り2玉の麺もするすると胃袋へと収まっていく

高橋に比べるとスープの塩味がわずかに控えめな印象だったが、それも食べやすさにつながっているのかも。

麺を平らげたらスープ割りで締め!

完食した器

▲2玉頼んで大正解

提供されたときはあんなにボリューミーに見えた麺も、あっという間になくなってしまった……。

店内の張り紙

▲このつけダレを残す手はないよね

スープ割りをお願いし、楽しいランチタイムもフィニッシュへと向かっていく。

スープ割り

▲魚介の風味に豚骨のコクが再びくっきり浮かび上がる

スープ割で新たに加えられたネギの風味で、最後の一滴を飲み干すまで楽しませてくれる。

スープまで飲み干した器

▲スープ割りのおかげでつけ麺を余すことなく味わえる

大石さん
つけ麺はカロリーが半分になるからありがたいよね^^麺2玉でも罪悪感ゼロ!

……というのはウソだけど、この美味しさなら「これで太っても後悔しない」と思ったのは本当。

安平方面のドライブに行くならぜひ立ち寄りたいお店

店内のポスター

▲魚介豚骨の「おさかならーめん」も人気

今回の紹介エリアからはちょっと外れてはいるものの「ドライブで食べたいお店」を考えたらどうしてもご紹介したかったお店です!

大石さん
安平~苫小牧は風景がきれいなドライブコースがたくさん。安平方面へ行くなら立ち寄って後悔しないお店だと思います^^

ちょっと変わった店名「麺屋美しい日」。

勝手な解釈だけど、美味しいモノを食べ、それを幸せと思えること。それだけでその日は「美しい日」になるのだと思う。

味の一令< 岩見沢市>

「暖簾を受け継ぐ」という言葉があるよね。「暖簾」というぐらいだから「名前を継ぐのは大前提」というのが一般的。

で、暖簾を受け継ぐ場合は老舗や人気店であればあるほどその責任は重くなる。

なんせ多くの常連さんやファンが厳しく評価しちゃうわけだから。店名だけを継ぐだけではなく、味はもちろんその「心」までも引き継がないと納得してくれないとかね。

後継者にしてみればそんな評論家達はある意味「やっかいな存在」かも知れない(笑)

ということで、とある名店の味を引き継ぐ「味の一令」を紹介したいと思う。

店名 味の一令(あじのいちれい)
所在地 岩見沢市東町668-1
アクセス JR函館本線「岩見沢」駅から3256m
駐車場 あり(店前横10台)
営業時間 [火~金]11:00~14:00
定休日 月曜日、土曜日、日曜日、祝日
席数 11席(カウンター 9席)

(店舗情報の引用元:食べログ

名店「味の一平」の味を受け継ぐ店

さて、かつて千歳には名店「味の一平」というお店があった。

味はもちろんその接客にも定評があり、地元だけじゃなく遠方からも多くのお客様が訪れていたのだが、惜しまれつつ2018年に閉店してしまった。

「味の一平」

▲過去に「味の一平」を訪れたときの記録

お店のスタッフさんは全員女性。そのテキパキとした動きで提供スピードの早さも評判のお店だった。

ただ提供が早いだけじゃない。こう書くと語弊があるかもしれないが「女性ならではの心配り」とも言える、細やかな接客がとても気持ちが良いと思っていた。

閉店は実に残念だった。

行列

▲「味の一令」も「味の一平」に負けず劣らずの人気店

ところが!なんと先代の娘さんが岩見沢市で「味の一令」というお店をオープンさせたというではないか!

最初に店の名前を聞いた時に「店名が違うんだ」という違和感があったのが本音。

だが、「味の一平」の味を味を引き継いでいるらしいと聞くと俄然行きたくなったよね。

営業時間はたったの3時間!

営業時間の案内

▲土日休みの方は簡単に行けないかも

だがしかし、営業は平日の11時~14時という実にハードルの高いお店!

大石さん
初訪問の時には会社を休んで行っちゃいましたよ(笑)

味の一令は2021年6月にオープンしたお店。
元々の地元千歳からはかなり距離があり、当時の常連さんは少ないだろうと思うのだが、すでに行列の絶えないお店になっている!さすが!

味噌ラーメンは驚くべき再現度の高さ

特製みそラーメン

▲特製みそラーメン

さて、私が「味の一平」で一番好きだったのは味噌ラーメン。

決して「味の一平」の常連だったというわけではないが、「どれどれ味の一平の味を受け継いだらしいから評価してやろうか」ってなもんですよ。

大石さん
自分がすっかり「ある意味やっかいな存在」になってる(笑)
スープ

▲油は多いがどこかさらりとした印象すら感じる口当たり

一口食べて思ったね。

「まんま“味の一平”!!」

ニンニクの効いたパンチのある味わいながらくどさは感じない。

麺

▲やや加水が低めでもっちりとした麺

西山製麺のやや細めの麺も「味の一平」のものと同じと思われる。

大石さん
これこれ!思わず笑みがこぼれちゃうね^^
たっぷりの野菜

▲スープにも野菜の旨味が加わり旨味が重層的になる

たっぷりの野菜が嬉しい!手際よく調理しないとこのシャキシャキ感は出せないよね。

随所に「味の一平イズム」を感じる、まさに「暖簾を受け継いだ」味なのである。

もやしと麺

▲野菜と麺をそれぞれ味わったら一緒に箸でつまみ上げてズルっと!

口いっぱいほおばる至福……。

レシピなしでこの味にたどり着いた!?

とある常連さんに聞いたところ、「最初はちょっと味の一平と違う気がしたが今は同じ味だと思う」と言っていた。

少なくとも私がいただいた時点では「まんま同じ」という印象だった。

メンマ

▲大きめのメンマ

だが、こんな「噂」も耳にした。

お店に確認していないのであくまで「未確認情報」なのであるが、味の一平」時代のきちんとしたレシピは引き継がれていなかったとの噂。

チャーシュー

▲柔らかく口の中でとろけるチャーシュー

もちろんある程度の基本となるものはあったのだろうが、細部の調理法や仕込みまでは教えてもらってはいなかったのかもしれない。

ラーメンは同じ材料を使って同じように作っても、ちょっとした調理手順や調理温度で違う味になってしまうもの。

もしその噂が事実で、今の店主さんが記憶や舌を頼りに「味の一平」の味にこれだけ近づけたとしたらスゴイことだと思う。

どこか懐かしいレトロな醤油ラーメン

醤油ラーメン

▲醤油ラーメン

おっと、しょうゆラーメンのことにも触れておかなくちゃ。

スープ

▲ライスにも合いそうな醤油スープ

キリッと醤油の立ったノスタルジック醤油ラーメンも、もちろん美味しい。

スープが絡んだ麺

▲濃いめのスープと麺との相性だって抜群

醤油ラーメン好きの方も納得の美味しさなのは間違いないと思う。それでもあえて言おう!

ぜひ一度は「特製みそラーメン」を食べて欲しい!

それぐらいここの味噌ラーメンには魅力があるのである。

「味の一平イズム」の接客も健在

ちなみにある日、味の一令を訪れた時、自分の前にいた二人連れのお客さん。

行列に並び、ようやく店内に入りオーダーを済ませた直後に運悪く一人の電話が鳴る。長い電話になりそうだったのか、その人は携帯電話を片手にお店の外に出ていった。

醤油ラーメンのチャーシュー

▲お腹に余裕があるのなら迷わずチャーシュートッピングしたい美味しさ!

「あまりよろしくないな」と思いながら見守っていると、お店の方は冷静に「お二人さんの味噌のうち一つは後にしてあげて」と調理場に伝えていた。

そして、お客さんが戻ってきたところを見計らって「残りの一丁も作っていいよ」と。

まるで何事もなかったかのように時間差で運ばれてきた、熱々の味噌ラーメン。ちょっとしたことかもしれないが見事な目配り気配りだと思った。

ここにも間違いなく接客で定評があった「味の一平イズム」が受け継がれている。

生き続ける「味の一平」の味と心遣い

実は、岩見沢市には「一平」と名の付くラーメン店が他にもある。

「味の一令」という店名でお店をスタートさせたのは、そのお店に気遣ってか、あるいは混乱を招かないようにしたのだろうか。

味だけじゃなく「心」も受け継がれる。それこそが一番大事なことなんだと思う。

大石さん
「暖簾を受け継ぐ」。もしかすると「暖簾に書かれた名前なんてどうでも良い」のかも知れないね

受け継ぐべき大切なものを教えてもらったような気がするのでした。

さいごに

ということで札幌近郊をドライブついでにラーメンはいかがでしょうか?というテーマでいくつかのお店をピックアップしてみました。

これからの季節は様々な農作物が収穫期を迎えます。
美味しいのはもちろんですが、その道中の田園風景の美しさも楽しめるのではないかと思います。

スペースの都合上ご紹介できなかったお店をちょっとだけご紹介。

餃子と麺 いせのじょう 栗沢店

前回の朝ラーメンのシリーズでご紹介した「餃子と麺 いせのじょう」。実は2021年11月に岩見沢市栗沢町に支店をオープンさせています。

前回の朝ラーメン特集はこちら

サムネイル

朝ラーメンの注目店をピックアップ【前編】|札幌ラーメン最新事情2023 第5回②

2023年4月19日
餃子と麺 いせのじょう 栗沢店

▲餃子と麺 いせのじょう 栗沢店の過去の撮影記録

自家製唐辛子や野菜にもこだわりがあるいせのじょう。美味しい野菜や畑を追いかけていたらこの地にたどり着いたということでしょうか?

どこで食べてもいせのじょうの美味しさは変わらないのですが、なんだかこのロケーションにはこのラーメンが特によく似合うように思います!

栗沢を訪れたらぜひ立ち寄って欲しいお店です。

店名 餃子と麺 いせのじょう 栗沢店
所在地 岩見沢市栗沢町茂世丑454-2
アクセス JR函館本線「岩見沢」駅から車で18分
駐車場 あり(店前横10台)
営業時間 [火~土]11:00~15:00
定休日 月曜・日曜(祝日の月曜は営業)
席数 10席(カウンターのみ)

(店舗情報の引用元:食べログ

別館 おとん食堂 栗沢本店

もうひとつ、同じく栗沢の名店をご紹介したいと思います。醤油屋本店と隣にある「別館おとん食堂」。

別館 おとん食堂 栗沢本店

▲なんと昭和30年創業の老舗中の老舗

当時の栗沢町は萬字炭鉱により栄えていたそうで、そちらで「小鳩ラーメン」というお店をオープンさせたのが始まり。

小鳩ラーメンでは醤油ラーメンはもちろんかつ丼などの食堂メニューも人気だったそう。

受け継がれたラーメンを「醤油屋本店」が受け継ぎ、「別館おとん食堂」では食堂メニューを引き継ぎましたが、2つの店舗は一緒になり現在は「醤油屋本店・別館おとん食堂」で一つの店名のようです。

初代小鳩ラーメン、二代目醤油ラーメン、萬字ラーメン、3種類のラーメンはそれぞれ趣が異なり、どれもオススメです。

醤油屋本店は新札幌や恵庭市にも支店があり人気を博しておりますが、そのルーツがここにあります。

店名 別館おとん食堂 栗沢本店
所在地 岩見沢市栗沢町北幸穂81-4
アクセス JR室蘭本線「栗沢」駅から917m
駐車場 あり
営業時間 [水・木・金]11:00~15:00(L.O.14:30)
[土・日・祝]11:00~16:00(L.O.15:30)
※12/1〜3/31(冬期間)[水・木・金・土・日・祝]11:00~15:00(L.O.14:30) 日曜営業
定休日 月曜日・火曜日(祝日の場合は翌日に振替)
席数 カウンター席あり、座敷あり

(店舗情報の引用元:食べログ

夏はぜひ足を伸ばして札幌周辺でラーメン散策を

ということで、長くなりましたが、札幌近郊ドライブ編はこの辺にしておきましょう。

郊外には魅力あるお店がたくさんあります。知名度が低く、情報もあまりないながらも地元の方に長く愛され続けている穴場店もまだまだあると思います。

ドライブがてらご自身で探してみるのも楽しいと思いますよ。

WRITER/大石 敬(札幌ラーメンコンシェルジュ)

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