【札幌ラーメン最新事情2014④】若き店主達が挑む温故知新!「札幌ラーメンNewスタイル」進化論!

豚ソバFuji屋

「札幌ラーメン最新事情2014」第4回目の今回は”札幌ラーメン”にスポットを当ててみたいと思います。

え??(*o*)と思った方も多いでしょうね(^^;

そもそも「札幌ラーメン最新事情」なのに”札幌ラーメンにスポット”って・・・。
今までの記事はなんだよ!札幌ラーメンじゃないのかよっ!!
ってことになりますよね(^^;

「札幌ラーメン」って言葉をきちんと定義するのは実は難しいのですが・・・。
ここは観光客の方の持つイメージを元に考えてみましょうか。

「札幌ラーメンのイメージ」を観光客の皆さんにお聞きすると
・黄色くて縮れた麺
・味噌ラーメン
・味が濃い
・魚介の風味はしない
・もやしが乗っている
・ニンニクや生姜の風味が強い
・脂(ラード)たっぷり
etc.

そんな答えが帰ってきます。

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(写真は「屋食ラー麺のiori 醤油)

確かにこれは間違いなく観光客も地元の人も納得の「札幌ラーメン」ですね。
「ご当地ラーメン」であり「トラディショナル系ラーメン」と言える昔から親しまれて来た味です。

味の三平から生まれた札幌味噌ラーメンが、あちこちの専門店や定食屋に広がり、その後純連・すみれ・彩未・てつやなどの今でも札幌を代表する人気店が味を進化させ全国に広げて行きました。

もちろん今でも地元民に深く愛される札幌を代表する味わいなのは間違いありません。

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でも、その一方で「今、札幌で美味しいラーメンはどこ?」と言う質問に対しては、それらの「札幌らしいラーメン」じゃないお店の名前を挙げる方も少なくないでしょう。

魚介の風味が強く利いていたり、油に頼らないあっさりした味わいだったり・・・。
一昔前の札幌では想像もできなかった程バラエティ豊かな味わいが広がっています。

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仮にこれらを「トレンド系ラーメン」と呼ぶなら、札幌は「ご当地(トラディショナル)系ラーメン」と「トレンド系ラーメン」が実にバランス良く存在し、両方が愛されていることがわかると思います。
ラーメン好きには嬉しい限りですね(^ー^)

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さて、前段が非常に長くなってしまいましたが・・・。

いわゆる前者の「ご当地(トラディショナル)系ラーメン=札幌らしいラーメン」とのイメージが強いことから、観光でいらっしゃる方の中にはそのタイプを望む声が多いのも現状です。

その「札幌らしいラーメン」に実は新しい流れが起きようとしているのをご存知ですか。

何人かの若き店主たちが「札幌らしい味わいを残しつつ、新しい味を生み出したい!」と頑張っているのです!
今回はそんなお店にスポットを当ててみたいと思います。

men-eiji HIRAGISHI BASE

最初にご紹介するのは「men-eiji HIRAGISHI BASE」。

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もともとこちらのお店は「札幌らしいラーメンではなく、自分のスタイルで新しい味を作りたい」との思想で味作りをしてきました。

その一方で店主の古川氏はこう考えたそうです。
「札幌ラーメンってまだまだ進化の余地があるんじゃないか?それだって目指してきた”新しい味”なんじゃないか?」

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札幌ラーメンの作り方やイメージはそのまま踏襲し、素材や手順を洗練させていくことで新しい味わいを生み出そうとしました。

それがこの「札幌味噌eiji style」なのです。

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札幌ラーメン進化宣言と謳い
・化学調味料には頼らない
・北海道産小麦の麺を使用する
・極力北海道産の素材を使用する
・伝統的な札幌ラーメンの調理手法は踏襲する

という宣言をして作り上げたのがこの新しい味噌ラーメン。

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小麦の産地なのはもちろん、豚肉の産地でもあり、その他の食材に恵まれている北海道・・・。
でもその実、ラーメンには外国産素材が使われることが多い現状・・・。

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もちろん、それらの従来のラーメンや札幌ラーメンそのものを否定するものではありません。
あくまで「もっともっと美味しくできる余地があるんじゃないか?」という疑問から自らを奮い立たせたのでしょう。

そして、古川店主なりに試行錯誤を重ねた上で出した結論がこの一杯です。

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北海道の美味しい素材を使いつつ、昔ながらの野菜を炒めてそこにスープを注ぐ伝統的な調理方法を組み合わせる。

『これを融合させるときっと美味しいラーメンが出来るはずだ!』
そんな信念で作られた一杯。

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果たしてその答えは・・・・。

しっかりした素材の旨みが活き・・・
濃い目の味ながら決してしょっぱくもくどくもなく・・・
ニンニクや生姜などの香りが利き・・・

ちゃんと札幌ラーメンなのに新しさを感じる味わいなのです!
言葉で説明するのは難しいなぁ・・・。

一言で説明するなら
『是非、足を運んで食べてもらいたい一杯です!( ・`ω・´)』

 

・・・てか、「一言で説明」に全然なってねーし・・・(-_-)
私は文章力の「進化宣言」をしないとだめですね。

 

【men-eiji HIRAGISHI BASE】
住所:北海道札幌市豊平区平岸2条11丁目1-12
営業時間:11:00~15:00 17:00~21:00※しばらくの間は19:30までの営業
定休日:水曜日、第3火曜日
TEL:011-813-7233

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我流麺舞 飛燕

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二軒目は我流麺舞「飛燕」です。

我流となっていますが、実はいくつかのお店で若いころから修行を続けてきた店主。
まだ30代半ばで見た目はちょっとチャラ男クン(失礼(^^;)ながら、とても経験が豊富でラーメンに取り組む姿勢も真摯なお方。

鶏白湯ベースのスープに化学調味料を使わない優しい味わいのラーメンで有名なお店。

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その飛燕の前田店主が前出のmen-eijiの「札幌味噌eiji style」を食べ「札幌ラーメン進化宣言」に大いに影響を受けたそうな。

そこから生まれたのがこちら。

その名も「飛塩」
・・・飛燕の飛塩(ひえんのひえん)って人に説明するとき言いにくいですね(笑)

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さすが修行経験豊富な前田店主。
北京鍋を振るって豪快に炎を立ち上らせる姿も堂に入っています。

この時のラードが焦げる香ばしさがたまらない。

札幌ラーメンのオールドファンなら誰もが好きなあの香り・・・。

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多くの札幌ラーメンが豚骨ベースのスープなのに対して、そこは飛燕らしくクセの無い鶏白湯スープがベース。

だけど先のラードの焦げた香ばしさ、野菜の旨み、ニンニクの風味・・・そんなものが加わりきちんと「札幌ラーメン」として成り立っているんですよね。
それどころか、見た目の白濁したスープや香りからは想像できないほど、すっきりして後口がクリアなんです!

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そしてこの麺。

実はこれmen-eijiの自家製麺。
men-eijiの古川店主は自分のお店のために麺を打つだけでなく、きちんと製麺業の免許を取得して「粉KONA倶楽部」というブランドを立ち上げてしまったのです!

その粉KONA倶楽部の麺に惚れた飛燕の前田店主が「これだ!」ということで、自分の店でも使用しているのがこの写真。

軽い縮れの中太麺。
もっちりと弾力のある食感がいいのはもちろん、かみ締めると小麦のイイ香りがしてくる美味しい麺です。

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間違いなく今まで無かった味わいなのだが、間違いなく「札幌ラーメンです!」と言える一杯。

若い人もオールドファンも満足の味わいに仕上がっているのが素晴らしい。

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特にこのラードの焦げた香ばしい香り・・・たまらないなぁ。
これにニンニクの香りと鶏の香り・・・。

あー・・・もしこの香りの芳香剤が売っていたら絶対に自室用に買うね!
どこかのメーカーで作ってくれないかね?
・・・寝ている間もお腹が空いてたまらないだろうけどね(-_-;

 

【我流麺舞 飛燕】
住所:北海道札幌市豊平区中の島1条9丁目4-14
営業時間:11:00~20:00
定休日:木曜日
TEL:011-842-5262

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麺屋 高橋

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続いて三軒目にご紹介するのは麺屋高橋。

麺屋高橋と言えば、つけ麺が有名ですね。
魚介+豚骨の濃厚なつけ麺は確かに全国的に見ても高いレベルにあることは間違いないお店。

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その高橋が実は夜だけの限定メニューとして「札幌みそ」という商品を提供していることはあまり知られていない。

実はこちらも飛燕と同じくmen-eijiの「札幌ラーメン進化宣言」に影響を受けた一軒だ。

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ファイアー!
豪快な炎を立ち上らせて調理。

スレンダーで普段は優しそうな顔つきの店主からは想像しにくかったが、北京鍋を扱い自在に炎を扱う姿はまるで猛獣使い!
厳しい目つきで調理しているんです!

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豪快にあおった鍋の分しっかりした風味。
その一方で温厚な人柄そのままの優しい味わいのスープ。

静と動が丼の中に共存しているような味わい。

これも間違いなく「新しい」けど「札幌ラーメン」ですね。

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こちらも粉KONA倶楽部のオリジナル麺。

ニンニク生姜などの香味野菜がしっかり利いている中にちゃんと小麦の美味しさが生きています。

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シャキシャキのモヤシが嬉しいね(^ー^)

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で、この記事を書いているだけでヨダレが出てきて・・・。

我慢できなくなって、数日前食べに行きました。

ただでさえ人気店。
夜の営業はスープ切れで終了ですので要注意!

夜だけしか食べられないメニューで、スープ切れで終了って高いハードルに阻まれて中々食べられないのだが、今日はこの原稿を放り投げてレッツゴー(^o^)/

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・・・って、ほらね(-_-)

この原稿を書いていて、会社を出るのが遅れて食べそびれるって。。。理不尽!
もうね・・・これ以上人気が出ると困るからこのお店紹介するの止めようかな(-_-)

 

でも、「ラーメンコンシェルジュがそっと教える・・・」ってタイトルにしてしまったので仕方が無いからそっと教えちゃいます(涙)

 

【麺屋 高橋】
住所:北海道札幌市豊平区月寒東1条19丁目2-72伸光ビル1F
営業時間:11:30~15:00 18:00~21:00 土・日・祝日 11:30~20:00(※スープ切れ終了)
定休日:水曜日※祝日は営業、翌日休み
TEL:011-303-7688

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豚ソバFuji屋

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最後の四軒目。

2012年末に太平からここすすきのに移転してきた豚ソバFuji屋。

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味噌ラーメンではなく、味噌ラァメン。

実はこちらのお店のこのメニュー。
昨年の特集の最終回・・・しかも一番最後の紹介メニューとして写真だけは紹介しているんですね(^^;

酔っ払って食べたから味の記憶が無くて、記事にできなk・・・いや違った、スペースの都合で紹介できず心残りになっていたメニューです(^^;

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Fuji屋と言えば豚骨ベースのコクがありながらスッキリしているスープと魚介スープのブレンドで太平時代から人気のお店。

オープン当初から「味噌ラーメンをやって欲しい」と言う声は当然多かったはず。
それが、すすきのに移転してきて、観光客も多く訪れるようになったことで、いよいよ「味噌ラーメンが食べたい!」という声が強くなったとのこと。

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とはいえ、それまで頑なに数年間拒んで来た味噌ラーメン。
ごく普通の味噌ラーメンを出すのではプライドが許さない!

店主の葛藤はこんな感じだったのではないでしょうか。

手間隙かけた自慢のスープも味わって欲しい・・・。
でも、求められている「札幌味噌ラーメン」はニンニクや生姜が強いタイプ・・・スープの良さが塗りつぶされてしまう・・・。

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出したひとつの答えがこちら。

ひき肉に生姜やニンニクを混ぜたオリジナルの肉味噌団子(味噌玉(?))。
最初はFuji屋本来のスープの美味しさを楽しんでいただき、後半は札幌らしい味わいを楽しんで欲しい。

そんな店主さんの思いがこめられているように思います。

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そして、Fuji屋独特の豚骨+魚介のスープの2本柱のうち、魚介の風味を控えることでより札幌ラーメンらしさを強調しています。

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一見濃厚に思えるスープも、実は口にするとすっきり・・・。
Fuji屋のまろやかなスープが楽しめます。

そして、徐々に肉味噌団子を溶いていくと、生姜の香りが丼全体に広がり一気にワイルドな札幌テイストに変化!

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深夜まで営業しているこちらのお店。
飲んだ後の〆にもオススメ!

え?今回はちゃんと記事を書いているから飲まずに行ったのか?って?

まぁ、今回は味を記憶できる程度の酔い加減でした・・・って違ーう!
前回だって、酔っていて味の記憶がなかったわけじゃないです!
あくまで前回は記事スペースの都合で書ききれなかっただけです。

 

・・・・でも、スペースの都合といいながら実は今回の記事の方がなぜか長いんだよね(-_-)

そのことも「そっと教え」ておきましょうか(-_-;

 

【豚ソバFuji屋】
住所:北海道札幌市中央区南4条西3丁目 No.1グリーンビル 1F
営業時間:17:00~3:00
定休日:日曜日
TEL:011-533-4111

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ということで、札幌ラーメン最新事情2014 その4いかがでしたか?

札幌には沢山の美味しいお店がありますが、確かに「札幌らしいラーメン」というのは特別な魅力がありますよね。
札幌っ子のDNAが喜ぶというか、心が震えるというか・・・・。

若き店主たちが作る「トレンド系」の新しいラーメンももちろん魅力的ですし、ワクワクするものがあります。

でも、そんな意欲的な店主たちが「温故知新」とでも言うのか、札幌スタイルを取り入れながらさらに新しいラーメンを生み出そうという流れはとても嬉しいですし、楽しみに思います。

札幌らしくて、それでいて新しい。。。。
Newスタイル札幌ラーメンの今後に大いに期待したいですね。

 

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WRITER/大石 敬(札幌ラーメンコンシェルジュ)

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