ネオ (Neo) は、ギリシア語で「新しい」という意味。 ノスタルジック(nostalgic)は英語の形容詞で「郷愁」と訳されたりする。
そのギリシャ語と英語を組み合わせた勝手な造語なのだが「ネオノスタルジック」とでもいうべきジャンルのラーメンが札幌でもファンを増やしているように思う。
「懐かしい味わいの延長線上にありながら、現代風に洗練されたラーメン」という表現をするとちょっと乱暴かな?
でも、昔からラーメンに使われてきた「鶏」を中心とした食材に「醤油」というごく一般的な調味料。斬新な食材を使うというよりは、それらの主軸を昔とは違う活かし方や表現方法の工夫で提供しているラーメンが増えている。
今回はそんな「ネオノスタルジック醤油ラーメン」を提供しているお店を中心にスポットを当ててみたいと思います。
中華そばスパンキー
まず最初にご紹介するのは、2017年7月オープンの「中華そばスパンキー」
スペルはspanky(お尻を叩く)ではなくspunky。
「勇気のある」「元気な」「活気のある」なんて意味があるようですね。
塩らーめん700円。
たまに醤油ラーメンより塩ラーメンの方が安いお店を見かけますよね。
その理由は単純に調味料の原価が「醤油>塩」という事によるものが多いみたいです。
ところがこちらのお店は塩らーめん700円に対して醤油らーめん650円と塩の方が価格が高い。
その理由は、塩や醤油という調味料そのものより、塩ダレや香味油に原価をかけているからに他ならないと思う。
実際「ほふぅ~(-´▽`-)」とため息が出る程旨味満載のスープだ。
鶏の旨味に海の香り。
透明なスープからは想像できないほど、深~い味わい。
これかなり美味しい塩ラーメンだね。
これをもっと掘り下げて紹介してもいいんだけど・・・。
実は今日はこちらをメインにご紹介したい!
醤油らーめん。
食べ終えた後に「これで650円でいいの?」って感じると思う。
味わうとめちゃCPの高いメニューだという事に気が付くんじゃないかな。
しっかり鶏の旨味の出たスープに鶏油(チーユ)の二段重ねという感じ。
鶏うまっ!!
そして一部ラーメン好きの間で有名だが、一般的には知る人ぞ知るという、島根県奥出雲仁多の『森田醤油』の「生揚げ醤油」を使っているとのこと。
キリッと立った醤油の旨味がこれまた絶品!
麺はさがみ屋製のややはかなげな印象のある柔らかめの食感。
最近はパツンとした低加水の麺よりこういう優しい味わいの麺が大好物です(^^)
ほのかに香る魚介の風味が鶏の旨味を支えている。 主役の鶏を立たせながら上手くバランスがとられている印象。
具は肝心の麺とスープが美味しいから、このシンプルさでいいと思う。
いや、むしろこのシンプルさがイイ!
失礼ながらオープン間もない新店でこんなにハイクオリティな中華そばに出会えるとは思っていなかった。
やりますねぇ!
そしてもうひとつおまけがこれ。
数量限定の「炙り鶏チャーシュー」
値段はなんと50円(*o*)
このCPの高さなのに、この香ばしさ!!
この鶏チャーシューはそのまま食べてもとても美味いのだが・・・。
スープにちょいと沈めて、鶏スープをまとわせるとこれまたたまらない美味しさ。
あー・・・ご飯かビールを頼んでおくんだった。
塩らーめんも美味しかったけど、鶏の旨味に溢れた醤油らーめんがストライクだったなぁ。
これでラーメンが650円で炙り鶏チャーシューが50円。
合計700円ってどういうこと??
CP高過ぎ(^^;
2017年でトリ年は終わったけど・・・。
私の中では2018年もトリ年かも!
いや、それどころかこの先しばらくはトリ年が続くんじゃね?ってぐらい、あらためて自分の中のトリ好きが目覚めた感じ。
凍える寒さの中の帰り途でしたが、地下鉄駅まで足トリ・・・いや足取りは「元気(spunky)」いっぱいでした(^^)
【中華そばスパンキー】
住所:札幌市西区二十四軒3条5丁目8-25 田中ビル1階
営業時間:[月~土]11:00~20:00/[日・祝]11:00~16:00
定休日:不定休(現在は無休営業中)
TEL:090-3770-3336
斗香庵(とこうあん)
その昔、昭和の初期に「巨人・大鵬・卵焼き」という言葉が流行ったのをご存知でしょうか?
当時の人々に熱狂的に愛されたものの代表3つで、流行語にもなったようです。
ちなみに私の愛するもの代表を3つ挙げると
「ラーメン・ドンブリ・カレー」
ってところでしょうか。
なんの話?って思いますよね(笑)
2017年12月にオープンした東区の人気店「ほっぺ家」のセカンドブランド店。
ほっぺ家はなれ「斗香庵(とこうあん)」のお話です。
お店の入り口には「中華そば・どんぶり斗香庵」と書かれています。
中華そばとどんぶりですと!?
私の愛する3つのうち2つが取り入れられている!
ステキなお店がオープンしたものだ・・・。
おっと!
話がどんどんそれて行きそうなので、お店の話をもう少しきちんとお伝えしなくては。
キレイに改装された店内は明るく清潔感溢れる雰囲気。
そして、店主さんは白衣を纏い、その下には白ワイシャツにネクタイ姿のいでたち。
まるで銀座の割烹料理店に来たかのような錯覚に陥る。
提供された中華そばはシンプルで整った顔立ち。
美しい・・・。
出汁には動物系素材を一切使っていない魚介風味…いやここはあえて「和だし」と書いた方がいいかな。
文字通り「純 和出汁中華そば」と呼ぶにふさわしい味わいに仕上がっている。
シンプルだけどその分ごまかしがきかないラーメン。
毎日食べても飽きの来ない味わいだと思う。
例えて言うなら「下町の中華そばを洗練させた」印象。
奇をてらった、特別変わった素材を使っているわけではなさそうなのだが、実に味わい深い。
いや、変わった素材を使っていないどころか「動物系素材を使っていない」のにこの厚みのあるスープは驚きと言って良いかも知れない。
変化や進化ではなくあくまで「洗練」という言葉が自分の中ではしっくりくる。
足し算や突出した味わいで個性を出すのもラーメンなら、素材を引き算し、さらにあえて何かを突出させずにバランスよく仕上げるのが自分の個性とでも言うような仕上がり。
昔からある中華そばを店主さんの「和の技法で昇華させている」というところだろうか。 「和出汁だけでもこれだけの中華そばに仕上げられるんだ」という店主さんの内に秘めた熱い気持ちも一緒に伝わってくる。
札幌「どんぶり」最新事情!!
というわけではないのだが、せっかくなのでどんぶり物にも軽く触れておこう。
カツ丼は蓋を開けると三つ葉の香りがふわりと香る。
和だしのとてもよく効いたカツ丼は絶品。
サイドメニューとはいえ390円はめちゃくちゃコスパ高し!
店主の夏堀さんに以前にお話を伺った際に「自分の作りたい味がある。でも今のお店で提供するのは難しい」という事を仰っていました。
勝手な解釈かも知れないけれど、和食の職人からラーメン職人に転身した店主さん。
どこか「もっと和テイストを出したい」と思い続けていたのかも知れません。
。
ほっぺ家のセカンドブランドとして今回その積年の夢が実現したのでしょうね。
それにしても・・・・「中華そば」と「どんぶり」!?
これで「カレー」があったら冒頭に書いた私の好きなものコンプリートだなぁ・・・なんて思いながらあらためてメニューに目を落とすと・・・。
なんと「カツカレー丼」の文字を発見!!
「巨人・大鵬・卵焼き」ならぬ「ラーメン(中華そば)・ドンブリ・カレー」が一つのお店で夢の競演。
店主さんだけじゃなく私の積年の夢も実現しちゃったかも知れない。
【ほっぺ家はなれ 斗香庵 】
住所:札幌市東区北10条東4-2-51
営業時間:11:00~15:00(L.O.14:30)/18:00~21:00(L.O.20:30)
定休日:水曜日(第3日曜日は、夜の部休み)
TEL:011-704-4080
らーめんズッパ(ZUPPA)
「叔父さーん。ズッパってどういう意味?」
「麺を”ズッ”とすすって、”パッ”と笑顔になるって意味だと思うよ」
・・・
「叔父さーん。スマホでググったらズッパってイタリア語で”スープ”って意味だって」
「・・・・(-_-;」
インターネットの普及は時に叔父の威厳をあっさり奪うから嫌いです(-_-)
ということで、姪っ子を引き連れて訪問したのはこちらのお店。
らーめんズッパ(ZUPPA)
「全て無化調(化学調味料を使用していないこと)です」と書かれています。
実はこちらのお店はラーメン好きでも有名なグルメな方がオープンしたお店。
どこかで修業したわけではなく、ご自身の食べ歩き経験と独学で開店したとのことで、当初から話題にもなっており注目していたお店。
券売機左上の「醤油ラーメン」
美しいね(^^)
立体的な盛り付けも食欲をそそります。
で、このスープ。
いきなりやられたね。
分厚い魚介系の旨味が押し寄せてくる。
軸がしっかりした節系の旨味。
これに鶏ガラや牛骨といった動物系スープが厚みを与えている。
あまり加水率の高くないストレート麺も相性抜群。
このスープあってこそのこの麺!という感じの組み合わせ。
ご自身が食べ歩いた経験からだろうか?
「こういうのって食べるときにワクワクするよね?」
というツボを押さえている感じ。
ほんとに新店?ほんとに独学?
と思わせるポイントが随所に潜んでいる。
塩ラーメンや・・・。
中華そばも個性的でとても美味しいし、もっとこのメニューのことも書きたいけど、スペースの都合でこれら2つのメニューはまた別な機会に・・・。
実は一番驚いたのがこの味噌ラーメン。
一見すると普通の味噌ラーメンだが、味噌の香りと風味が素晴らしい。
味噌ラーメンって、味噌感を強くしようとすると「ショウガ・ニンニク」などの香味野菜系を減らしたくなるけど・・・。
そうするとどんどん味噌汁っぽくなったりするんだよね(^^;
きちんと味噌感を残したまま、スパイシーな香りも活きている。
店主さんの思いがそのまま伝わってくるようなそんな味噌ラーメン。
こちらもちょっと加水率の低めのちょっとポクッとした食感の麺。
これも面白いなぁ。
ひとつひとつの調理にも愛が感じられるラーメンでした。 独学ゆえもあるのか、オペレーションのスピードだけはそれほど速いとは言えないものの、じっくり出来上がりをワクワクしながら待って食べる価値あるラーメンだと思う。
まだまだ進化の途中という感じがあり、これからまだまだ美味しくなる可能性があるんじゃないかな。
これからが楽しみなお店の一つです。
ちなみに店主さんにお伺いすると店名の由来は
・イタリア語で澄んだスープのZUPPA。
・ズッと吸ってパッと口に収まるのが良い麺という思いから。
・津軽弁で「ずっぱど」=いっぱい・沢山の意味。
なんてのが込められているようです。 個人的には「ズッとすすってパッと笑顔になるラーメン。」でも間違っていないと思うし、店主さんも「そんな感じです(笑)」とおっしゃってくださったのだが。。。。
多分、姪っ子の尊敬は取り戻すことはできないだろうね(-_-)
【らーめん ZUPPA(ズッパ)】
住所:札幌市豊平区月寒東2条5-11-11
営業時間:11:00~15:00/17:00~20:00
※06:00~09:00(日曜日のみ、朝ラーメン実施)
定休日:不定休
TEL:非公開
RAMEN RS改
最後にご紹介するのはRAMEN RS「改」である。
え?何が「改」なのかって?
実は昨年ご紹介したお店のひとつ「N’s cafe RS」が昨年7月に移転し、それを機に「RAMEN RS改」と名称を変更したんです。
もうね!
ラーメンの美しさが秀逸!
麺の整え方が美しい!
丁寧な仕事してまっせという意思表示ととってもいいかも知れない。
もちろん美しいのは見た目だけじゃない!!
美しい味と書いて「美味」しいと読む!
鶏出汁醤油は文字通り鶏の旨味に溢れ、キリリとしたコクのある醤油の風味が口に広がる。
関ケ原たまり醤油なる、宮内庁御用達の醤油を使っているらしい。
ストレートの歯ごたえのある麺も相性抜群!
言ってしまえば味の主役となる構成要素は「鶏」「醤油」という組み合わせ。
これは決して新しい素材ではなく、古くからのラーメンで使われてきたものだ。
それを独自な感性やアプローチ、調理法などで新しい味わいに昇華させているところが素敵なところ。
「改」ならぬ「懐」のエッセンスを残しながら今の時代にマッチするように洗練させている・・・いわば「ネオノスタルジックラーメン」というジャンルかな。
塩ラーメンは「鶏出汁艶塩」というメニュー名。
艶という文字がぴったりくる輝きを感じる美味しさ。
「改」ならぬ「快~♪(^^)」と叫びたくなるよね。
・・・そんな風に感動を表現したことはないけどね(-_-;
もう一つ大好きなのがこの「背脂中華そば」!
魚介の旨味に背脂の旨味が加わったスープはコクも奥行きもすごいんです!
平打ちの麺と一緒にすすると皆さんも「快~♪(^^)」と叫びたくなりますよ。
・・・だからそんな風に感動を表現する人はいないって・・・。
ご自身も食べ歩きが大好きで、様々なラーメンを食べ歩いている店主さん。
その経験から「こういう味が食べたい」という気持ちと「だからこういう味にした」というが合致してきているのかも知れない。
どのメニューも個性がキラリと光り、食べ手の心をくすぐってくる。
リニューアルして店主さんなりの「改」ならぬ「解」がこの店なのかも知れません。
ちなみに・・・。
オープン直後に訪問した際に、「鶏出汁醤油」を飲み干した後、あまりに美味しくて追加で「背脂中華そば」を注文してしまったのはどうでも良い蛇足情報。
「快(カイ)」過ぎての2杯食い。
もはや「悔(カイ)」であり「戒(カイ)」しなくてはならないのである・・・。
よーし!!これからは食生活を見直してダイエットするぜ!!
・・・それこそ「怪」しい発言だよね(-_-)
【RAMEN RS 改 (ラーメンアールエスカイ)】
住所:札幌市清田区平岡1条4-2-11
営業時間:[月]11:00~15:00(L.O.14:30)
[水~日]11:00~15:00(L.O.14:30) /17:30~20:00(L.O.19:30)
定休日:火曜日
TEL:011-376-0370