札幌ラーメン最新事情2020④超人気店のオーラを継ぐ店&期待の移転オープン!

昨年は札幌の「超」がつく人気店やその系譜のお店に大きな動きがありました。
セカンドブランド(サードブランド)あり、お弟子さんの独立あり、移転全面リニューアルあり・・・。
ということで、札幌ラーメン最新事情2020の第4回は「超人気店のオーラを継ぐ店&期待の移転オープン!」というテーマでご紹介したいと思います。

札幌麺屋 美椿

最初にご紹介するのは札幌麺屋「美椿」です。
美しい椿と書いて「みつば」と読みます。
字面の美しさから既に美味しそうな予感がプンプンしますよね。

札幌ラーメンの名店は数々あれど、「彩未」の名前を真っ先に挙げる方も少なくないのではなないでしょうか?

その名店彩未出身のお店という事でオープン前から評判だったお店。
名店での修行経験はそのまま前評判になる一方、食べる側のハードルが上がるのも事実。
実際私も新店にも関わらず期待せずにはいられなかったもの!

ということで、運ばれてまいりました!
味噌ラーメン!
もうね!見ただけでオーラを発しているもの。

あ、ライスも注文しています^^;
ご飯の事は後ほど・・・。

さて、味噌ラーメンのスープを一口・・・。
をををを!
ほんのりスパイシーな風味が奥底にあり、それが深みを与えてくれている。

香ばしさや味の深みと奥行き。
パンチはあるのにさわやかな後口・・・。
間違いなく彩未の味わいを受け継ぎ、それでいながら美椿のオリジナルな風味も持ち合わせている極上スープ。

森住製麺のプリプリの麺も当然ながら相性抜群!

ちょこんと乗ったすりおろし生姜も彩未を思わせるフォルム。
これを溶きながらいただくとさらに札幌ラーメンらしいパンチと豊かな風味が口いっぱいに広がる。
彩未の味噌ラーメンを「The札幌味噌ラーメン」と呼ぶなら、これも間違いなく「The札幌味噌ラーメン」。

そうそう!
彩未のご飯は美味しいと評判なのは良く知られているところ。
美味しいお米を使っているのはもちろんだけど、研ぎ方炊き方にも秘訣があるらしい。

以前に彩未の奥店主に聞いた話。
「真っ先に教えるのは米のとぎ方」の言葉通り、美椿のご飯もめっちゃ美味しい!!
ここからも彩未DNAを早くも感じてしまう。

二世議員や二世タレント・・・。
彼らの中には親の偉大さが負担とプレッシャーになっているという方もいると聞く。
こちらのお店「美椿」は「彩未」の息子さんではないが、やはり修業をしてDNAを受け継いでいる以上、「彩未二世」とみる方もいると思う。
期待はハンパじゃないし、店主さんのプレッシャーもハンパ無いと思う。

でもそんなプレッシャーを押しのけて「彩未」の味わいを持ち、その一方で風味や味わいに「美椿」独特の個性も取り入れている。
道外のお客さんが「札幌味噌ラーメンを食べたい」と言ったら真っ先に彩未がまず頭に浮かぶ人も多いと思うが、こちらのお店の事も候補に入れて間違いないと思う。

まぁ飲み干すよね~。
次回は「大盛」と「ライス大」にしようと思う。

蛇足の私事だが、私の父はどちらかと言えばやせ型ながらお酒好き、母は私と似たような体型でお酒は飲まない。
体型は母のDNAを受け継ぎ、酒好きは父のDNAを受け継いでいる。
「母の酒を飲まない&父のやせ型」ってDNAの組み合わせを受け継げたら良かったのに・・・。

あ、太るDNA体質というより「毎日太る食生活をしちゃう」という個人の性格と意思の弱さの問題か^^;

【札幌麺屋 美椿】
住所/札幌市西区発寒10条4丁目6-25
営業時間/11:00~15:00 17:00~20:00
定休日/月曜日 ※不定休日あり
TEL/011-676-9685

 

らーめん 草木塔

続いてご紹介するのは「草木搭」というお店。
新しくできた商業施設「アクロスプラザ南22条」に2019年11月オープン。

実はこちらのお店は人気店「吉山商店」のセカンドブランド。
吉山商店大好きな私としては期待せずにはいられないってもの!

まずは味噌らーめん。
ゴボウがトッピングされていたり、ナルトが乗っていたりなど吉山商店とトッピング内容が違うものの、どこか同じオーラを発している感じ。

白湯ベースのコクのある味噌スープ。
道産味噌の持つ独特の口当たりのやさしさと長い余韻。
香ばしさやコクをまとった非常に美味しいスープ。

札幌っ子が大好きなちぢれた形状の麺はプリップリ!
ただし従来の札幌麺とは一線を画すこだわりの道産小麦を使用した新しい食感と風味は一食の価値ありです^^

全く新しい味わいに仕上がった味噌ラーメンながらその奥底には「吉山商店」らしさも感じる一杯。
これだけでも「さすが吉山商店!」という感想なのだが・・・。

もう一つどうしても紹介したいのがこちら。
焙煎黒ごま担々麺。
今回はチーズをトッピングしてみました^^

券売機で食券を買って席について店員さんに食券を渡すと、まず運ばれてくるのがこちら。
小さなすり鉢に入ったゴマ!

「ほほう!ゴマを擦って待つのね。」
とズリズリと擦り始めるとなんとそこからゴマの香りに交じって立ち上るのは「山椒の風味」!
そのゴマと山椒の風味がまるで食前酒のように食欲を刺激してくる。

さて、ゴマを擦り終わったころに運ばれてきた担々麺。
まずはゴマを投じないでそのまんまいただきます^^
しっかりしたコクのあるスープに辛さのアクセント。
これ、極上の担々麺!

麺は味噌とは違ったやや細めの麺。
ストレートに近いゆるやかなウェーブ形状。
パンチのあるスープなのにそれに負けない麺そのものの美味しさがある。
相性抜群!

トッピングでユニークなのはメンマの代わりに使われているゴボウ。
軽く衣をまとわせて揚げられているのだが、中はほっくり柔らかい。
事前に茹でているのかじっくり揚げているのかわからないが、いずれにしても手間もかかっているよね。
その分美味しいし、何よりラーメンの最高の脇役に仕上がっている。

途中でお待ちかねのすり鉢のゴマを投入!
一気にゴマと山椒の香りがアップし、パンチもコクも大爆発!
スーツ姿から戦闘服に着替えたように印象もがらりと変わる。
おほっ!辛っ!シビレル~^^

トッピングにチーズを加えて大正解。
シビレや辛さとの戦闘の合間にこのチーズの包み込むような旨味が加わると口の中がリセットされ、また辛さとシビレと戦いたくなる!

札幌を代表する人気店の吉山商店。
そのセカンドブランドだから誰もが期待を込めて来店すると思うけど、おそらく誰もが「期待以上」という満足感を持って帰るのではないでしょうか。
何を食べても大満足です^^

ちなみに蛇足となるが・・・。
「草木搭」という名前で思い出すのは種田山頭火(1882-1940)の代表的な句集の名前。
有名な『鉢の子』に続く二番目の句集らしい。

ご存知ない方も多いかも知れないが、吉山商店店主の関山さんはその昔「らーめん山頭火」で修業をされた方で、塩ラーメンのトッピングにカリカリ梅を使っているのは同店に対するリスペクトの気持ちがあるからと昔聞いたことがある。
今回の草木搭の塩ラーメンにもトッピングにカリカリ梅が使われている。

店名に種田山頭火の句集の題名を使ったことも、ご自身のルーツである「らーめん山頭火」に対するリスペクトの思いが込められているのかも知れない。

もう一つ追加情報(?)
草木搭に行ったら是非トイレものぞいてほしい。

遊び心がいっぱいで壁一面のトイレットペーパーにはちょっと笑っちゃいました^^;
今回のお店草木搭、味はもちろん大まじめだけど、「チャレンジ精神」や「遊び心」が込められているように思う。
味が美味しいだけじゃなく、お店全体からそんな気持ちが伝わってくるし、それを感じるだけでワクワクしちゃうよね^^

ちなみに手の届かないところにあるトイレットペーパー・・・。
残念ながら私にはそれを使うほどの「遊び心とチャレンジ精神」を持ち合わせていないので、無難に一番近くの豚さんのホルダーを使うだろうけどね^^;

【らーめん 草木塔】
住所/札幌市中央区南22条西7丁目1-21 アクロスプラザ南22条
営業時間/11:00~21:00
定休日/なし
TEL/011-212-1227

 

餃子と麺 いせのじょう 桑園高架下

『タフじゃなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない』
訳者によってちょっとずつ日本語訳は違いますが、レイモンド・チャンドラーの小説に登場する探偵「フィリップ・マーロウ」の名言ですね。

「優しくなければいせのじょうじゃない。それにタフさが加わるとさらに美味しい」
なんとなく頭に浮かんだフレーズです^^;

さて、次にご紹介するのはいせのじょう桑園高架下店。
2019年10月にここにオープン。
ちょっとインターバルは空きましたが、札幌駅の高架下からの「移転」という事になるのかな?

写真は札幌駅高架下のしょうゆラーメン。

で、いせのじょうのラーメンといえば「じんわり優しい美味しさ」という事に異論はあまりないと思う。
どこかホッとするような懐かしい味わい。
そう!「優しくなければいせのじょうじゃない」のです。

そのいせのじょう、ずっと以前より自分の農園で「自家製唐辛子」を栽培している。
そしてその唐辛子が「辛さ」と「旨味」を兼ね備えていてメチャ美味しい!

ということで、今回注文したのは「辛口白菜ラーメン」!

そしてそのスープ。
元々のいせのじょうらしい「やさしさ」であふれている。
それに加わる「白菜の甘み」がまたたまらない。
メチャ美味しい!!
がしかし!!
優しいだけじゃないんです!

タフじゃなければ生きられない・・・じゃなかった、唐辛子のアクセントとパンチが優しさに加わるとさらに美味しさ倍増。
優しいだけじゃないのがこのラーメンのスゴイところ^^

合わせる須藤製麺の麺。
石水店主は麺づくりに携わっていただけあって、ホントにじんわりした美味しい麺をチョイスしたなぁといつも思う。

特別突出したトンガった印象を残す麺というわけじゃなく、これまた優しくてじんわりと美味しい麺。
食べている最中より食べてしばらくしてから「あー・・・美味しかったなぁ」と思う、そんな感じの麺だ。

今年は暖冬の影響で葉物野菜の出来がすごく良いらしい。
そのせいか、今回いただいた辛口白菜ラーメンは特に野菜の自然な甘さが口に広がるような気がする。
ベースのスープそのものが美味しくなったのもあるのかもね。

ちなみにこちらの桑園高架下店。
嬉しい事に朝の9:00から営業しているのです。
この日も朝イチでお伺いし、朝ラーを堪能してきました^^

朝からしっかりパワー充電!!

でも本当は・・・。
焼めしおにぎりも食べたかったし・・・。

いせのじょう名物の手作り餃子も食べたかった・・・。
記事としてはその方が読みごたえもあるだろうしね。
ちょっと自分の胃袋のタフさに自信がなかったのと、朝だから自分の胃袋に優しくしようと思ってしまったのです。

はっ!(*o*)
「(自分の胃袋が)タフじゃなければ生きて行けない。
(自分の胃袋に)優しくなれなければ生きている資格がない。」
というフレーズが頭に浮かんだ。

もしかするとレイモンド・チャンドラー先生。
冒頭の名言はいせのじょうで朝ラーメンを食べている時に思い浮かんだフレーズなのではなかろうか!

名探偵フィリップ・マーロウもびっくりのこんな大胆な推理はどうだろう?^^;

【餃子と麺 いせのじょう 桑園高架下】
住所/札幌市中央区北10条西14丁目1-2 JR桑園イーストプラザ1F
営業時間/9:00~15:30
定休日/日曜日
TEL/011-252-9691

 

札幌 Fuji屋

2007年にオープンした豚ソバFuji屋。
オープンから札幌を代表する人気店になるまでそれほど時間がかからなかったと記憶している。

その後2012年には札幌の中心部すすきのへ移転。
2015年にはセカンドブランドの「ふじ屋NOODLE」を新ラーメン横丁に出店。
その間「豚ソバFuji屋」は「札幌Fuji屋」へと屋号を変え、札幌市民はもちろん国内外の観光客も楽しませてくれて来た。

その「札幌Fuji屋」が満を持してすすきのからここ東区に移転してきたのは2019年12月18日のこと。
今回はさらなる味のレベルアップがなされているとのことでワクワクしていました。

店に入ると真新しい券売機がお出迎え。
ちなみに一般的に券売機でイチオシメニューは左上に置いていることが多い。
なので、ふと左上を見ると・・・。

商品ボタンとは別に店主さんの似顔絵のイラスト!
店主さんのお顔をご存知の方は「あっ!」と思うでしょうね^^
びっくりするほど似ていてそしてかっちょいい!!

で、先ほどの券売機左上の法則で言えば「魚介豚骨 味噌ラーメン」を注文すべきところなんでしょうが・・・。
その隣に「辛化味噌」を発見してしまったもんだから思わずそちらをぽちっ!

だって、すすきの時代に大好きだった「辛化つけ麺」。
今回の移転を機に「辛化」の辛い味わいを変更したって聞いていたんだもの。
頼んじゃうよね~^^;

ちなみに同行者は「魚介旨味出汁醤油ラーメン」のボタンをぽちっ!

まずは辛いタレのかかっていない味噌部分。
おおおおお!
味噌のコクがすごいの!それでいて後口すっきりなのにびっくり。
それもそのはず、店主さんは「味噌ソムリエ」の資格を持つ味噌のエキスパート。
その彼が選んだ味噌になおかつ「胡麻を練り込んでコクを出した」という徹底ぶり。

醤油ラーメンのスープもそうだけど、どちらもスープそのものの旨味の層が驚くほどぶ厚い!
これまたそれもそのはず。
鶏と豚骨のスープに8種類もの魚介を合わせているらしいんだもの。
旨みの層はハンパ無いよね。

そして辛化の部分は従来の唐辛子系主体の辛さから山椒のシビレ系の辛さが加わっている。
これ、大好きな辛さ^^
分厚いスープや味噌のコクが、パンチのある辛さをしっかり受け止める。

ウエーブ強めの麺。
西山製麺製らしいけど、これは初めての食感と初めての美味しさ。
弾力だけじゃなく、ちょっとぽくっとした不思議な食感も兼ね備えている。
強い縮れが唇を震わせてくれるのも楽しい^^

チャーシューも旨味がしっかり残っていて超ウマだし・・・。

ぶっといメンマの食感も楽しい。
そりゃ札幌Fuji屋の移転リニューアルだもの、当然美味しく仕上げてくると思ったけど、辛化味噌も醤油も想像以上に美味しかった^^

味は確かに新しくなっているのに、どちらもしっかり「Fuji屋イズム」が込められているように感じた。

店主さんは移転に際して
『新たなる「頂(きわみ)」を目指して・・。』
というメッセージポスターを出していたが、まさにその意思のしっかり伝わるラーメンでした。

ちなみに店の外の看板。
入り口側には「今日も、」ラーメンと書かれており、その裏側には「明日も、」ラーメンと書かれている。
券売機といい看板といい、遊び心がたっぷりな新店舗。

裏側の「明日も、ラーメン」のメッセージは、なんだか見透かされているようでめっちゃウケました(笑)

ただ・・、見透かされたままなのも癪なので、2月上旬より提供開始になった「醤油つけ麺」か「辛化つけ麺」を注文し「明日はラーメンじゃなくつけ麺だもんね!」とでも言ってやろうかと思うのでした^^;

【札幌Fuji屋】
住所/札幌市東区北14条東7丁目1-22
営業時間/11:00~15:00(LO.14:30) 17:00~21:00(LO.20:30)
定休日/月曜日、月2回不定休日有り
TEL/011-702-0248

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さて、ということで札幌ラーメン最新事情2020の第4回目は「超人気店のオーラを継ぐ店&期待の移転オープン」を切り口にスポットを当ててみました。
既に札幌では知名度も実績もあるお店。
そんな人気店が何か新しいアクションを起こした時、やっぱり食べる側のハードルはどうしても上がってしまいます。
それが仮にお弟子さんだったとしても。
ですが、今回ご紹介した5店はその高いハードルを楽々と越えて、食べる側に驚きと感動を与えてくれたように思います。
人気店は日々努力と経験を積み重ねて人気店になったわけで・・・あらためてその「日々の努力と経験の積み重ね」がいかに大切なのかも教えてもらった気がします。

私も積み重ねるのは体重ばかりじゃなく、次に生かすための何かを重ねていかなくちゃ^^;
バカなことを書いているうちに次回はいよいよ最終回!
来週もまたよろしくお願いいたします。

 

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WRITER/大石 敬(札幌ラーメンコンシェルジュ)

 

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