【札幌ラーメン最新事情2017①】フレンチ?cafe?札幌オシャレ系ラーメン

皆様こんにちは!
一年のご無沙汰でした(^^;

毎年恒例年明けの企画「札幌ラーメン最新事情」シリーズ!
2017年の今年も書かせていただきまっせ!

■過去の特集はこちら
『札幌ラーメン最新事情2012』
『札幌ラーメン最新事情2013』
『札幌ラーメン最新事情2014』
『札幌ラーメン最新事情2015』
『札幌ラーメン最新事情2016』

本企画は新店(移転含む)を中心にその年の旬なキーワードを探す!というコンセプトで毎年続けてきています。
もちろん新店だけでなく、キーワードに沿って人気店や老舗店なんかも随時取り上げ「札幌のラーメントレンド」を探っていこうと思っております。

いつものごとく話があっちこっちに飛んだりするかも知れませんが、今年もお付き合いいただけたら嬉しく思います。

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さて!本年の一発目は「フレンチ」「カフェ」などのオシャレなお店にスポットを当ててみたいと思います。

親父さんがカウンターでのんびりスポーツ新聞を読んでいる・・・なんて老舗ラーメン店も大好きですが、今回はそれとは対極にありそうな”オサレー”なお店にスポットを当ててみたいと思います。

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Mari iida

まず最初にご紹介するのは「Mari iida」というお店。
札幌の若きフレンチの巨匠、「akinagao(アキ ナガオ)」のオーナーシェフ長尾彰浩氏の手ほどきを受けた方が2016年11月にオープンさせたお店。
こちらの店主さんはなんと女性!
昨年女性店主の活躍を特集しましたが、今年も素晴らしいお店がオープンしちゃいました!

ラーメンに使われているベースのスープは大きく2つ。
鶏をベースに魚介を加えた清湯スープの「淡麗スープ」、豚をベースに魚介を加え強火で炊き上げた白湯スープの「濃厚スープ」。
それぞれにakinagao特製の黒トリュフソースを合わせたもので合計4種類。
それにつけ麺(つけsoba)と油そばの合計6メニューが提供されています。

まず最初にご紹介するのは淡麗魚介soba。

もうね、見た目からして美しい!!
美味しさが伝わってくるラーメンだよね。
レアチャーシューの美しいピンク色が白いドンブリに映えていますね(^^)

こちらは最初に鶏の美味しさが口いっぱいに広がって、直後に複雑な魚介の旨みが押し寄せる。
そんな素材の特性を活かした極上スープ。

このラーメンの上に乗っているのはリエット(豚肉や鶏肉などを煮てその脂肪分でペーストにしたフレンチの一品。)をヒントに作られたものだそうで、これがまたトッピングとしては秀逸!

練りこまれているのはカツオやサバ節などの魚介の風味。
脂とともにそれらが溶け出すことでスープの旨みがガツッと強くなる。

そして、こちらは濃厚スープの「黒トリュフspecial」

こちらはベースの豚の美味しさと魚介の美味しさがガッツリ押し寄せる。
だけど、化学調味料を使わず素材の旨みだけで仕上げているだけあって、これだけ濃厚なのに野卑ている印象は一切無く、すっきりした味わいに仕上がっているのが素晴らしい!

ちなみにこちらのお店は全てが自家製麺!
淡麗・濃厚共に使われているのは加水率低めのややパツっとした食感の麺。

で、こちらはつけsoba。

こちらの麺は加水率が高めで滑らかな食感が特徴。
これがまた濃厚なスープとの相性が抜群。
つけsobaも必食です!

さて、話を「黒トリュフspecial」に戻しましょう。

写真はakinagao特製の黒トリュフソース!
そう!この黒いペーストがあの高級食材のトリュフ!

高級だからってわけじゃないけど、トリュフそのものは独特の香りがあるし、先入観では「トリュフそのものが自己主張してくる子?」なんて思ったけど、思いのほか出しゃばりさんじゃなかった!
むしろ良い意味で「脇役さん」を務めてくれていた。
どちらかと言えばベースのスープを支えてくれる印象。

これを溶くことでスープそのものの奥行きと広がりが出て、スープ全体がパワーアップする!

もう一つイイ働きをしてくれたのがこの卓上調味料の「黒七味」。
唐辛子や山椒のピリリとした辛味が一気にスープの味を引き締めてくれる。

ベースのスープがしっかりしているから、割と思い切って入れてもきっちり受け止めてくれるのもいいね。

どのラーメン&つけ麺も最初の一口目に「優しさ」を感じるので、後半物足りなくなったり、飽きたりするんじゃないかと思ったけどむしろ逆!
ペーストや黒七味のお陰もあるにしても、後半になればなるほどその美味しさが際立ってくる。

オープン間もないけど、これはいきなりすごいお店が登場したなって印象でした!

そうそう!先ほども触れたこちらの自家製麺。
気温や湿度によって粉の配合や水分量を微妙に変えているらしい。
自家製麺って難しいのにオープン直後でこのクオリティ・・・店主さんの探求心の成果なんでしょうね。

『ラーメンの麺には気品を感じ、つけ麺の麺は色気を感じる』って表現で伝わるかな?
・・・って、伝わるわけが無いか。
今年も表現がわかりにくいね(-_-)

【Mari iida】
住所:札幌市白石区北郷4条12-6-19
営業時間:11:00~16:00
定休日:日曜日
TEL:011-827-8667

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蝉吟(せんぎん)

2016年1月オープンのこちらのお店。

店主さんは元々フレンチレストランのシェフで、オープン直後からその味は評判になっていたお店。

一歩店に入ると、店主さんがスポーツ新聞を・・・なんてはずはなく、ラーメン屋というよりはまさに「フレンチレストラン」のオーラが漂っている。

仕事中じゃなかったら白ワインとかカヴァとか飲みたいところだね。

最初にオーダーしたのは味噌ラーメン。
それもただの味噌ラーメンじゃない。

正式なメニュー名は
「玉葱とオリーブオイルで乳化させた味噌」
ですって!

素材名と調理方法がそのままメニュー名になっているところはまさにフレンチの流儀ですね。
こういうメニュー名を聞くだけでなんだかテンションがちょっぴり上がるのは私だけ?

冒頭の「スポーツ新聞を読んでいる親父さんの店」のメニュー名も「オーストラリア産小麦麺の若鳥スープ仕立て下町風」なんて風に変えたら・・・。
あーら不思議480円のラーメンがいきなり高級料理に早変わり・・・ってなことにはならないか(^^;

いや、話を戻そう。
確かにこのスープは玉葱の甘さがいい感じにコクを出しているし、トロミのあるスープは麺との絡みもばっちり。
ほんのり効いた生姜のアクセントも全体をうまくまとめている感じ。

あえて札幌スタイルのほんのり黄色味がかった縮れ麺がいいね。
フレンチと札幌ラーメンの融合と言ってもいいかも知れない。

で、こんな感じで味噌ラーメンも美味しいんだけど・・・実は個人的にこちらのお店で是非食べて欲しいのは「オマール海老のソースのつけ麺」なのです!

写真の腕が悪いから伝わらないかも知れないけど、実に美しい盛り付け。
麺の器の大きさもポイントですね(^^)

冷たく水で〆られた麺にきれいに盛り付けられた鶏チャーシューと野菜。
食べる前からテンションが上がりまくりです。

そして味わって欲しいのがこのつけダレ・・・。
いやつけダレではないね。
もはやメニュー名にもある通り「ソース」です。

これは”米国人が好んで食べたことから名づけられた”とされる、オマール海老を使ったいわゆる「アメリケーヌソース」ですね。
オマール海老の美味しさが存分に引き出され、それを野菜の美味しさでまとめている極上なソースアメリケーヌなんだからびっくりしちゃう。

このソースってソテーした野菜やホタテなんかの魚貝類にちょろっとつけてワインと一緒に飲んだら最高だろうね・・・。

何につけても合いそうなソース!!

そりゃ私的には「好きなもの=麺」なんだからこの料理は最高に美味しいに決まっている(^^)

店名の由来はわかりませんが「蝉吟(せんぎん)」って「和」な店名はとても素晴らしいと思う。
(確か、松尾芭蕉が青年期に仕え、兄的存在として慕っていた藤堂新七郎家の当主良精公の第3子主計良忠の俳号が「蝉吟」だったかと思う。)

『閑さや 岩にしみ入る 蝉の声』

なんてな有名な句がありますが、今の私の心境は

『空腹や 胃にしみわたる 蝉(吟)の味』

って感じかな。
あああ・・・松尾芭蕉先生ごめんなさい。

【蝉吟 (せんぎん)】
住所:札幌市白石区本郷通9北4-26
営業時間:11:30~14:30、17:30~21:30
定休日:火曜日
TEL:011-558-9114

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西洋料理・麺nouille(ヌイユ)

続いてはこちら。
2015年2月オープンの「西洋料理・麺nouille(ヌイユ)」。

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夜は西洋料理のレストランで昼は麺料理(ラーメン)になるというちょっと変わったタイプのお店。

ラーメン(拉麺)は大きく分けて2つのジャンル。
一つは「定番の拉麺」
もう一つは四季折々の「季節の拉麺」。

もちろん定番の醤油や塩も普通のラーメンとは一味違う。
写真は「塩」だが、生ハムと鶏を使ったスープ(いや「フォン」と言った方がいいかもしれない)もただの清湯ラーメンとは一線を画すものである。

でもあえて言うなら「季節の拉麺」にこそここのお店のスゴサが出ているように思う。

この時のメニューは上のような感じ。
「山女魚(ヤマメ)」だったり「トムヤムクン」だったり「酸辣湯麺」だったり「フォアグラ」だったり・・・。
使用する素材が幅広ければ料理のジャンルもワールドワイドだ。

贅沢にたっぷりカニが乗った「香ばしい毛ガニの酸辣湯麺」は辛さと酸味がしっかり効いていながらも、きちんとカニの風味を邪魔しない絶妙のバランス。

トロミと辛さは寒い季節にはぴったり。

「北海シマ海老のトムヤンクン」はアジアンテイストなハーブの香りに辛さと酸味がバランスよく整えられた秀逸の一杯。

まさか北海道生まれの北海シマ海老くんもこんな風に調理されるとは思っていなかったんじゃないかな?(^^;

そして上の写真は「天然山女魚の焼き干しと、そこに自生したクレソンの醤油拉麺」。

渓流の女王と言われるヤマメ。
どうやら店主さん自ら釣ってきた魚を使用しているらしい。
ほんのり香ばしい香りと繊細な旨味は他では味わったことのない美味しさ。

独特の食感の麺で、ラーメンというよりは「素材を活かした麺料理」という表現がふさわしいかも。

随所にシェフの腕の高さを感じるラーメンたち・・・。
こういうのを食べると「ラーメンってまだまだ可能性は無限大だなぁ」と思うのでした。

ちなみに、フランス語にはちょっと詳しいので解説すると、店名の「ヌイユ」はフランス語で「麺」という意味なのです!

一つよく使うフランス語をレクチャーしてあげましょう。
「イカノアシジュポーン・タコノアシハポーン」
(意味:イカの足は10本でタコの足は8本です)
・・・すみません。大嘘です!背伸びしました(T_T)

フランス語はこれっぽっちもわかりません(涙)

【西洋料理・麺nouille(ヌイユ)】
住所:札幌市中央区南1条西9-15 B1F
営業時間:11:30~15:00 17:00~23:30(L.O.23:00)
定休日:日曜日
TEL:011-213-0115

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N’s cafe RS

続いてご紹介するのはコチラ。
2014年7月オープンと、新店と呼ぶにはちょっとご紹介のタイミングを逸してしまいましたが、「札幌おしゃれ系ラーメン」ではやはり外せないお店!

店名に「カフェ」と書かれている通り、オープン当初はラーメン屋というよりはカフェでラーメンを提供していました。

店内にはその名残でカウンターの後ろにはコーヒーカップがおしゃれに並べられている。
「おしゃれな雰囲気」って言葉がぴったりですね。

デートコースに使えるんじゃない?ってラーメン屋さんですね。
ちなみに現在コーヒーなどは提供されておりませんのでご注意を・・・。

さて、ここでのイチオシメニューは「鶏出汁醤油」ラーメン。

鶏の旨味と香りが一口目から押し寄せてくる。
コーヒーを飲んでほっとするのと同じぐらい、「ほっとする」ってのが一口目の感想。

所謂鶏の「清湯(チンタン)」スープなのだが、シンプルゆえにごまかしが効かないタイプ。
丁寧に、そしてしっかり旨みを引き出しているのが伝わってくるね。
麺はストレート麺を選んだが、もちろん相性は抜群。

実はこちらのお店では+50円で平打ち手もみ麺も選ぶことができます。

こちらは中華そば。

煮干し中心の魚介の旨みが効果的に使われいて、これまた美味しいんです(^―^)

で、この平打ち麺がまた美味しい!!
やや加水率の高いこの麺。
麺の味わいはもちろんだが、口の中ではじける弾力がこれまた心地よい。

ご自身も食べ歩きが好きで、食べ手としても有名な店主さん。
多くのお店を食べ歩いたその経験を基に時々限定ラーメンも提供しており、そちらも高い評価ばかり。
でも、定番の「鶏出汁醤油」や「中華そば」の美味しさをまずは知ってもらいたいかな。

丁寧な仕事と心地よい空間・・・。
ほっとしたい方には特におすすめです!!

そうそう!
先に書きましたが、現在コーヒーなどは提供されていません。

あくまで「飲み物」はラーメンだけなのでご注意くださいね。
あれ?・・・えっと・・・ラーメンは「飲み物」であっているよね?

【N’s cafe RS】(移転)
住所:札幌市中央区大通西17-1-20 ライオンズマンション第8大通1F
営業時間:11:00~14:00
定休日:祝日・日曜日
TEL:011-699-6682

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ということで、今年もくだらないギャグも交えながらスタートした「札幌ラーメン最新事情」です。
文章は相変わらずの駄文だけど、今回紹介したお店はどれも鉄板だと思っています(^^)

フレンチやカフェなど「おしゃれ」という側面もありますが、それだけじゃなく、確かに新しい流れや可能性を感じます。
ますます札幌のラーメンシーンが広がっていること、皆さんも実感していただけたらと思います。

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WRITER/大石 敬(札幌ラーメンコンシェルジュ)

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