【札幌ラーメン最新事情2015⑤】あぁ望郷のソウルフード! 最終回は札幌ラーメン最新「老舗」事情

福来軒

シリーズでお送りしました「札幌ラーメン最新事情2015」もいよいよ最終回となりました。

基本的にこのシリーズは「前年の新店や新メニューなどを中心に動向をさぐる」というコンセプトで書いております。
必然的に「新しいお店を紹介する」ことが多くなります。

でも・・・。

ここ最近の札幌の動きでどうしても気になるのが「老舗店の閉店」なんですよね。

長く続いたお店が後継者問題や様々な事情で閉店してしまうのはとても寂しいことです(>_<)

加えて、TVや雑誌なども長く続いているお店よりも新しいお店の方が話題性も高く取り上げやすいのも事実。
(かく言う私も新しいお店にスポットを当てることが多いのですが・・・)

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昨年11月末には、個人的にとてもお世話になった「ふくべ」も50年以上の歴史に幕を下ろすことになってしまいましたし・・・(涙)

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暖簾に書かれた「札幌名物」の文字の通り、てんこ盛のモヤシに元気をもらったオールドファンも少なく無いでしょう。

ということで、今回は「老舗店」にスポットを当ててみたいと思います。

皆さんにも「メディアにはあまり登場しないけど、頻繁に利用している」なんて老舗ラーメン店がひとつやふたつはあることでしょう。
まだまだ沢山のお店が元気に頑張っていますが・・・。

今回は4店だけ独断と偏見で選んでみました(^^)
「なぜあそこを紹介しない!」というご意見があるかも知れませんが、お許しください(^^;

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洋食・中華とらや

まず一軒目は、先日のインタビュー編の「朝ラー」の特集でも紹介したお店。

洋食・中華とらやです。

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実は今回この特集を書こうと思ったきっかけのひとつはこのお店にあります。

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先日何気なくお店を訪問したら、こんな張り紙が・・・・。

えええ(*o*)
今年一杯で閉店!!!(T_T)

とても残念だが、店主さんは今でも腕の痛みをこらえながら無理を押してお店を続けてくれているようだ。
これ以上無理をさせるわけにはいかないだろう。

時代の流れといえばそうなのかも知れないけれど・・・。
あまりにも悲しい・・・。

せめて記録に残す意味でも記事にしておこう!

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ここのラーメンのポイントは「豚の美味しさ」なんだと思う。

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スープは豚骨清湯(とんこつちんたん)がベースで、鶏は使っていないらしい。
それに野菜や昆布、煮干などの美味しさがほのかに加わった、あっさりしながらコク深いラーメンなんだよね。

豚の美味しさ・・・いや、言い切ると「豚の脂の甘さ」と言ってもいいかもしんない。

ちなみに、こちらのお店は「国産豚の生のものしか使っていない」らしい。

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すみません(-_-)
豚を強調したのは、一緒に頼んでしまったトンカツに対する言い訳の意味もあります(-_-;

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豚が美味しい→確かめるためにトンカツも注文した!→仕方がないでしょ?

・・・わかりやすい言い訳だな(-_-;

いやいや、でも冗談抜きに美味しい逸品なんです!
ラーメンだけじゃなくファンが多いのも頷ける。

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おっと閑話休題。

スープに浮かぶ脂を軽くまとったさがみ屋製麺の札幌麺との相性も抜群。

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これがもうすぐ食べられなくなっちゃうなんて・・・・。

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「札幌の朝ラーメンならココ!!」と多くの友人に伝えてきた。

今年も道外からラーメン好きの友人たちが来ることだろう。
今年がラストチャンス!!

未食の方は是非今年中に北海道に来てください。

私も・・・オムライスや定食メニューも食べたいし・・・。
今年は例年以上に通おうと思っています。

【洋食・中華とらや】
住所:北海道札幌市中央区南14条西8丁目5-27
営業時間:8:00~22:00
定休日:火曜日
TEL:011-511-2355

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福来軒

二軒目は「福来軒本店」です。

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札幌ラーメンのオールドファンならこの店の存在は皆さんご存知のことでしょう。

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この聳え立つ割り箸を見るだけでどこの店かわかっちゃいますよね。

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この店を語る上で必ず出てくるのがこの「傾いたカウンター」(笑)

スープの喫水線(?)がアシンメントリー(^ー^)

私なんかこれを見ただけで条件反射でテンションがあがっちゃいますよ。

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味噌ラーメンももちろん美味しいけど・・・。

ここでは個人的に「醤油イチオシ」です(^ー^)

炒めた野菜の香ばしさ、濃い目のスープ、醤油の香り・・・。
The札幌醤油ラーメン!!

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黄色くて縮れた麺・・・それが少しずつ醤油色に染まっていくのも堪らない(^ー^)

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「札幌味噌ラーメンにはモヤシ」というのは異論の無いところでしょう。

でも「札幌醤油ラーメン」には「モヤシ不可欠派」と「モヤシ不要派」がいるような気がする(^^;
まぁ、好みの問題ですが、私は醤油にもモヤシがあったほうが嬉しいタイプの人間です。

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トレンド系の洗練された味わいのラーメンも良いけれど。

やっぱり時々無性に食べたくなるのはこういうラーメン。

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夜23時まで営業ってのもあって、遅めの時間に食べちゃうこともしばしば!

なんていうのかな・・・。

札幌っ子のDNAに「コレを欲する」って欲求が組み込まれているのかも知れないね。

本能が欲するんだから、夜遅くに食べちゃうのもしょうがないよね(^ー^)b

・・・(-_-)

【福来軒 本店】
住所:北海道札幌市中央区南16条西8丁目1-26
営業時間:11:00~23:00
定休日:無休
TEL:011-521-5407

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名水ラーメン

三軒目はこちら。

名水ラーメン!
東区は中沼とここ厚別の2箇所にお店があります。

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実は私の地元は厚別区!
かなり頻繁に足を運んでいます(^^;

とはいえ、ここ最近は「飲んだ後」しか立ち寄らないので、あまり大きな声で自慢もできないんだけどね(笑)

なので、この店に関してはかなり個人的な思い入れというか・・・バイアスがかかっています(^^;
そのつもりで読んでください(笑)

創業は・・・何年なんだろ?
酔って聞いたことも一度や二度じゃないけど、記録が残っていない(笑)

確か30年以上は営業しているはず。

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名水の名前の由来は「羊蹄山の湧き水」を使っているから。
中沼の本店の方が毎日汲みに行っているらしい。

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で、イチオシメニューは「塩」!

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透明感のあるスープ・・・。

でもこれが実に美味しい。
当たり前だけど「ラーメンに水って重要!」って事も実感する。

豚骨清湯がベースかな?
動物系の美味しさに野菜の甘み・・・見た目以上にしっかりコクがあるスープは飲んだ後には最高!!

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冒頭にも書いた通り、地元で飲んだ後に頻繁にお世話になっているお店。

なので・・・時々この店に立ち寄ったことすら忘れて・・・(-_-)
翌朝の胃もたれとデジカメの画像データで初めて記憶が蘇るなんてのもしばしば(苦笑)

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シャッキシャキのモヤシ・・・。
熱々のスープ・・・。
シンプルだけどコクのある味わい・・・。

そして黄色い縮れ麺。

東京勤務時代も出張や帰省で札幌に来るたびに立ち寄ったっけ。

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『あー・・・札幌ラーメンって美味しいなぁ・・・。北海道に帰りたいなぁ・・・・。』

そんな事を思いながら食べた20代~30代。

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水の美味しさひとつをとっても「望郷の念」ってやつに駆られたっけ。
毎回感謝しながら食べていたよなぁ・・・。

でも、今はちょっと当たり前に通い過ぎて感謝の気持ちを忘れているかな(^^;
せめて何かお礼代わりに褒め言葉でしめくくりたいところ。

そうだ!!
記憶にない画像がデジカメに入っていることを専門用語(なのか(?_?))で「念写」と言います(-_-)

そう!このお店は個人的に念写率が一番高いお店です!!

自慢にもならんし、お店の褒め言葉にもならなかった┐( ̄ヘ ̄)┌ヤレヤレ

ついでに書くと、飲んだ後のこのお水の美味しいこと・・・・。
いや、これ以上書いてもラーメンの褒め言葉に着地しない気がするからこの辺にしておこう(-_-)

【名水ラーメン 厚別店】
住所:北海道札幌市厚別区厚別中央3条4丁目5-1
営業時間:11:00~翌1:00
定休日:不定休
TEL:011-894-2628

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ゆりや食堂

最後の四軒目はこちら。

札幌の老舗ラーメンといえば必ずと言っていいほど名前があがるお店。
ゆりや食堂。

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もう店構えから「風格」が漂っていますよね。

オープンは1946年というからスゴイ!

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シンプルイズベストとでも言わんばかりの潔い見た目。

「札幌ラーメン」や「味噌らーめん」が全国区になる以前のスタイル。
いや、むしろ全く違う道を歩んできたと言った方がいいのかもしれない。

札幌ラーメンのルーツが屋台からの派生だとすると、こちらはそばやうどんなどを提供してきた食堂からの派生といえるのかな?

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鶏がらベースの清湯スープは口当たりがやさしく、どこかほっとする味わい。
物足りなさを感じる人もいるかもしれないけど、逆に「ラーメンってこういうのがいいんだよね!」というファンも多いと思う。

イマドキの味でも無いし、札幌らしい味でも無い。

でも、誰もが懐かしさを感じる一杯だと思う。

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これはラーメンの話じゃなく一般論だけど・・・。

「時代の流れにあわせなくちゃ・・・」とか「今はそんな時代じゃないよ・・・」とか、世の中には

『時代に迎合するのが善、時代遅れは悪』

なんて考え方も一部にあるような気がする。

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でも、それが必ずしも正しくは無いことをこの店は教えてくれる。

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科学技術の進歩、産業の発達etc.

時代の流れをキャッチし、先を読みながら前に進んでいくというのは重要なことだと思う。
特にビジネスの分野においては・・・。

でも、時々ふと「前に進んでいるつもりが流されていた」ということもあるような気がする。

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いや・・・なんだか、らしくない小難しい話になってしまった。
もしかしたら「時代の流れ」ってやつについていけなくなった自分が屁理屈を言っているだけかもしれない。

でも、「味」だけじゃなく「その店の持つオーラ」や「雰囲気」に惹かれ、自分は足を運んでいること・・・。
そしてそのことに「癒されている」ことだけは確かだ。

「時代が変わろうとも変わらぬ味とスタイル」

そこに大切な何かを感じている自分がいる。
こういうお店は本当にいつまでも続いて欲しい・・・。

【ゆりや食堂】
住所:北海道札幌市中央区南1条西19丁目
営業時間:(月~金)11:00~18:00 (土)11:00~16:00
定休日:日曜・祝日
TEL:011-621-4911

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ということで、今年も無事「札幌ラーメン最新事情」を書き終えることができました。

新しい味、懐かしい味、新しく生まれるお店、変わらぬお店・・・そして残念ながら消えていくお店。
まだまだ紹介したいお店も沢山ありましたが、今年はこの辺で終わりとさせていただきます。

今の札幌のラーメンを一言で言えば「バラエティに富んでいる」と言えるんじゃないないかな。
色んなラーメンに出会えるのは楽しいですよね。

皆さんにも是非色んな味に出会って楽しんでいただきたいです。

ラーメンは嗜好品ですから一概に「美味しい」とか「美味しくない」とかでくくることは決してできません。
最後は皆さんがご自身で「味わい」「感じて」判断していって欲しいと思います。

でも、この特集がそんな皆さんの食べ歩きの一助となれば幸いです・・・。
また来年(・・・あるのか?(^^;)お会いしましょう!!(^o^)/~

・・・てか、特集以外の記事も時々ちゃんとアップしますけどね(笑)

【札幌ラーメン最新事情2015】
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WRITER/大石 敬(札幌ラーメンコンシェルジュ)

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