カムイミンタラの麓にある一軒宿 トムラウシ温泉 国民宿舎東大雪荘

ぐうたび編集部マサです。夏らしくなってきた7月初旬、以前から行ってみたかった秘湯の一軒宿「トムラウシ温泉 国民宿舎東大雪荘」に宿泊してきました。国内最大の広さを持つ大雪山国立公園内にあり、国内最後の秘境と言われ手付かずの大自然がたくさん残されています。

そしてカムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)とも言われるこのエリアは、2013年に山村留学制度を利用してトムラウシに一年間滞在した作家、宮下奈都さんのエッセイ「神さまたちの遊ぶ庭」でも、何度も登場しています。

夏は登山客で賑わい、冬は温泉やエゾクロテンなどの動物たちに会いに全国各地から宿泊客が訪れます。もしかしたら、一年を通して北海道より道外から訪れる人が多いかも・・・。そんなトムラウシ温泉 国民宿舎東大雪荘をご紹介します。

大雪山系の奥座敷。50キロ先までガソリンスタンドもコンビニもありません

以前、テレビで「日本一コンビニまで遠い宿」として紹介されたことのある「東大雪荘」。

JR駅がある新得町の中心部から7.5Kmのところに屈足(くったり)という地域があります。コンビニ・ガソリンスタンドに寄りたい方は、ここ屈足で済ませましょう。ここから東大雪荘までは約51Km(!)もあって、ここを逃すとその先にはコンビニにもガソリンスタンドもありません。ここから山道(道道718号)を35キロほど走り、湖とダムをまたぐ二つの橋があり、その二つ目の赤い橋を渡るとそこが、約90人が暮らす集落トムラウシです。

トムラウシは、アイヌ語で「花の多いところ」「水垢が多いところ」の意。さらに、大きな蕗が群生するガードレールもない山道を進み、ユウトムラウシ川に沿って10kmほど進むと、いきなり未舗装の道路が現れます。このダートな道を5kmほど揺られて走ると、『国内最後の秘境』と言われる森の間に、ロッジ風の建物が見えてきます。

やっと到着です。私も道内各地の秘湯を訪ねましたが、この奥地感はハンパない。

東大雪荘の300メートルほど手前には噴泉塔があり、この湧出孔から温泉の源泉が自噴しています。そして噴泉塔の先には、トムラウシ山への登山口があります。

 

中へ入ると、開放的なロビー・フロント、そして奥には売店コーナーがあります。

地元で作られている「新得町民そば」や「鹿落角工芸品」など、このエリアでしか手に入らないお土産品や、簡易トイレなど登山に必要なグッズも販売されていました。

本日のお部屋は川側、明るく清潔感のあるお部屋です。中へ入ると、「ゴウゴウ」と、川の音が聞こえてきます。一瞬、「窓開いてる?」と思ったぐらい、はっきりと川の音が聞こえます。でも、次第にこの音が心地よくなってくるんです。因みにここでは、お布団を敷きに係の方が部屋に入ることはありません。自分の好きなタイミングで各自布団を敷き、起きたら自分で布団をあげる、それが東大雪荘の流儀です。

メタケイ酸が豊富な美肌の湯でお肌しっとり。湯量たっぷりの温泉は掛け流し

宿の方から「ぜひ、明るいうちにお風呂に入って自然の中の温泉を楽しんでください」と言われたので、チェックイン後、早速、大浴場へ。なるほど、3階まではありそうな大きな窓の向こうは、緑一色の森!山!森!山! まるで一枚の絵画のようです。

大きな内湯は2つ。ひとつは42度もうひとつは38.9度とぬるめ。お湯の温度は好みが分かれるところですが、ここならバッチリです。

トムラウシ温泉国民宿舎東大雪荘の外観写真

迫り来る木々に囲まれた露天風呂の下には、十勝川の支流のひとつであるユウトムラウシ川がゴウゴウと音を立てて流れています。マイナスイオンをたっぷり浴びながら、温泉に浸かります。

温泉の源泉は、98度と高温のため熱交換器で60度くらいに冷まし、湧水を加水して適温にして引き入れています。美肌に効くといわれるメタケイ酸が100mgを超えると、一般に『美人の湯』と呼ばれるそうですが、ここのメタケイ酸値は、なんと197.2mg!ほのかに硫黄の匂いのするお湯は肌にトロッとまとわりつき、すでに美肌の予感。こんな山奥なのにこのお湯を求めて全国から人々が訪れるのがわかります。高温、低温、露天風呂と交互に浸かっていたら、あっという間に1時間。この間、運の良いことに、大浴場はほとんど貸切状態でした。なんという贅沢~。

湯上がりに外に出てみると、川の横にさっき浸かっていた露天風呂がありました。こんなところにたっているんですね。

野菜たっぷりのヘルシーな夕食。レストランは登山者の交流の場

さてさて、お風呂に入ってお腹も空いてきたところでお待ちかねの夕食の時間となり、1階の「レストランカムイ」に向かいました。春から夏にかけては、3種類のメニューが日替わりで提供されています。連泊客が多いのですが、3連泊しても同じお料理に当たらないんです。

因みに、宿泊した日は春メニューで、メインは地元野菜を源泉で蒸してチーズフォンデュ風にいただく「トムラ蒸し」。

トムラウシ温泉国民宿舎東大雪荘夕食の写真

温泉の蒸気で蒸すことで甘みが増したアツアツの野菜に、とろ~りチーズを絡めてパクッ。他にも、オリーブをひき肉で包んで揚げたフライや、ワイルドライスを添えた白身魚(さわら)など、高山に囲まれた深い山奥とは思えないオシャレな一品も楽しめました。お料理は全体的に素材の味を生かした薄味。優しいお味が嬉しい~。

トムラウシ温泉国民宿舎東大雪荘夕食の写真

日本百名山トムラウシ山(2141m)の登山口に一番近い温泉宿とあって、ベストシーズンの7月は登山客で賑わっています。レストランでも、初めて会った登山客同士が一緒に食事をしながら、山の情報交換で盛り上がっていました。

そういえば廊下に掲示してあったホワイトボードにも、たくさんの山の情報が書き込まれていました。

トムラウシ温泉国民宿舎東大雪荘ホワイトボードの写真

「登山の途中に咲いていたお花の名前」「>ナキウサギの声聞きました」、そして「熊の足跡あり」なんていう書き込みも。

トムラウシ温泉国民宿舎東大雪荘休憩室の写真

食後は、また夜の温泉を楽しみ、湯上がりどころでマッサージや漫画本を楽しんだりと、川の音を聞きながら自由気ままにの~んびりと過ごし、いつの間にか心地よい眠りについていました。

そして翌朝、またまた温泉を楽しみ、朝食をいただきます。

トムラウシ温泉国民宿舎東大雪荘朝食の写真朝食は、バイキングで20種類以上の品ぞろえ。ここで焼いているクロワッサンが人気と聞き、私も一ついただきました。やっぱり焼き立てパンは美味しいですね。

早朝に出発する登山客には、レストランカムイの横に温かいお茶が用意されています。マイボトルに入れて自由に持ち帰ることができるそうですよ。

冬のアイドルはエゾクロテン。キュートな仕草に支配人もメロメロ

国内最後の秘境と言われるだけあり、宿の周辺もそうですが、最初に紹介したあの赤い橋を越えたトムラウシ集落からここまでの道中も、春夏秋冬、様々な顔を見せてくれます。

春は桜を眺めながら、秋には美しい紅葉の中、露天風呂を楽しむことができます。

トムラウシ温泉国民宿舎東大雪荘紅葉の露天風呂の写真
でも、あえて私は冬をおすすめします。

十勝川源流部原生自然環境保全地域に隣接する宿の周辺は、希少な野生動物の宝庫です。中でもここでしか見られないのが、雪が降り始めると宿の近くに姿を見せる「エゾクロテン」。出勤時間(?)が大体決まっているそうで、宿泊客は玄関前のソファに座ってカメラやスマホを構えて『出待ち』。そのためにロビー入口のソファは玄関側を向いているんですね。

トムラウシ温泉国民宿舎東大雪荘エゾクロテンの写真2重扉の近くにテンが現れると自動ドアのスィッチをオフにします。その瞬間から、ドアの内側では一斉に撮影会が始まるんですよ!冬はエゾクロテンを見る目的で道外から来る方も多いとか。熱く語る支配人のスマホには膨大な数のテンちゃんの写真がありました(笑)。

体長30~40センチくらい、まん丸の目と鼻がとっても可愛い。これはまた冬に生テンちゃんを見に来なければ!生テンちゃんのためなら山の雪道もなんのその。いや、冬は新得町から送迎バスもあるんだった(ちょっとPR!)。再訪を誓いました。

トムラウシ温泉国民宿舎東大雪荘送迎バスの写真
私たちが厳しい自然の中で暮らしていくには、みんなで助け合い、思いやる精神が必要です。たった一晩の滞在でしたが、宿のみなさんから感じた心づかいや、宿泊客からフレンドリーに声を掛けてもらったことに心が温かくなりました。その昔、大変な思いをして東大雪を切り開いてくれた人々。今日も、宿までの道を舗装し続けてくれている工事の方々。皆々様に感謝しつつ、宿を後にしたのでした。

 

※紅葉の露天風呂とエゾクロテンの写真は東大雪荘から借用。

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WRITER/ぐうたび北海道 編集スタッフ

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