つけ麺はお好きですか?
今の札幌の麺好きな人にもしこの質問を投げかけたら「Yes」か「No」の返事が返ってくるでしょうね。
でも仮にこの同じ質問を5~6年前に投げかけたら、
『食べたことが無い』『つけ麺って何?』という返答をする人も少なくなかったのではないでしょうか?
今では札幌でもすっかり市民権を得た感がある「つけ麺」。
でも、実はその歴史は札幌では意外に新しいのです。
そして、その短い歴史の中にも重要なターニングポイントとなる出来事がありました!
ということで、「札幌ラーメン最新事情2012」特集の最新事情その4はつけ麺をテーマに、札幌での歴史や注目店などを徒然に語ってみたいと思います。
今回も長くなりそうなので「前編」「後編」2回に分けてお送りしたいと思います(^^;
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まずこちらの年表・・・。
勝手に今の札幌つけ麺シーンに於いて重要そうな出来事だけ(※)をピックアップしてみました。
2005年5月 | 麺処まるは西岡にオープン |
2006年8月 | あらとん場外市場食堂長屋にオープン |
2006年11月 | 麺eiji平岸にオープン |
2007年5月 | 麺処まるはにて浅草開化楼の麺の使用を開始 |
2007年6月 | 麺eiji 濃豚つけBUTO登場 |
2007年7月 | 凡の風 つけ麺塩(南印風)登場 |
2007年11月 | 豚ソバ Fuji屋太平にオープン |
2007年12月 | 麺eiji 札幌で初の焼き石登場 |
2008年7月 | つけめんShin.東苗穂オープン |
2008年9月 | 麺やけせらせら太平にオープン |
2008年10月 | 麺屋高橋月寒にオープン |
2009年7月 | 麺やけせらせら つけ麺の提供を開始 |
2009年11月 | 麺処蓮海平岸にオープン |
2010年6月 | さっぽろにて大つけ麺博が開催 |
2010年8月 | あらとん北大前店オープン |
2010年8月 | つけ麺工藤中央区にオープン |
2010年11月 | 拉麺 Shin.オープン |
2011年4月 | 麺処まるは健松丸すすきのにオープン |
2011年10月 | 麺処蓮海清田に本店としてオープン |
(※もちろん2005年以前もつけ麺を提供しているお店もありましたし、今も人気のお店もありますが、あえて「今の札幌つけ麺シーン」というくくりで事例をピックアップさせていただきました。
ご了承くださいm(_ _)m)
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あら焚き豚骨「あらとん」
2006年8月、場外市場近くにあら焚き豚骨「あらとん」がオープン。
東京の名店での修行後、美味しい魚のアラを求めていたらここにたどり着いたとか・・・。
豚骨と魚のアラを焚いた濃厚なスープはインパクト絶大。
札幌のラーメン文化(つけ麺文化)に大きな衝撃が走りました。
濃厚なスープはもちろんその太い麺も圧巻で、私も初めて食べた瞬間大いに驚いたことを記憶しています。
でも、ハマルと抜け出せない魔力を感じた人も多かったようで、休日は朝早くから行列ができていました。
あらとん人気は現在も続いているのはご存知の通り。
北大近くには支店もあります。
その強烈な個性のため、もしかしたら、好き嫌いもはっきりと分かるかもしれませんが・・・。
ハマル人は中毒に要注意ですよ(笑)
さて、このあらとん。
札幌でつけ麺文化を語る上でははずせないお店ですし、人気店ではありますが、「スタンダードなつけ麺」ではなく、どちらかと言えば「オンリーワン」な味わい。
続いて登場したいくつかのお店と合わさって初めて札幌つけ麺文化の土台となっているんじゃないかと勝手に思っています。
【あら焚き豚骨 あらとん 本店】
札幌市中央区北十条西21-15-4
札幌場外市場 食堂長屋内
営業時間:9:00~なくなり次第終了
月曜定休(祝日の場合翌日)
TEL:011-612-6312
【あら焚き豚骨あらとん 北大前店】
札幌市北区北15条西5-1-7
ほくせいビル1F
営業時間:11:00~14:30 16:00~21:00
(スープが無くなり次第終了
月曜定休
TEL:011-612-6312
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麺処まるは 健松丸
続いての出来事は2007年5月。
西岡の人気店、麺処まるはが東京の製麺所「浅草開化楼」の麺を使い始めたのも忘れてはならないターニングポイント。
それまでは「ラーメンもつけ麺もスープが重要」という考えだった店主が「麺が美味しければもっとつけ麺の可能性は広がる」と認識を変えたそうな。
当時の麺処まるはでは魚介豚骨つけ麺だけではなく、写真のゴマ味噌風味など、意欲的に色々なスープも試されていました。
恐らくこれも新しい麺との出会いが積極的なメニュー開発と味の向上につながったんだと思います。
で、この頃、札幌の製麺業者やラーメン店店主がこの店に頻繁に食べに来る様になったのも札幌のつけ麺文化が根付くための大きな要因だったと思います。
さがみ屋製麺や小林製麺といった札幌を代表する製麺会社がこの頃から意欲的に新しい麺作りを始め、次々と美味しい麺を出したのも札幌のつけ麺シーンをなぞる上では忘れてはならない出来事なんじゃないかな。
ちなみに現在まるははすすきので麺処まるは健松丸として営業中。
ドロドロで日本でもトップクラスの濃厚さを持つスープそのものも新しい試みですし、日々中毒患者を増やしていますが(笑)、その濃厚なスープに合わせるために麺にもこだわっています!
浅草開化楼の麺との出会いで様々なスープを作ってきたのと今度は逆のパターンかな?
日本一濃厚な豚骨スープに合わせるために麺を日本中から探し出したってところでしょうか。
京都の麺屋棣鄂という人気の製麺所から取り寄せている麺。
確かにこれまたすごく美味しい麺!
相変わらずこだわりの強いお店です(^^)
つけ麺の美味しさに麺の美味しさは欠かせない!
今も昔もまるはがそんな大切なことを教えてくれています。
【麺処まるは 健松丸 】
札幌市中央区南4条西5丁目6
第2秀高ビル 1F
営業時間:11:00~深夜3:00
日曜定休
TEL:011-251-6777
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麺eiji 平岸ベース(men-eiji HIRAGISHI BASE)
続いては2007年6月の麺eijiでの出来事。
まるはのつけ麺に刺激を受けた麺eijiの店主やさがみ屋の担当者が、東京にも足を運びつけ麺の美味しい店をかなり食べ歩いたそうな・・・。
そして登場としたのが濃豚つけBUTO!
その名の通り、濃厚な豚骨スープに魚介風味。
何より圧巻はその太い麺。
インパクトだけじゃなく、味も本当に美味しい麺が登場。
発売と同時に札幌の多くの人を虜にしました。
そして満を持して、2011年8月に移転オープンした麺eiji。
店名も新たに『麺eiji 平岸ベース(men-eiji HIRAGISHI BASE)』にしました。
スープの進化もさることながら・・・。
驚いたのは麺を自家製麺に変更したこと。
ラーメンももちろん自家製麺で大人気ですが・・・。
やっぱり、この麺の美味しさ。
スープとの相性。
一皮も二皮も剥けた印象です。
今も札幌のラーメン文化全体に影響を与えて続けているお店です!
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話を戻して、前述2007年5月に登場した麺eijiの濃豚つけBUTOの登場は札幌のラーメン好きばかりじゃなく、ラーメン店店主にも大きな衝撃を与えたようです。
それまで、あまりつけ麺には関心のなかったお店も、オリジナルつけ麺の開発がなされたのは、このお店の影響もあるのではないでしょうか。
そのお話はまた後編で・・・・。
【麺eiji 平岸ベース(men-eiji HIRAGISHI BASE)】
札幌市豊平区平岸2条11丁目1-12
営業時間:11:00~15:00(L.O.14:45)17:00~21:00(L.O.20:45)
水曜&第三火曜定休
TEL:011-813-7233
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つけめんShin.
前編最後のお店。
先の麺eijiのつけ麺の後いくつかのお店がつけ麺を出していますので、時系列的にはちょっとだけ前後します。
2008年7月にオープンのつけめんShin.
札幌のつけ麺文化を語る上でははずすことの出来ないお店。
誰もが知る、東京の人気つけ麺店での修行を経て、本格的なつけ麺を札幌で提供。
店主は開店当初から「札幌のつけ麺をブームから文化に変える」と言い続けて来ました。
その台詞が語る通り、この時点ではまだ「つけ麺ブーム」であり、誰もが知る食べ物というよりは、一部の人たちが楽しんでいる印象は否めませんでした。
こちらのつけめんShin.で提供しているつけ麺は本当の意味での「スタンダード」なつけ麺。
奇をてらわず、濃厚なスープをしっかり抽出し、魚介+豚骨の直球勝負。
太くて食べ応えのある麺をたっぷり食べられる、まさに当時の東京では主流のつけ麺でした。
このお店で本当につけ麺の美味しさに目覚めた人も少なくないと思います。
現在厚別にも「拉麺Shin.」をオープンさせ、本店とは違った味わいのラーメンやつけ麺を提供中。
ところで、そもそも「スタンダードなつけ麺」って何?と言われそうですが・・・・。
その当時に関して言えば”濃厚な魚介豚骨スープに太麺でがっつり食べる食べ物”だったと言えるかな?
濃厚さも麺の太さもハマルと抜け出せないものなのですが・・・。
ところがその「濃厚さ」や「麺の太さ」が逆に苦手という人もいるのも事実。
そこで拉麺Shin.やつけ麺Shin.では様々な工夫もされています。
ゆずを効かせつけダレでさっぱり食べていただこうという試みだったり、濃厚さを抑え、麺もやや細めにした「つけめんライト」というメニューを提供してみたりと、常に「沢山の人につけ麺を楽しんでもらいたい」というこだわりが感じられます。
「つけ麺をブームから文化へ!」
そう語った店主の背中には「妥協なき追求」の文字。
まさにその2つのコピーを今も実践し、文化を広めようとしているのが今も伝わってきます。
【つけめん Shin. (つけめん しん)】
札幌市東区東苗穂三条1-3-45
コスモロイヤル東苗穂A棟 1F
営業時間:11:00~15:00 17:00~20:00
(スープがなくなり次第終了)
月曜定休(祝日の場合翌日)
TEL:011-786-7789
【拉麺 Shin】
札幌市厚別区厚別中央2条2丁目3
営業時間:11:00~16:00 17:00~23:00
月曜定休
TEL:011-895-8000
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ということで、札幌のつけ麺文化を語る上ではずせない出来事を中心に書いて見ましたが、思った以上に長くなってしまった(^^;;
これでまだ前編(苦笑)
今回はいつもよりちょっとまじめにアカデミックに(?)書いてみました。
ちょっとラーメンヲタクっぽい記事になってしまったかな?(^^;;
お許しください。後日の後編に続きます!
【札幌ラーメン最新事情2012】
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