昨年久しぶりの再開となった「札幌ラーメン最新事情2023」。ありがたいことにたくさんの方から反響をいただきました。こんな駄文にお付き合いいただき光栄です。
ただ、昨年後半はかなり「ラーメンオタク向け」のようなディープ過ぎる内容になってしまったのではないかと反省。
ということで今年は、ラーメン初心者や観光客の顔を思い浮かべながら少しわかりやすい記事を書くように心がけたいと思います。
札幌のラーメンシーンは「ご当地ラーメンがありながら新しい味もどんどん登場し受け入れられている」というのが一つの特徴だと思っています。

ただ、折角食べ歩きをするなら、ご当地ラーメンである札幌ラーメンとそれ以外のものはちゃんと区別して食べ歩いてほしいなとも思うのです。この辺に関しては昨年の特集で詳しく説明しているので、ぜひ改めて読んでいただけたら嬉しいです。
札幌ラーメンってナンだ!?|札幌ラーメン最新事情2023 第1回
2024年最初のテーマは…さっぽろ雪まつり
さて、と言うことで2024年最初の記事は「さっぽろ雪まつり会場付近で気軽に寄れる距離のおすすめ店」というテーマで書いてみたいと思います。

今回ご紹介するお店は以下の基準を考慮して選んでおります。
- さっぽろ雪まつり会場である大通公園から狸小路商店街までの概ね徒歩5分圏内
- ここ一年以内にオープンした新しいお店
加えて
- 札幌のご当地ラーメン「札幌ラーメン」のお店から一店
- 北海道のご当地ラーメンの一つ「函館ラーメン」のお店から一店
- ジャンルにこだわらない所謂「トレンド系ラーメン」のお店から一店
という3つのジャンルからピックアップしてみました。

札幌らーめん共和国なき今、あの人気店はどこへ?
さっぽろ雪まつりは、冬の札幌で開催されるもっとも大きなイベントの一つ。これを目的に国内外からたくさんの観光客の方が来てくださいます。
個人的にそういう方に「どこでラーメンを食べたらいい?」という質問に対して、昨年2023年までは「札幌らーめん共和国」をオススメすることが多かったです。「交通の便や選べる楽しさ」を考慮するととても良い施設だったのですが……

北海道新幹線札幌延伸に伴う札幌駅前の再開発により、2023年8月に札幌エスタが閉館。それに合わせて、同施設も閉店することとなってしまいました。

▲札幌らーめん共和国の閉館間近には名残を惜しむ人、人、人
地元民にも観光客にも愛されていた施設だったのですが、仕方が無いですね。
今回ご紹介するお店のうち「らーめん吉山商店」と「あじさい」は札幌らーめん共和国でも大人気だったお店です。

らーめん 吉山商店街
まず最初にご紹介するのは「らーめん吉山商店」が新しく狸小路にオープンさせた「らーめん吉山商店街」。
吉山商店と言えば、市内に数店舗構えているほか、マレーシアにも店舗を持つ札幌ラーメンを代表するお店の一つ。
店名 | らーめん 吉山商店街 |
所在地 | 札幌市中央区南3条西5-33 エリオ狸小路 1F |
アクセス | 地下鉄「大通」駅から徒歩約5分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 11:00~22:30 日曜営業 |
定休日 | 無休 |
席数 | ー |
(店舗情報の引用元:食べログ)
雨でも雪でも濡れずに行ける好アクセス

「らーめん吉山商店街」は狸小路商店街に店舗を構えるお店。狸小路商店街は北海道内で最古の商店街の一つ。明治6年に出来たというからなんと150年もの歴史があるんです!
1丁目から7丁目までは屋根付きのアーケードになっているので、雪が降ろうが吹雪だろうが関係なく快適に過ごせちゃいます。

狸小路商店街は大通公園から直線距離で徒歩5分ほど。天気が良ければ地上を歩くのが良いかと思いますが、もし天候が悪ければ3丁目と4丁目の間は地下街ポールタウンがありますのでそこを通るという手もあります。

昨年2023年9月にオープンしたばかりの新しいこちらのお店。国内外問わず観光客が多い狸小路商店街に、この「札幌ラーメン」のお店が登場したのは本当に嬉しい!

ちなみに、狸小路6丁目のすぐ近くに全国的、いや世界的に有名な博多ラーメンのお店「一風堂」がある。もちろん美味しいし自分も大好きだ。
ただ、とある立ち飲み屋で札幌観光に来た海外の方と話したときのこと。「札幌ラーメンは海外でも有名ですよ」と言うので嬉しくなり「どこのお店で食べたの?」と聞いてみると……

「一風堂だよ!“札幌ラーメン”は最高!」と。一風堂は博多ラーメンなんだけどな、とちょっとモヤっとしたのも事実。

筆頭ラーメンは「焙煎ごまみそらーめん」

店内には最新の券売機が設置されている。

現金だけじゃなく、各種カードやQRコードでの支払いにも対応しているのでとても便利!特に海外からのお客様はキャッシュレス化が日本より進んでいるので、これはありがたいサービス。

▲「焙煎ごまみそらーめん」
肝心のラーメンであるが、札幌スタイルの焙煎ごまみそらーめん最高!以上!

豊富なメニューの中で、やっぱり最初に食べてほしいのはこの「焙煎ごまみそらーめん」。中華鍋でモヤシを炒める、いわゆる「あおり調理」が札幌ラーメンスタイル。

▼画像はらーめん吉山商店公式サイトより
あおり調理で引き出された札幌ラーメンならではの香ばしさ!実はこのあおり調理、かなり技術を要する。とある人気店の店主さんが言っていたが「数秒短いと香りが出てこないし、数秒長いと焦げ臭いだけになる」。
吉山商店のすごいところは「どこの店舗で食べても同じクオリティで同じく香ばしい香りが楽しめる」こと。


あ、ランチタイムは小ライスが無料!

店員さんが「小ライスお付けしますか?」と聞いてくれるのだが、私ぐらいのベテランになると
店員さん「小ライ「つけてください!」」
と食い気味に返答するのである。

焙煎ゴマと焼いた味噌が織りなす香ばしさ

で、このスープ。あおり調理と味噌を焼く工程で引き出された香ばしさ。それに焙煎されたゴマの香ばしさがプラスされ、舌だけじゃなく鼻を通る空気まで美味しくなっている。

そして札幌ラーメンと言えば黄色い縮れ麺!森住製麺の麺を熟成させて旨味と独特の食感を引き出したこの麺は相性抜群!

▲千切りのキクラゲ
ニンニクの香りをまとったこの麺を食べると「あー札幌に生まれてよかった」と本当に思う。
醤油派の札幌ラーメン好きもうなる「しょうゆらーめん」
札幌ラーメン未経験の方にはやっぱり味噌ラーメンから食べてほしいけど、吉山商店の実力は「焙煎ごまみそらーめん」だけじゃない。

▲「しょうゆらーめん」
地元民の中には「札幌ラーメンは醤油が美味い」と言う醤油ラーメン派も少なくない。

創業からつぎ足して使用しているという醤油ダレは、優しい甘みと深い醤油のコクが感じられる。これに香ばしい香りがプラスされているのでレンゲが止まらなくなる。

食べ進むうちにほんのり醤油色に染まる黄色い麺。私なんかはこの色だけでよだれが止まらなくなるまるでパブロフの犬です。
あおり調理のしゃきしゃきモヤシを麺と掻き込む幸せ

札幌ラーメンに欠かせない具材がモヤシ。あおり調理で火当てされたモヤシはラードでコーティングされていて、これだけで極上の味わい。
モヤシってスーパーで安く買えるから軽く見られがちだけど、札幌ラーメンのあおり調理で仕上げられたその味と香りは最高だと思う。これを麺と一緒にワシワシと食べるのが札幌ラーメンの楽しみのひとつ。

ちなみに肉感しっかりで旨味のギュッとつまったチャーシューも絶品。

小ライスが目の前にあるんだもの……

乗せちゃうよね~。

梅干しがトッピングされた「しおらーめん」

▲「しおらーめん」。こちらもライスとの相性が抜群
折角だから「しおらーめん」も紹介しておきましょうか。真ん中にちょこんと乗っかている赤いのは梅干し。
赤い梅干しの乗る塩ラーメンと言えば、思い出すのは日本国外にも展開している「らーめん山頭火」。

▲画像はらーめん山頭火公式サイトより
吉山商店の塩ラーメンにずっと梅干しが乗っているのは、オーナーである関山店主が山頭火出身であり、その山頭火に対するリスペクトと感謝の気持ちの現れなんじゃないかと思う。

口の中をさっぱりさせる効果もあるし、もちろんライスのお供にもばっちり!

で、この「しおらーめん」であるが、すっきりした口当たりと香ばしさ。パンチはあるのだが、ぐいぐいと飲めるスープはやっぱり美味しい!

▲ライスの茶碗にちょこんと残った梅干しの種がかわいいでしょ(笑)
スープの量もたっぷり入っているのだが飲み干しちゃうよね~。

さっぽろ雪まつり会場から徒歩5分で楽しめる本格的な札幌ラーメン。冷えた身体にこそ染みわたる味わい。札幌ラーメンのちょっと濃い目の味わいと、ラードを使ったパンチ。ニンニクや生姜などの香味野菜が身体を芯から温めてくれる。
札幌ラーメンが生まれた背景は、この寒い気候風土があったからこそだと思う。ぜひ、寒い季節にこそ食べてもらいたい一杯がここにはあるのです!
あじさい
ある友人から「週末に北海道旅行をしようと思っている」と相談された。「世界遺産の知床と函館グルメを楽しみたい」と。
大石「何泊するの?」
友人「え?週末だから1泊2日だけど?」

無理だから~!北海道の広さを未だに理解していない人が多いようですね。
さてそんな広い北海道。道内だけでもいくつかご当地ラーメンが存在する。旭川ラーメン、釧路ラーメン、苫小牧&室蘭カレーラーメン……そして函館ラーメン。
ただ、札幌函館間も300kmほど離れていて、気軽に日帰りで行ける距離でもない。
せっかく北海道に来たんだから札幌以外のご当地ラーメンも食べてみたいというそこのアナタ!ぴったりのお店がありますよ~!
店名 | 函館麺厨房 あじさい モユク札幌店 |
所在地 | 札幌市中央区南2条西3-20 モユクサッポロ B2F |
アクセス | 地下鉄「大通」駅から46m |
駐車場 | なし |
営業時間 | 11:00~21:15 日曜営業 |
定休日 | 無休 |
席数 | 15席 |
(店舗情報の引用元:食べログ)
moyuk SAPPORO(モユクサッポロ)の地下に新オープン!

最近できた商業ビル「moyuk SAPPORO(モユクサッポロ)」!さっぽろ地下街ポールタウンと直結しており、地下鉄大通駅からすすきの駅に向かう途中にあります。

水族館「AOAO SAPPORO(アオアオサッポロ)」も入っていて、新しい札幌のランドマークとしても注目のスポット。ペンギンがメチャかわいいらしい。
AOAO SAPPOROの体験レポートはこちら

さて、そのモユクサッポロに函館ラーメンの名店「あじさい」が入ったのは個人的には嬉しい話題。

函館ラーメンが塩味なのはなぜ?
折角なので、ここで函館ラーメンの事についてちょっと触れておこう。
諸説あるものの、函館ラーメンが日本最古のラーメンとの説が有力。というのも、明治17年(西暦1884年)4月18日の当時の函館新聞の広告に「南京そば15銭」の文字が書かれているのです。

「養和軒」というお店が出した広告で、料理人はアヨンさんという中国の南京出身の方が作っていたらしい。南京そばが果たしてラーメンなのか?という論争はあるものの、文献を調べていくとそれがラーメンである可能性が非常に高いということがわかります。
- 交易が盛んで華僑の人が多かった
- 「昆布」「干しアワビ」「干し貝柱」などラーメンにも使える食材を交易食材として扱っていた
- 中国の南京地方では塩味のスープの麺料理が提供されていた
- 小麦の栽培が当時から行われていた
- 桔梗地区という函館北部で鶏を飼っていたという記述が残されている
- 海が近かったので塩の入手も容易だった

以上のことから「中国の料理人が」「函館の食材を使って」「塩味のラーメンを提供した」という説が有力のようですね。
函館ラーメンだから筆頭は塩ラーメンかと思いきや…

さて、今回ご紹介する「あじさい」は函館の中でも歴史があるお店。1932(昭和7年)創業、三代にわたって90年以上、その味を守り続けている北海道・函館ラーメンの老舗ラーメン店。

函館ラーメンだからメニューは「塩」が筆頭かと思ったら、こちらの店舗では「白味噌ラーメン」がセンターポジションを陣取っている。

生姜香る白味噌ラーメンは優しい味わいがクセになる

▲「白味噌ラーメン」
ということで「白味噌ラーメン」をいただきます。あ、ランチタイムはライス+お漬物が無料で付いてきます!頼んじゃうよね~。

さて、この「白味噌ラーメン」が期待以上に良かった!あじさい=塩ラーメンという先入観があったが、動物系とホタテや昆布などの美味しいベースのスープにまろやかな白味噌の風味が良く合う!
ほんのり香る生姜の風味も良いアクセント。冷えた身体には最高かも。

中細の縮れ麺は代表的な札幌麺のような弾力ではなく、やや優しい食感。これがまたスープとの相性と抜群!
味噌ラーメン=強いパンチ力というイメージが強いかもしれないが、コクがありながら優しい味わいが特徴でクセになる。

で、たっぷり入った野菜も特徴の一つ。キャベツの甘みもほんのりスープに加わっているのがイイね!

ホロホロの柔らかいチャーシューも個人的に好きなタイプ!

無料のライスがあって、トッピングに海苔が乗ってて、好みのチャーシューだもの。ご飯に乗せてヤンチャな食べ方しちゃうよね~。
思わず手が伸びるユニークな卓上調味料

卓上の調味料もユニークなものが並ぶ。「蝦夷ラー油」「合わせ酢」「蝦夷油胡椒」ですと!

蝦夷ラー油……気になるよね~!

マタタビ、熊笹や昆布、行者にんにく、帆立貝柱など、北海道産
味噌ラーメンにはいかにも合いそうなこの調味料。ほんのちょっと垂らしてみるとこれがまたイイ!

優しめの味わいの味噌ラーメンに良い意味でのパンチが加わりまた違った味わいが楽しめる。最後まで飽きることなく美味しくいただきました!
あじさい=函館ラーメンの代表格=函館だから塩ラーメンだろう。そんな図式の先入観を打ち砕いてくれる白味噌ラーメンでした。
まぁ、あじさいの塩ラーメンを食べたことが無い人はいないだろうから、味噌ラーメンもおすすめですよってことです!

やっぱり欠かせない!あじさいと言えば塩ラーメン

▲トッピングに卵半玉とチャーシューが追加された「特塩ラーメン」
もちろん!観光でいらっしゃる方の中には当然、あじさい初訪問という方もいるでしょう!紹介しておきましょう。

▲こんな透明度なのに、複雑な旨味が中に閉じ込められている
このクリアなスープ。昆布やホタテの海産物の旨味がスープに厚みを持たせている。

優しい味わいながら少し固めに茹でられた麺は、食べ進むうちにどんどんスープとなじんでくる。これ以上の組み合わせは無いんじゃないってぐらい相性抜群。

標準の塩ラーメンでも卵は半玉乗っているけど、“特”塩はさらに半玉追加となる。

パカッと割ると、中から絶妙な茹で加減の黄身が登場!

卓上調味料の「蝦夷油胡椒」や

「合わせ酢」で味変するのも楽しいんじゃないかと思います!

ちなみにトッピングには味噌にも塩にも「お麩」が乗っている。ラーメンのトッピングにお麩を使うのは北海道の老舗ラーメン店の他に秋田や青森などの東北の一部にしか見られないらしい。


函館の老舗で人気店のあじさい。改めて新しい施設のモユクサッポロでいただくと「歴史と新しさ」を感じた。
冒頭で述べた通り、札幌~函館は意外と遠い。函館にも行きたいけど移動時間がもったいないと思ったそこのアナタ!さっぽろ雪まつり会場から徒歩数分で函館の風を感じることができるこちらのお店に足を運んでみてはいかが?
カタカナ トメジ
札幌のラーメンシーンは本当にバラエティ豊かになっているのは冒頭でも述べた通り。
今回は札幌スタイルのラーメン店「吉山商店」、函館老舗の名店「あじさい」と紹介してきた。最後にご紹介するのは、いわゆるトレンド系と呼んでいるご当地ラーメンのジャンルに属さないお店をご紹介したいと思います。

「ラーメンツケメンカタカナトメジ」と書かれたのぼり。このイラスト、どこかで見覚えがありませんか?

そう、2023年の連載でご紹介した「ラーメンTOMEJI」のロゴです。実は、こちらの「カタカナトメジ」はラーメンTOMEJIの2号店になるんです!

オープンはできたてほやほやの2024年1月17日!早くも2号店オープンで、しかも中央区進出ってすごいですよね~!
店名 | カタカナ トメジ |
所在地 | 札幌市中央区南1条西7-1 ビルヂングフクダ B1F |
アクセス | 地下鉄「西8丁目」駅から125m |
駐車場 | なし |
営業時間 | 11:00~15:00、17:00〜20:00 |
定休日 | ー |
席数 | ー |
(店舗情報の引用元:食べログ)
オリジナルメニュー「背脂醤油ラーメン」

メニューは本店と同じメニューもあれば、こちらのお店独自のオリジナルメニューもあり。TOMEJIファンならどちらのお店も通いたくなること間違いなし。

▲「背脂醤油ラーメン」
「カタカナ トメジ」だけで提供されているという背脂醤油ラーメン!鶏と煮干しが選べるが、今回は鶏をチョイス!

見た目の第一印象は背脂も浮かび、一見すると「脂っこい?」と思うかもしれない。でもこれが見た目のようにしつこくないのがTOMEJI流。
鶏も脂を抽出する部位を変えたらしく本店で以前いただいたそれよりも鶏感がさらに強くなっている。

京都ラーメンのエッセンスとの融合

「京都のラーメンを少し意識した」と店主さんがチラッと話していた。
言われてみると九条ネギだけじゃなく、油の層の厚み、合わせているストレート麺など、どこか京都クラシカルなラーメン店の雰囲気を感じる。
その一方で、背脂と鶏油ブロックをブレンドしたという油使いなどオンリーワンの要素も強い。さながら「京都のクラシカルラーメンにインスピレーションを受けたカタカナ トメジオリジナルラーメン」と言ったところだろうか。

▲麺を啜る時に再び鶏の香りがふわりと香る。風味も食感も好きだなぁ
麺はかなり細い麺線。切り刃26番とのことだが、これは博多ラーメンなどで使われる極細麺。
この細い麺がスープとよく絡む。

チャーシューも初期の頃とは比べ物にならないぐらいに美味しく進化している!

あえて薄めに切られたチャーシューは食べやすい柔らかさを持ちながら、それでいてしっかり肉の美味しさもキープ。漬け込まれたタレの美味しさといい絶品!これをツマミにお酒を飲みたいね。

柚子の風味やちょっとピリッと効かせた一味。そういう細かい「アクセント」も意識して作られているのだと思うのだが、そのアクセントの影響かあるいは脂の層の影響か、前半と後半でも少し雰囲気が変わってくる。
一本調子ではなく食べ進めても飽きる事のないこのラーメン。一口目から最後まで美味しいっての大事だよね。背脂の甘さと鶏と醤油の香りのハーモニーが完成されている印象。
まぁ専門用語で表現すると……「控えめに言って極上醤油ラーメン」!

二枚看板!もう一つはつけ麺

▲「味玉煮干醤油つけ麺」麺大盛り
ラーメンと並んでもう一つの看板メニューの「つけ麺」もご紹介しておきましょう!

ラーメンの麺はさがみ屋製麺、つけ麺の麺は円山製麺と使い分けている。

▲弾力と滑らかさを兼ね備えた平打ち麺
本店でも使われているこの円山製麺の麺。これが実に素晴らしい!そのまま食べても小麦の香りが美味しい麺でいくらでも食べられそう!
並盛も大盛も倍盛も同じ値段とのことで大盛にしたのだが、結構とんでもない量が出てきた。


このスープも見てわかる通り、油の層が結構厚め。

だが、やはりこのつけ麺のスープも「油が気になる」と言うことは一切ない。むしろさっぱりした口当たりでとても食べやすい。
まさにTOMEJI流の油使いが確立しつつあるというところでしょうか。

煮干の香りがふわりと香るスープ。これが滑らかな平打ち麺と組み合わさるとため息が出るほど美味しい!
実はつけ麺というメニューは茹で時間が長く、麺を〆るというひと手間もかかるため調理が大変なメニューだったりする。そのため、つけ麺とラーメンの両方を提供しているお店では混雑時に「つけ麺を注文するのはなんだか申し訳ないなぁ」と思うことが、実は時々あるんです。

そんな調理が大変なつけ麺を券売機の筆頭に持ってきているところを見ると、つけ麺ウエルカム!というお店の意志と覚悟なんでしょうね。


味玉の茹で加減も完璧!卵を割った時に顔を出す半熟の黄身が美しい!

いや~美味しかった。ご馳走様……じゃないんです!!
つけ麺の〆といえばもちろんこれ
ここで最後のお楽しみ、スープ割!

スープ割は「ほうじ茶とカツオ出汁」で割って提供される。これがまた実にさっぱり美味しい!
ほうじ茶のほのかなお茶の香りとカツオ出汁の和の香り。まさに食後のお茶の一服のようなほっとした気分にしてくれる。最後の最後まで満足させてくれました!

前回の本店の記事でも何度も書いているが、TOMEJIは「進化のスピードが早いお店」である。ここ「カタカナトメジ」もおそらくこれが完成形ではなく「まだまだ進化させる」という思いでいると思う。
あくまで2024年1月現在のメニューと味の感想であることをご理解いただきたい。


ちなみに店舗は地下にあり、ちょっとした秘密基地のような様相である。
さっぽろ雪まつりの時に観光でいらっしゃるラーメン好きの方。前述の札幌系や函館系などの定番もいいですが、できたてほやほやの秘密基地のような「カタカナトメジ」でラーメンを食べたと地元で自慢したら……地元のラーメン好きに一目置かれる「ラーメン通」になれるかもよ?(笑)
さいごに
ということで、札幌ラーメン最新事情2024第一弾はいかがでしたでしょうか?
札幌らーめん共和国から移転して札幌大通で食べられるようになった「吉山商店」「あじさい」。そして札幌のラーメンがバラエティ豊かになっていることを表現してくれている札幌市北区の人気店の2号店「カタカナ トメジ」。こちらも中心部で食べられるようになったのは個人的にもとても嬉しいニュースでした。
「ご当地ラーメンの札幌ラーメンを食べるか?」
「函館気分を味わうか?」
「最新の札幌のトレンドを知るか?」
ぜひ大いに悩んでお店選びも楽しんでいただけたらと思います。
今年は昨年よりちょっと本数を減らさせていただきますが、札幌ラーメン最新事情2024!一年間の連載を予定しております。どうか本年もお付き合いいただけたら嬉しく思います。