■目次
長沼町(ながぬまちょう)はこんなところ
札幌や千歳などの主要都市からほど近い農業のまち。長沼町の一面に広がる田んぼや石狩平野に沈む夕日など、北海道らしい雄大な風景を満喫できるほか、新鮮野菜が自慢のファームレストランや直売所、温泉などドライブスポットがあり、週末には多くの方が訪れます。
空知(そらち)の稲作発祥の地で4代続く「ファームキトラ」に注目!
「空知の稲作発祥の地」と呼ばれる長沼町で、代々農業を営む記虎(きとら)さん。初代の記虎弥蔵(やぞう)さんが家族で兵庫県淡路島から移り住んだのは明治27年のこと。湿地や原始林が広がる大地を切り開き、度重なる水害や冷害と闘いながら作物が実る土地へと開墾したそうです。
4代目の悟さんは20歳のときに家業を継ぎ、平成17年に有限会社ファームキトラを設立。作付面積9haだった農地も今では47haまで広げ、「ゆめぴりか」に「ななつぼし」、「ほしのゆめ」、「ふっくりんこ」など、お米だけで19.5haに8品種を栽培しています。タマネギやジャガイモも生産し、新鮮な農作物を直売所で販売しています。
記虎さんに聞きました!
『1990年代に食管法(食糧管理法)が段階的に緩和されて、米の流通や販売が個別に行えるようになったことがきっかけです。
自分で価格を決めて直接販売するためには、商品開発もきちんとしていかなければなりません。アイガモ農法を取り入れたり、品種を増やしたり、農薬や肥料の使い方を見直して、農家仲間とグループをつくり、情報交換しながら新しい米づくりに取り組みました』
今ではよく聞くようになった「減農薬栽培(減化学肥料栽培)」は、通常よりも栽培時の農薬(化学肥料)を減らして作物を育てること。
消費者に手に取ってもらうために、農家さんみなさんでアイディアを出し合い、地域の農業が活性化されていく。素晴らしい取り組みですね。
『4月にハウスで発芽させた苗を、5月に代掻き(しろかき)してトロトロになった田んぼに植えていきます。一般的な米の栽培では病気や虫を防除するために、田植え前後や穂が出る前など効果のある時期に除草剤や殺菌剤を散布するのですが、減農薬米の栽培ではどちらも使用するのは一度だけ。カメムシ予防の殺虫剤も使いません。お盆過ぎに田んぼの水を落とすまでは、気温に合わせて、水深を適正に保つよう管理します。稲刈りは例年9月15日~20日頃。刈り取り後は脱穀して乾燥させ、未熟米や異物を選別機で取り除き、籾蔵やハードコンテナで保管します』
水の管理がおいしいお米づくりのキモなんですね。
『私の所有する土地は、泥炭地とそうでない土地が混在しているのですが、泥炭地は稲の生育後半まで土壌の地力窒素が影響して、美味しいお米が採れにくいという傾向があります。これは土壌改良で解決する問題ではありませんが、肥料の散布量を減らすことで多少効果が表れています。減農薬米は化学肥料と農薬を慣行栽培の半分以下に減らすことが求められるので、収量よりも食味と安全性を重視した栽培法といえますね』
『やはり品質管理ですね。お客様と直接やりとりできるようになってからは、評価もダイレクトに届きます。最初の頃はムシやカビが出たなどのクレームもありました。本州は北海道に比べて気温も湿度も高いので、保管の仕方によってはそういうことも起きてしまう。紙袋から長期保存が可能な真空パックにしたり、配送時の緩衝材を工夫したり、お客様から指摘された問題点を一つひとつ解消していくことで、品質を高めながらお客様との信頼関係を築いてきたつもりです』
減農薬で体に気を使った「令和4年産ゆめぴりか」に注目!
『数ある中から選んでいただいて、おいしいと言っていただいたときですね。インターネットの普及で東京や大阪まで販売先が広がり、お客様の声を直接聞けるようになったのは、とても大きな変化でした。さまざまな要望があることを知って、減農薬や無農薬、合鴨農法などに取り組んできましたし、玄米や分づき米にも対応して、自分好みのお米を選べるようにもしました。選べることで、選ばれる米づくりを目指しました』
“選べることで選ばれる”
食べる人の声に耳を傾けてきた記虎さんだからこそのお米づくりですね。
おすすめ返礼品 【減農薬で体に気を使った】令和4年産 ゆめぴりか白米5kg×2
減農薬特別栽培米の「ゆめぴりか」です。農薬使用量を通常の約半分に減らして作られた安心安全・高品質なお米を、長期保存が可能なオリジナル真空パックでお届けします。
記虎さんイチオシの食べ方は?
『土鍋の直火炊きがオススメです。炊きたてのおにぎりは最高ですよ。毎年、新米がとれると試食会を兼ねて、スタッフ全員で全品種のブラインドテストを実施します。品種によって異なる味わいを、ちゃんと理解していないとお客様にもおすすめできないので、楽しみながらもみんな真剣です』
長沼町のここが好き!
『自然に恵まれた空気のおいしい町です。夕方、馬追丘陵から眺める石狩平野は最高にきれい。個人的には「辻村もと子文学碑」がある見晴台からの眺めが好きで、農作業の手伝いに来てくれた人たちを、気晴らしによく連れていきます』