いよいよ公開になった話題の映画「レオニー」、
その魅力を松井久子監督ご本人にお聞きしました!
11月20日(土)公開になった映画「レオニー」、もうご覧になりましたか?
今回、舞台挨拶に札幌に来られていた松井監督に、
直接、お話を伺うことができました
忙しい時間を割いてインタビューに応じてくださった松井監督
物腰柔らかで笑顔の絶えない、すっごく素敵な方でした
Q.「レオニー」を映画化しようと決意したきっかけは?
A.高松のイサム・ノグチ庭園美術館を訪れた時、
古い武家屋敷を移築したイサム・ノグチのかつての住まい
<イサム家>の向かい側に、小高い丘のような庭がありました。
イサム・ノグチ曰く、「この庭は、母が世話になった
日本の皆さんへのプレゼントです」と。その言葉が、最初にイサム・ノグチの母、
「レオニー」に興味を持ったきっかけです。
その後、美術館で手にしたドウス昌代さんの本「イサム・ノグチ~宿命の越境者」を読み、
大きな感銘を受けました。
あの激動の時代に、こんなにもたくましく生きたレオニーの人生を、
今の日本の女性たちに伝えたい、と強く思ったのです。
Q.レオニーの生きざまが映画の中に凝縮されていましたが、同じ女性として、
レオニーをどう思われますか?
A.人生は、若い頃に思い描いたようには決していかないものですよね。
レオニーは、どんなにつらい境遇にあっても、決して逃げない。目をそむけない。
きちんと受け止めて、明日へのエネルギーにしている。
そんな強さを持つ女性です。
正しい人生も、間違った人生もない。ただ一度の人生なら、自分で納得して、
自分で選択して生きる方が気持ちいい。そんな生き方がいい。
そう思わせてくれる、勇気をくれる女性ですね。
Q.7年もかけて日米合作映画を完成させた松井監督ご自身、意志の強さという点で、
レオニーと似たものを感じたのですが、いかがですか?
A.自分がこうと思ったら、やってみる。
難しそうだからやめておこうという選択肢がない。
私も「無謀だ」とよく言われるのですが、そういう行動力は似ているかもしれませんね。
人生の最後に後悔したくないんです。レオニーのように、自分の行き方を肯定して、
満足して一生を終えたいと思います。
Q.レオニーの心象風景を描いたような、モエレ沼公園のラストシーンが
とても印象的でした。監督はモエレ沼公園を訪れた時、どんな思いを抱かれましたか?
A.映画化を決意した時、真っ先に訪れたのがモエレ沼公園でした。
北海道ならではの青い空と緑。そしてイサム・ノグチ独特の石の白。
モエレ沼公園に立った時、この雄大な風景をレオニーが見たら、どれだけ感動し、
誇りに思い、満足するだろうかと。
イサム・ノグチは美術館に飾られる彫刻ではなく、人が触れることのできるものを
創ろうとしていました。その作品で子供たちが無邪気に遊んでいるのをみて、
イサム・ノグチの思い、母の思いが実現し、未来につながっているなあと。
その「思いが未来につながっている」ということを表現したいと思い、
ラストのイメージが、あっという間に湧いてきました。
この映画は、ラストシーンが最初に決まったんですよ。
Q.レオニーやイサム・ノグチの生き方から、さまざまなメッセージが受け取れたように
思います。映画は日本とアメリカを舞台にしていますが、描き出される場面・風景が
すごくキレイだったのですが、「ここをぜひみて欲しい」というポイントはありますか?
A.映画監督としては、日本とアメリカを半分ずつ、両国の約100年前を
きちんと時代考証をして表現したという、そこを観て欲しいですね。
両国の魅力、風景や自然、暮らしや文化、それを再現して伝えようとすることは、
とても贅沢で楽しい試みでした。
あの時代に、この日本で育ったからこそ、イサム・ノグチの芸術が生まれました。
日本の美しさや素晴らしい文化を、しっかりと伝えたいなと思って映像を作りました。
Q.映画制作にはさまざまな苦労があったと思うのですが、「マイレオニー」という
応援団がありますね?松井久子監督の第3作・レオニーの制作を応援する会。
珍しいと思うのですが、監督にとって、どのような存在なのでしょうか?
「マイレオニー」は応援団とかファンクラブとは違うんです。私の相談相手であり、
励まされ、叱られ、支えられながら、一緒に映画を作ってきました。
私がマラソンランナーで、マイレオニーが伴走者といった感覚が一番近いかな。
一番身近で、なくてはならない存在でした。
Q.最後に、北海道の印象はいかがでしたか?
プロモーションで訪れた旭岳は素晴らしかったです。
温泉もいいですが、本州とは違う、黄金色の並木が本当に美しくて。
それを抜けると、降ったばかりの新雪にすっぽり包まれた白銀の山が現れて、
北海道ならではの魅力に触れることができ、感動しました。
今回、モエレ沼公園でロケをしましたが、この芸術が北海道にある、
札幌にあることの素晴らしさや意義を深く感じました。
イサム・ノグチのアートにふさわしい大地ですよね。
ぜひ、また訪れたいと思っています。
今回のインタビューはパネル展を開催中の札幌グランドホテルで、
モエレ沼公園のガラスのピラミッドをイメージした特製ケーキ
「KIZUNA」をいただきながら行いました
「可愛いケーキ!中のクリームも爽やか」と喜んでくださった松井監督、
ざっくばらんなお人柄に、私はすっかりファンになってしまいました
「レオニー」の詳しい情報・感想はコチラをみてね
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