しかりべつ湖コタン開村まであと1週間とさし迫った日、特別に、コタン制作現場を見学させてもらいました!
この日は強風吹きすさぶ、今シーズンイチバンの寒波がやってきた日。
外での作業は過酷と思われますが、それでもたくさんの方がコタンづくりにいそしんでいました。
普通は入れない現場。その風景を見ると、コタンの見方がちょっと変わるかもしれませんね。
すぐに制作風景をお伝えしたいところですが、まずは、『しかりべつ湖コタン』について、から。
■目次
わずか60日だけ!
湖上に現れる、雪と氷の『幻の村』
帯広から北上すること約1時間。標高810m、北海道で一番高いところにある然別湖。
12月にもなると、寒さで湖が凍ります。
完全に凍った湖の上は、ここが湖なのかわからないくらい。見渡す限り真っ白な雪原と化します。
ここに、1月末から、わずか60日間だけ現れるのが『しかりべつ湖コタン』。
「コタン」とは、アイヌ語で“村”の意味。
バーやコンサートホール、泊まれるロッジやチャペルなどなど。まさに、小さな村が湖の上に誕生するのです。
↓ 世界でここだけ!人気の『氷上露天風呂』も、今年も健在。
入浴は無料。
視界を遮るものはなにもない雪原。広大な大自然の中で、あったか~い温泉に入るなんて気分爽快!(に違いない!未体験なもので・・)
温泉は、湖畔のホテル風水から源泉を引いているんですって。こんな贅沢な露天風呂体験、他では聞いたことがありませんね。
今年は、1月26日(土)~3月21日(木・祝)まで開催中!
入村、見学は無料。
氷の迷路など、お子様が楽しめるエリアもあります。
今年は、スタンプラリーもやっているようですよ。
このパンフレットで参加できるので、ホテル風水の売店やフロント、然別湖ネイチャーセンターなどでもらってくださいね。
人気の「氷のグラスづくり」や「ナイトウォッチング」など、各種アクティビティも、ぜひ!(料金別途)
さて、この湖上の建物すべてが、然別湖の雪と氷でできているので、春を迎えると溶けて湖に戻っていきます。毎年毎年イチから手作りするイグルーたち。二度と同じものはできません。
ゆえに、まぼろし、なのです。
◆しかりべつ湖コタンのイベント情報はこちらからチェック!
しかりべつ湖コタン イグルー作りを間近で見学!
ではでは、見学して教えてもらったことをご紹介しましょう。
イグルーを作るために使うブロックは大きく分けて2つ。
一つは、湖から切り出す、透明で美しい氷のブロック。
もう一つは、湖に積もった雪を固めて作るアイスブロック。
(ちなみに、イグルーとは、北方圏エスキモー民族が、狩猟時に使う圧雪ブロックで作る仮住まいのこと)
氷のブロックは、熟練の職人スタッフさんが切り出していきます。
水しぶきを手に浴びながらの作業。防水防寒をしっかりしているとはいえ、きっと冷たいんだろうなぁ。
湖の氷は、厚さ1メートルになっているところもあって、厚さを見ながら最適な部分を切り出しているのだそうです。今日は小さめですね。
この氷、ひとつとして同じ表情をしてるものはなくて、その年その時の気象条件で違うのだそう。今年は雪が少なくて暖かく、急激に寒さがやってきて凍ったので、小さな気泡が入っているのが多いとのことです。
↓ わかりますか?
アイスバーやチャペルで使われている氷、よ~く見てみて表情の違いをチェックしてみてくだいね。
アイスブロックは
サンテナという箱に、雪と湖水を混ぜてシャーベット状にしたものを詰めて→ 足で踏みつぶして→ ギッチギチに詰めて→ ひっくり返して→ 型抜きして→ 一晩放置! で、完成!
この地道な作業、今年は例年より遅く、12月中旬から作り始めて、すでに5000個!(開村1週間前情報) どれくらいのものなのか、想像がつきませんが、開村までには6000個も作るんだそうです。あっぱれ!
↓並ぶ、並ぶ、はるか向こうまで果てしなく並んでいますね。これで何個あるんでしょう?
1個15キロにもなるブロック。運ぶだけでも一苦労ですよね。
初心者ボランティアスタッフさんは、シーズンはじめは、よぉぉぉいっしょょょょぉ・・・とたどたどしくブロックを扱う姿が、制作終わり頃になると、ひょいひょいと担ぎ持てるようになるんだそうですよ、笑
アイスブロックができたら、円を描いて、土台となるブロックを並べて、積んでいきます。
↓ 交互に並べるのがポイント。継ぎ目が重ならないほうが強度が増すんだそうです。
土台には大きさそのままのアイスブロックを。上には半分に切った軽いものを使います。
ブロックとブロックの接着剤となるのが、雪と湖水のシャーベット。地道につめつめして隙間を埋めていきます。
どんどん高くなっていくと、自分でシャーベットを取りに行くのが大変に!
そこで、登場するのが『シャーベッター』!
シャーベッターは、積む人の動きを察知して、タイミング良く投げるのが使命。 そして、意外と、首・肩・腕の筋力が必要とされます。
この方、かなり熟練とみられます。ブラボーです!
こうしてできるのが、コタンのイグルーです。
然別湖の雪と、湖水と、人力作戦で、できているんですね。
チャペルは開村後に作るというので、その様子を遠くから見学するのも楽しいですよ。
では、イグルーの基本の作り方を踏まえて、昨年までの美しき姿をご覧いただきましょう。
(写真:然別湖ネイチャーセンター)
思わずためいきが出るくらい、うっとりしますね。
毎年、進化させているというイグルーたち。
↓ 開村1週間前で、まだまだこ~んな感じが、
今年は、どんな美しさを見せてくれるのでしょうか。とっても楽しみです。
然別湖の「雪」と「寒さ」と「自然の恵み」
あとは、コツコツ積み上げる「人の力」 そして、「然別湖愛」
私たちが見学していると、村長さんの斉藤シンゴさんがお話に来てくれました。
道内には氷と雪の冬イベントがたくさんある中、しかりべつ湖コタンの良さを伺ったところ、
「正真正銘100%、然別湖の雪と氷だけでできているのが、他のイベントとは違うところです。
建物には骨組みを使っていなくて、一つ一つ、人の手でブロックを作って、一つ一つ、人の手で組み上げているんです。
ブロックの組み模様や氷の表情、すべてここ・然別湖の自然の恵みでできているんです。そんなことを楽しんでもらえたら、いいですね。
春になって、氷が溶けてコタンは湖に戻っていきます。その水が周囲の森を育てて、森は清らかな水を湖に送り返してくれます。その清らかな水が美しい氷になり、またコタンになるんですよ」と。
村長!もうね、然別湖愛に満ちています!!
そもそも、コタンは、冬の然別湖で楽しもうと、仲間3人が湖上にイグルーを作って遊んだのが始まり。今から39年前、昭和55年(1980年)のことです。
そののち、イベントとしてスタートしたのがその2年後。
その後、アイスバーを作ったり、氷上露天風呂ができたり、チャペルを作ったり、アイスバーが2階建てになったり、氷上足湯ができたり、と、いろんなことに挑戦。
遊び心と、もっともっと然別湖で楽しんでもらいたい、という気持ちに満ちたイベントなんですね。
言い遅れましたが、実は、この村長さん、すごいんです!
お話の途中、「ここの建物はこの間作ってきたばかりのスウェーデンのホテルとも違って、云々・・・・・」と、さらっと流れていったので、その話題はスルーしてしまったのですが、後々聞いたところ、
あの!世界的にも有名な、スウェーデンのアイスホテルのお部屋を、もう何年も作っている世界的アーティスト(shingo natsuki ご夫妻)なのだそうです。今年はチャペルをデザイン&制作してきたんですって!
その美しさ、その技術が、このしかりべつ湖コタンで見れるなんて、贅沢!!としか言いようがありません!
そして、私たちが訪れた日、地元鹿追町の婦人部の方々が、豚汁とおしるこを差し入れしていました。
「この厳しい寒さの中で頑張っているスタッフさんに、わたしたちができることはこれくらいなので」というメッセージとともに。
翌日は、鹿追町の方々がボランティアで手伝いに来てくれるとのこと。
実行委員の他に、各地から集まってきてくれるボランティアスタッフ(台湾の方もいましたよ)や、町内のボランティア。たくさんの有志で作り上げる、愛されているイベントなんですね。
しかりべつ湖コタンというイベントの、楽しさと素晴らしさを感じた見学体験でした。
最後に、問題です。
モアイ像のように並んだ、この穴のあいたアイスブロック。今年初登場ということですが、一体何に使われるのでしょうか?
ヒント:氷上露天風呂の近くにありました。露天風呂を体験するあなた、周りをチェックしてみてくださいね。去年までは竹を使っていたそうです。遊びのものではありません。
3/21にコタンが閉村した後、湖の氷が溶けだした頃から始まります。ドライスーツを着て、氷の上をウオーキング。氷の薄さによっては湖にドボン↓↓↓↓↓↓もしくは、思い切って湖にダイブ!!!
わくわくドキドキの体験☆然別湖ウオーク、楽しんでみませんか?
詳細は、然別湖ネイチャーセンターへ>>>>
※写真は、見学当日撮影したものと、然別湖ネイチャーセンターからお借りしたものが混在しています。
答え:温泉を引く管を目隠しするブロックです。去年までは竹で支えていたそうですが、今年はより美しいコタンを目指して管が見えないようにするんだそうです。
◆↓宿泊は然別湖畔の一軒宿で♪宿泊レポートはこちら↓
湖畔の一軒宿「然別湖畔温泉ホテル 風水」の宿泊レポートはこちら
宿泊プラン一覧はこちら