【札幌ラーメン最新事情2018①】スープの主役は鯛!上品な風味が香る「鯛」ラーメン

皆様こんにちは!

毎年恒例年明けの企画「札幌ラーメン最新事情」シリーズ!
2018年の今年も書かせていただきます!

2012年から連載させていただいておりますので、今年でなんと7年目(^^;
今年も私の垂れ流す駄文に失笑しながらでもお付き合いいただけたら光栄です。

■過去の特集はこちら
『札幌ラーメン最新事情2012』
『札幌ラーメン最新事情2013』
『札幌ラーメン最新事情2014』
『札幌ラーメン最新事情2015』
『札幌ラーメン最新事情2016』
『札幌ラーメン最新事情2017』

本企画は「新店を中心にその年の旬なキーワードを探す!」というコンセプトで毎年続けてきています。

もちろん新店だけでなく、キーワードに沿って人気店や老舗店なんかも随時取り上げ「札幌のラーメントレンド」を探っていこうと思っております。

全5回で毎週水曜更新予定です
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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さて、第一回目の今回は「鯛」をキーワードに取り上げてみたいと思います。
首都圏では「鮮魚系ラーメン」というジャンルが確立し、ここ数年注目を集めておりますが、ここ札幌でも昨年は鯛を主役にしたラーメンが登場しました。
今回は「鯛」ラーメンにスポットを当ててみたいと思います。
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ラーメン ノボリザカ

目覚ましく立身出世することを「鯉の滝登り」なんて言ったりしますよね。
それと、物事の程度や段階が急激に上がっていくことを「うなぎのぼり」なんて表現もしますよね。
日本では「ノボル」ってのは何かにつけて縁起のいい言葉として使われてきました。

さて、今日は鯉でもウナギでもなく、”鯛がノボルお店”のお話です。 その名も「ラーメン ノボリザカ」 2017年4月に開業したお店です。 鯛の出汁を使用したラーメンは「濃厚鯛だしラーメン」と「鯛出汁ラーメン」の2種類。 その他に「中華そば」というメニューもあります。

鯛だしラーメンは鯛100%のスープでクリアな色合い。
鯛の旨味に昆布や香味野菜や重ねたスープに三種類の塩、椎茸、干しエビ、鰹などのタレを合わせたものとのこと。

クリアなのに旨味の重なりがすごいね。
これは鯛出汁の清湯のお手本のようなスープ。

合わせる麺は少しはかなさを持った優しい味わいの細麺。
スープとの相性抜群。
で、これはこれで美味しいスープなんだけど・・・。

やっぱりここで食べてもらいたいのは「濃厚鯛だしラーメン」かな。

鯛の旨味に鶏や豚の旨味をガッツリの乗せた、文字通り「濃厚」なスープ。

鯛だしラーメンでは細麺だった麺が、濃厚になると中太のややしっかりした食感の麺に変わる。
これも、このスープにはコレだね!と納得する相性抜群の麺。

鯛だしラーメンでは柚子皮で効かせた柑橘系のアクセント。
濃厚の方では安易にそのまま柚子を使わずに、レモンのカットを使用しているところも「やるなぁ」と思ってしまう。

まだ若い店主さんなのに、随所にこだわりや工夫が感じられる。

それにしても濃厚鯛だしラーメンにはすっかりやられてしまった。
これはどう表現したらいいんだろう?

専門的な言葉で表現すると、さっきの清湯の「鯛だしラーメン」を『美味しいラーメン』と評価するなら、こちらの濃厚は『超すっごい美味しいラーメン』と言う表現になるだろうか。
・・・って、どこが専門的な表現だ?(-_-;
今年もボキャブラリが乏しくてすみません。

ただ、言えるのは「バランス感覚とセンスに優れている」のは間違い無いと思う。
経験や努力ももちろんものすごくあるだろうが、味の重なりにいやらしさが無い。
これはセンスや感性の問題という気がする。
主役を「鯛」にきちんと据えながら、それぞれの素材の強さを「量」や「火加減」などで調整しているのが良くわかる。
その優れた感性を遺憾なく発揮してドンブリに込めているといった感じ。

そうそう!
150円で注文できる鯛めしもオススメ!

少しパラリとしたお米は一粒一粒に旨味がしみ込んでいる。
ほのかに感じるエビの風味がこれまた秀逸。

そのまま食べても美味しいし、スープに浸しても美味しい!!
これまたやられちゃいました。
「蝦(えび)で鯛を釣る」ということわざがあるが「蝦と鯛で私が釣られた」ってところかな。

ラーメン好きの間では既に評判にはなっているものの、まだまだ訪問者数もそれほど多くないし、知名度もまだまだこんなものじゃないと思っているお店。
でも、きっと『立身出世していく』評判のお店になると思う。
そのうち札幌では「鯛の滝登り」と評価されるかも知れないと読んでいる。

・・・いや、鯛の住むのは海だから「滝」なんか無いんだけどね(-_-)
じゃあ「鯛ラーメンの評判がうなぎのぼり」って・・・そんな風にも言われないか(^^;
「ノボル」のは「鯉」や「ウナギ」ばかりじゃないってこと・・・雰囲気でなんとなく察してください。

【ラーメン ノボリザカ】
住所:札幌市西区山の手2条11-1-10 山の手ビル 1F
営業時間:11:30~15:00/17:00~20:00
定休日:木曜日
TEL:070-5285-4977

麺匠渾身

続いてご紹介するのは麺匠渾身です。

看板には大きな鯛が描かれています。
鯛らーめん専門店と言っても良いんでしょうね

お店に入ると正月でもないのにお琴のBGM。
なんだか高級料亭にでも来たような気分ですね。

・・・行ったことはないけどね(-_-) ん?そもそも高級料亭ってお琴のしらべが流れているんでしょうか?
勝手なイメージで語っています(^^;

淡麗真鯛らーめん780円。
他に濃厚真鯛らーめんや濃厚真鯛つけ麺などがあります。

透明度の高いスープは見た目のおとなしさとは裏腹にしっかりとした鯛の旨味にあふれている。
かんきつ系のほのかな香りも上品なアクセントを加え、とてもおいしい極上スープ。

色といい香りといい、気品漂う味わいは高級料亭っぽいね。
(行ったことないけど)

やや細めの麺はもっちりした弾力があり、スープとの相性が良くとても美味しい。

低温調理チャーシューは一枚一枚直前にカットされている。
ほのかなピンク色も上品な雰囲気で味だってもちろん極上。

岩ノリのアクセントや・・・

卓上調味料の特製鯛酢や黒七味。

どうしてもあっさりした味わいは後半単調になりがちだが、そうならないような工夫と配慮が感じられるね。

オススメは鯛酢が「淡麗」で黒七味は「濃厚」に合うとのことだが・・・。

試してみると黒七味の山椒のアクセントは淡麗スープとの相性も決して悪くないと思う。

そうそう!もう一つここで食べてほしいのは鯛めし!
上品に盛り付けられたこのフォルム。
ほらね!
これも高級料亭っぽいでしょ?
(しつこいけど、高級料亭には行ったことはありません(笑))

そのまま食べるも良し、レンゲに乗せてスープに浸して食べるも良し、もちろん最後はスープを茶碗に入れてお茶漬け風にして食べるも良し・・・。

ほぐされた鯛の旨味とご飯の相性。
口の中に鯛の旨味の余韻が広がります。

“渾身”の力で飲み干しちゃいました(笑)
元々上品な旨味を持つ鯛という素材。
その素材の「上品さ」を活かしながらきっちりラーメンに仕上げているところ、お店の雰囲気やトッピング・調味料やBGMに至る細部まで「上品さ」を意識しているのがいいですよね。

高級料亭気分で最後まで楽しむことができました。
・・・くどいけど高級料亭に行ったこともないくせにね(^^;

【麺匠渾身】
住所:札幌市中央区南3条西6丁目9 T6西ビル 1F(狸小路6丁目)
営業時間:11:00~16:00(L.O.15:45)/17:00~22:00(L.O.21:45)
定休日:年中無休(年末年始、お盆を除く)
TEL:011-596-0007

Soba・Noodle鶴 -HAKU-

続いてご紹介するのは2017年9月オープンのSoba・Noodle鶴-HAKU-です。
ラーメンという表現を使わずに「Soba-Noodle」という表現をしていることや、鶴と書いて韓国語読みの「HAKU」という表現をしていること、世界中のお客様を視野に入れているという意思表示かも知れませんね。

そして、こちらのお店のユニークなところは昼はラーメン店、夕方からは「ジンギスカン-HAKU-」として二毛作の営業を行なっているところ。

ラーメンとジンギスカン!!
中々ユニークな組み合わせですね。

さて、まずご紹介するのはこちらの「中華そば」
鯛だしと鶏ガラで取ったダブルスープとメニュー表に書かれています。

かなり黒いスープに浮かぶ輪切りのスダチにオクラ。
個性的な具材が目を引きます。

そしてこのスープ。
真っ黒な見た目に反して、すっきりとした飲みやすい口当たり。
鯛の上品な旨味と鶏の旨味がバランスよく口の中に広がる。
アクセント的に効いている煮干しの風味がこれまたスープに深い味わいを加えているね。
かなり美味しい!!
一見するとオイリーな印象だが、芳醇な香りとすっきりした口当たり。
聞くとオリーブオイルにトリュフやネギなどを使った香味油とのこと。
見た目より口当たりがやさしく感じるのはスダチのさわやかな香りの効果もあるのかな。
食材のバランスのとり方やアクセントのつけ方・・・。
店主の個性がキラリと光っている印象。
中華そばがもっとも「らしさ」が出ている気がするが、もう一つ紹介したいメニューがある。

それがつけそばである。

味噌ベースのつけダレだが、火当てをしっかりしたスープは香ばしく、札幌スタイルを感じさせる。
旨味のしっかり効いたスープは強いアクセントにも負けていない。
で、この麺がまた秀逸(*o*)
西山製麺の特注麺らしいが、こんな麺もあるんだね。 相性抜群!
中華そばもつけそばも個性あふれるオンリーワンな味わい。
昔話の「鶴の恩返し」なら鶴が助けてくれたお爺さんにお礼をしに行くが・・・。
私の方が「鶴」に「斬新で美味しいものをありがとう」とお礼を言いたいぐらい。ちなみに、恩返しの鶴は2枚の美しい布を織り、3枚目を織っているときに鶴の姿を見られて、やむなく老夫婦の元を去っていくのだが・・・。
私は2杯のラーメンをいただき、満腹で他のメニューも気になりつつやむなく去っていくのでした。
・・・なんのこっちゃの締めくくりでした(苦笑)
【Soba・Noodle鶴-HAKU-】
住所:札幌市西区琴似2条2-2-17 ファーストプラザ 2F
営業時間:7:00~15:00(※ジンギスカン:17:00~23:30)
定休日:水曜日
TEL:011-688-6509

らーめん吟屋

昨年オープンの新店を3店続けてご紹介したが、最後はちょっとベテランのお店を一店ご紹介しようと思います。

手稲区にある名店「らーめん吟屋」。
この地での営業は2012年1月からだから、オープン6年目突入ですね。
地元での人気店になったのはもちろん、免許センターの近くという事もあり、免許更新のついでに訪問するお客さんも多いんじゃないかな?

鶏ベースのスープのラーメンに鶏と豚のスープのラーメンと豊富なメニューの中に「鯛のスープ」の吟塩らーめんがあります。
メニューは豊富なこともあって、意外と知られていないかも知れない。⇒メニューが?

見るからにあっさり系
ラーメン好きにはたまらないビジュアルですね。
ほうれん草の緑が透明な水面に浮かぶ水草のようで実に美しい!

見た目だけじゃなく、もちろん味も極上。
鯛の旨味が最初に押し寄せ、鶏の旨味がその後にじんわりと広がる。
あー・・・鯛の出汁って美味しいんだなと気づかせてくれるスープ。

麺は札幌スタイルの黄色い縮れ麺。
初めて食べたときは、違う麺の方が合いそうな気もしたが、札幌スタイルのこの麺に鯛スープの組み合わせってのは全国的に見ても珍しいし、今改めて思うとこの組み合わせも実はとても良い個性を演出している気もする。

トッピングで使用されている鯛のほぐし身も嬉しいね。

そしてサービスライス・・・。
思わず頼んじゃうよねぇ(^^;
このご飯にほぐした身をチョンと乗せて、ラーメンスープを上からかけると・・・お行儀が悪そうなのに極上鯛茶漬けになっちゃうからあーら不思議(笑)

メニューが多くて目移りしちゃいますが、店名を冠した「吟塩」を一度是非味わって欲しいです。

ちなみに先にも書いた通り、免許センターの近くにあるこのお店
。 鶏と鯛のスープのこのラーメンで「免許を鶏鯛(とりたい)」ってゲンを担ぐのはいかがでしょう(^_-)b?

うまい事言ったと一瞬思ったけど・・・。
このダジャレでせっかくの透明なスープが一気にシラ~と白くなっちゃった気がします(-_-)

【らーめん 吟屋】
住所:札幌市手稲区曙4条2-6-23 ヒラサビル 1F
営業時間:11:15~15:00/17:00~21:00(L.O.20:30)
定休日:火曜日
TEL:011-681-5600

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さて、ということで今年一発目の記事を書いてみましたが・・・我ながら今年も相変わらずキレの無い駄文ですね(苦笑)
とはいえ、ご紹介したお店はこの文章に反してどれもこれも「キレッキレ」の美味しいラーメンを提供しています。
日本料理の食材の一つとしては「鯛」は決して新しいものではありませんが、ラーメンとして成立させ、それを美味しく仕上げるのは容易ではありません。
今回ご紹介したお店はどのお店も美味しいラーメンに仕上げるための工夫と努力が感じれました。
機会があれば是非足を運んでみてください(^^)

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WRITER/大石 敬(札幌ラーメンコンシェルジュ)

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